帝園(ミガドルエデン)シリーズ

2025年11月16日

No.192 帝園の天使王達

ティエルは第四の園(テーセリスエデン)の最高責任者にして天使族の御神体
帝園での全体実力順位は4位、王冠(ケテル)族の天使王も務め、全美徳を司る存在である。

そんなティエルが現状頭を悩ませてる事がある。

それは【各属性の天使王達が問題児しかいない】点だ。

知恵(コクマ―)の天使王 序列2位 リティエル

彼女はプライドの塊であり、自分が優秀である事を疑わない、
その結果他属性の天使を見下し、ほかの天使王とも仲が悪い。

理解(ビナー)の天使王 序列3位 ラクトゥエル

彼女はリティエルとは真逆の性格で誰とでも打ち解け、優秀でありながら
他者を理解出来る心の広さを持つ、だが自分の事を蔑ろにしがちで
割と自分の領地の事になると適当になるという問題点があった。

慈悲(ケセド)の天使王 序列4位 ミーエル

彼女は浅はかであり、幼稚、慈悲の割に怠けたり、ほかの天使に仕事を
丸投げしたり、ほかの園では慈悲とは程遠いあくどい交渉で困らせる等
主との契約問題以外にも多くの問題を起こしていた問題児筆頭

峻厳(ゲプラー)の天使王 序列5位 エミエル

彼女は自己中心的にして我儘、自分が常に第一であり、自分に甘く相手にはとことん厳しい
で有名であり、彼女の身勝手な行動は同じ属性から他属性の天使王からも
嫌がられている、ミーエルと同等レベルの問題児

美(ディファレト)の天使王 序列6位 ミファエル

彼女は美に対する意識が非常に高く、基本拘りが強く少しの歪みも許せない
という面倒臭い性格をしている、基本同じ属性の天使からは好かれているが
他種族の天使からは嫌われている。

勝利(ネツァク)の天使王 序列7位 ユイエル

彼女は最近【第二の園】に種子や候補生ではなく、いきなり構成員として採用された異例の
天使王である。

性格は根暗でオタク気質、感性がおっさんで相手にマウントを取って気持ちよくなるタイプ
同じ趣味や感性、同じ推し等の同じオタクが許せない厄介オタクでもあり、
日頃からアンチやレスバ、天使界にSNSのようなネットワークは存在しないため
他種族で存在するオタク仲間と常日頃から討論している、だが内容は凄くどうでもいい。

極度の負けず嫌いのため、他の天使王からは基本話しかけられない。

栄光(ホド)の天使王 序列8位 ラタエル

仕事人気質で常に結果を求める性格、天使としてはまだマシな部類
結果至上主義のため、結果で栄光を掴めない天使は落ちこぼれとレッテルを張りやすい

天使王達に対しては対等だがそれ以下になると態度が悪いで有名であり
同族にはかなり嫌われている、そして堕天化している天使で最も多い種族でもある。

基礎(イェンド)の天使王 序列9位 ラグリエル

普通、無個性、特徴と言われても何に対しても突出した所がない
影が薄く基本頭数に居れ忘れられている可哀想な存在。

ティエルも思い出さないと頭に残らない程天使王なのに個性がなく
本人も話しかけられなければ話さないタイプのためもっと改善してほしいと
思っている

王国(マルクト)の天使王 序列10位 クオエル

毎年天使王がコロコロ変わる種族であり、当たりはずれがある
今の天使王は比較的当たりだが、3代前の天使王は大外れだった。

同種族内では民主主義的制度をとっており毎年選挙を行って代表を決めているらしい。
クオエルは保守派思考であり、自領土の安定化を考えるリーダシップ溢れる天使王である。
現状天使王で一番人格者。続いてほしいとティエルは思っている。

知識(ダアト)の天使王 序列11位 レエル

学者気質の天使王で学問に対して身を置きたいと考える天使が集まりやすい、
別種族の天使もレエルについてくる者も多く、唯一の他種族領地の長として
日々研究に勤しんでいる。ちなみ喋らせると長いため、ほかの天使王達は
レエルに話しかけない。

・・・・・・
以上、現状の天使王達の特徴と現状、評価を書いたが、問題は

天使王同士の仲が悪い

これが最も問題とする所だった。

ミーエルが問題を起こした時
もちろんティエルは庇った。
だが第2位リティエル、第5位エミエル、第8位ラタエル、第10位クオエルから猛反発を受けたのだ。

擁護派は第1位ティエル、第3位ラクトゥエル、第9位ラグリエル、第11位レエル

無関心は第6位ミファエル、第7位ユイエル

結果的にミーエル降格派と擁護派が半々だったのとティエルのフォローもあり、ミーエルの降格は免れたものの、他種族同士の天使王の仲が悪いためこのような問題が起きた時仲間を守るという感性が一切ないのがティエルの悩みだった。

第5位エミエルが人形になって現実世界に留まっている件も問題になった
第7位ユイエルが第二の園に選ばれ天使王達にマウント取った事で反発や抗議が起きた問題もあった。

基本他種族が問題を起こしたり、功績を出すと他種族の天使王は不満で仕方ないのだろう。

・・・・・・
ラタエル「私は日頃から不満があります!私は間違いなく他天使王に比べ功績を出しており、実力もあります!なのに何故8位のままなのですか!種族事で序列が決まっているのなら私はこれから努力してもずっとあのユイネルよりも格下の順位のまま生きていかねばならないという訳ですか!!」

ティエル「そもそもね、その序列は天使の種族代表を表す数字であってね、決して天使王達の序列を表す数字じゃないのよ?種族としての序列だからそこに天使王達の優秀か否かは採点に入ってないの、だから皆立場で言えば平行線なんだよ?わかる?」

ラタエル「お言葉ですがティエル様、でしたらこの天使族の副責任者は誰なのでしょうか?まさか第2位のリティエルではないでしょうね?私は過去に一度も彼女と競った事がありません、なのに種族的優劣で天使族の副責任者すらも奪われてしまっていたらと思うと」

ティエル「えっと~~、でもね、争いで優劣は決めて欲しくないというか・・・わかってくれない?」

・・・・・・

ミファエル「ティエル様、私達天使族はもっと高貴で優雅であるべきですが、それは美的センスがなければ成り立ちません、なので私、ミファエルに美、いわゆる芸術部門を任せてはいかがでしょうか?」

ティエル「他の種族の子達の歴史もあるからね、やっぱりミファエルだけに全権利を委ねるのはどうかと思ったりね、もちろんミファエルの美的センスは素晴らしいと思うよ?でも皆違って皆良いって言葉もあるし、ほかとは違う感性だからこそ美は輝くと思いますし、ここは自身の領地でもっと美的センスを磨いては如何かなと」

・・・・・・
ティエル「・・・おかしい、天使族は美徳にちなんだ種族のはずなのに、なんでこうも欲望に溢れてるのだろう・・・」

ティエルは頭を抱えながらも天使族の王として日々天使王達と関わり、関係性を調整する。



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2025年11月09日

No.187 美魅の挑戦【鬼下民】episode3

美魅「帰ったで」

美魅はただそれだけ報告すると疲れた表情のままその場に立つ。

パトはその美魅を見て質問する。

パト「苦しいか?」

パトから見て美魅は自分よりも弱い相手、無抵抗な相手に一方的に攻撃するのは気が向いていないのではないかと感じていた。

美魅「はあ?うちは全然問題ないわ、それにまだ39ポイントやで、まだまだ殺さな出世なんて出来へんのや」

パト「そうか、美魅、非情になれとは言わない、思う所があるならそれと向き合う事だ、無視していいものじゃない、普段の訓練に比べて疲れる原因は何か?現場での緊張、ストレス、果たしてそれだけなのか、もしくは他の要因があるのではないか、そう考えていくんだ、今の美魅を見ていると日頃の訓練よりも疲れているように見てたんだ、勿論本番だからっていうのもわかる、だがあいつらは俺と普段訓練している美魅にとって疲れる相手だったか?俺はそんなに弱いか?」

美魅はパトの言葉を素直に聞いていた。

美魅「・・・疲れたのは別に気を使ってたからやない、そうやな・・・」

美魅は自分の今の状況を考える、どう言葉にすればいいのか考えている様子だ。

美魅「別に個々を襲う時はこんな感情にならへんかった、確かに隠密で気をかなり使って疲れていたのはあった・・・せやけど今回はどこか違う、集団相手を殺してうち一人がその場に立っていた、その現状が凄く・・・孤独に感じたんや」

美魅は自分の気持ちをなんとか言葉にした、そして出て来た言葉が【孤独】。

パト「孤独か、言い得て妙だな、確かに強者は最終的にはその場で孤独になる、そうか、美魅にとってその殺戮の現場は祭りのように高揚していた、そしてそれが終わり、自分だけしか残っていない現状を知って一度冷静になり疲れが出た・・・なのかな」

旅行やテーマパークに行った時の状況に似ている

人は何かをして楽しんでいる時、疲れを感じにくい、だが一度遊び終え、家、主に自分の肉体や精神が休まる場所に戻った時に疲れが一気に出て来る感覚、脳のスイッチが切り替わったような虚無感や脱力感、美魅はその感覚に近いと言った。

パト「美魅、今日はもう休め、明日別の場所に向おう」

美魅「どこで休むんや、第十一園は休む場所なんて・・・」

美魅は自分で喋っていて途中で気が付いた。

美魅「いや、あるな、うちが殺したこの村の家が・・・」

パト「そうだ、美魅、もしお前が望むならこの村は美魅の物になるんだ、それだけの強さと戦いを繰り広げたんだぞ、美魅が」

美魅は眼を見開く。「ここ全部がうちの好きにしてええんか・・・」とボソっと呟く。

美魅「・・・とりあえず休むで、うちはもう疲れたんや」

美魅は村で一番綺麗な建物を選びそこで休む事にした、
それは元々住んでいた鬼族が美魅を殺すために抜け出した家、だからこの家に死体や返り血はない、
だがパトや美魅にとってこの家はボロ屋であり、とてもじゃないが衛生面が整っているとは言えない家だった。

美魅「ここで風呂に入るなら水を布に浸して拭くしかないで」

美魅は家の中にある比較的綺麗な布をパトに手渡す。

パト「じゃあ先に美魅が身体を拭いておいで、かなり疲れてもう寝たいだろ?」

美魅「そうやな、主も別に家の中ならどこででも拭いててえんやで、シャワーとか湯舟とかないんやからな、そもそも溜めて置ける水だって満足にない、綺麗な水なんて貴重品なんや」

パト「ああ・・・」

パトは美魅にそう言われると個室に入りそこで身体を拭く。

・・・・・・
パトと美魅は身を寄せ合うように眠っている。
水で身体を拭いたため体温が下がっている二人は身を寄せ合い、お互いが向き合う形で寝る事で対応を確保しようとしていた。

美魅「うちは温いけど主はええんか?」

美魅は頭から足までパトの内側に収まっていた、パトは美魅に腕枕をし、もう片方の腕を頭を撫で気を落ち着かせていた。

パト「俺だってこういう環境は慣れてる、それに今頑張っているのは美魅であって俺じゃない、一番体力を回復してほしい子に一番休んでて欲しいんだ」

パトは美魅の頭を優しく撫でる、美魅はその手のぬくもりに心を落ち着かせ眠りに入る。

パト「・・・」

パトは考えていた。

パト(美魅は孤独と答え、俺はそれを娯楽特有の疲れと例えた、けどそれは寂しさもある、ずっと美魅は一人だった、そして俺と出会い、エテルというほぼ同じ歳の女の子の友達が出来た、帝国で学校に行かせてあげる事で沢山の友達を作ったとも聞いていた。月花の九騎神使の子達とも仲が良かったと聞いて凄く微笑ましかったしね)

だからこそパトは不安を感じていた。

パト(美魅は・・・本当は殺し合いじゃなくて仲良くしたいんじゃないかな、ここの制度の都合上どしても相手を殺さないと出世できない、そして立場が弱いままだと自分の意見すら言えず、生殺与奪も自分で選ぶことが出来ない、美魅は今その葛藤の中に居るんじゃないか、そう考えてしまうんだ)

本当は殺したくない、仲良くしたい、だけど殺さないとその夢は実現しない

そんな最悪の矛盾を生んだ現状が美魅の中で違和感として残っているのではないかと
だが美魅自身そこに気付いていないのではないかと。

パト(平和を望むために戦争をする・・・そんなジレンマと同じってわけか、これは武力による戦争だ、勝者の方針がこの国の方針になる、強い者が発言した言葉で弱い者達が無償で言う事を聞いてくれる【戦う必要がなくなる】そんな歪んだ正義が美魅の中にあるのではないか・・・と、考え過ぎか)

パトが考えていると美魅は既に眠っていた。

パト(あと何日掛かるかわからない、でも俺は美魅の主であり保護者なんだ、しっかり導いてあげないとだよな)

・・・・・・
そして数日が経過し、美魅は他の鬼下民階級の鬼達を撃破していった。

そして100ポイント取得に成功した。

パト「帝園に入って大体3週間くらいか、結構長かったな」

美魅「せやな本来なら生活しながら地道にポイントを稼ぐもんやからな、時にスピード出世を狙った奴が大量虐殺をするっていうのも珍しいわけじゃないけどな、早く済ませようとしても時間は掛かるもんや」

パト「それでどうするんだ?昇格戦、やるか?」

パトは美魅に提案する、だが美魅は浮かない顔をしていた。

美魅「うち一度だけ格上と戦ってみたいわ、正直今の内はどれだけ強いのか・・・それを知りたいんや」

パト「そうだな、正直次の階級である【鬼中民】の実力は俺も知らないからな」

美魅「鬼中民から人数が限られてくる、つまり一つ階級が上がるだけでも大出世なわけや、こんな広大な大地に鬼中民はたったの約16000人しかおらんわけや、日本の人口に直してもその狭い門やって事はわかるやろ」

パト「そうだな、そう考えたら昇格出来る鬼はたったの4万人、それに対して鬼族の総人口は・・・」

美魅「それは知らんな」

パトはミールを呼ぶ。

ミール(おおよそ9800億人ですかね、鬼族はそこまで多くは作られていませんので)

パト「9800億だって、ってことは1%未満の超エリートって事じゃないか、美魅、本当に挑むのか?なんか数字だけ聞いたらかなり強いんじゃないかって不安になったんだけど」

美魅「ビビってる場合ちゃうで!せっかく挑戦権を得られたのに次に行かんなんてアホやろ!」

パト「待て!冷静になって考えてみろ、9800億の鬼族が居て日々そこまで変動していないって事はそれだけ鬼中民の強さは秀でているって事だ、これが1億程の人口ならまだ向上心が少ないやつが多いのかって納得するけど、9800億も居てここまで殺伐とせず平穏に階級が変動しないのはおかしい」

美魅「ビビりやな、そんなもん簡単な話や100体も殺せないって事や、そもそも鬼族は頭が悪いんや、教養なんて皆無や、算数だってまともに出来ない馬鹿ばかり、1+1なんて簡単な問題も2年前のうちだったら絶対に応えられへんかった、それがこの世界の現状や、うちみたいに教養を得て作戦を立てる頭がないんや、やからとりあえず殺して、殺されてを繰り返して100ポイント溜めてをやって来てるんや、効率なんてもんこの園には存在せえへん!」

パト「そ、そうか、そんなレベルなのかここは」

美魅「そもそもここは常に食糧難や、まともにご飯も食べれへん奴が殆ど、やから共食いやって当然のように起っとる、うちはそれすらもありつけなかった、やから土を、虫を、微かに生えてる雑草を・・・食べて来たんや、弱い奴は共食いにも参加出来へん、むしろ狩られるだけや、ほんで肉体だけは治る」

パトは美魅を強く抱きしめた、当時はただの成り行きで面倒を見る形だった。
だが今は違う、あの時に美魅に出会ってこうやって保護出来て本当に良かった。

パト「美魅、今の生活は満足か?」

美魅「満足?当然や、毎日当たり前のようにご飯が出て来る、当たり前のように勉強が出来る、当たり前のように寒い時は温かい部屋、暑い時は涼しい部屋におられる、お風呂にも毎日入れる、周りに気を許せる友達がおる、それでなんで満足出来ないや?意味がわからへん」

パトは美魅を強く抱きしめる。

パト「今更だな、こんなこと今まで聞いても来なかったから全然美魅の居た環境に対して想像出来なかった、でもこうやって聞いて、美魅が満足しているなら俺は凄く嬉しい・・・」

美魅「今更何言うとんねん、でもやからわかるんや、きっと鬼中民はそんなに強くない、うちは確かに突出した力はない、所詮は子供や、真鬼縛解してやっと戦える程度や、やけど今のうちには知恵がある、技術がある、本能だけでは補う事が出来ない強さがある、多くの敗北もしてきた、多くのタイプの人と何度も戦ってきた、やからこそこの経験は実力以上の物を発揮する、そううちには確信があるんや」

パト「はは、父さんみたいな事を言うんだな、経験に勝るものはなし、かそうだよな、筋力が強くても上手く扱えなかったら意味がない、知恵だけあってもそれを行使出来るものがなければ意味がない、両方があってこそやっと力としても発揮出来る」

パトはいつもこう考えている

力が50 知恵が30だった場合、実際に発揮させる力は30程度に収まるのではないかと

力80 知恵50 だった場合は実際に発揮される実力は知恵の50に影響されて力は50までしか発揮出来ないと

アンバランスでは互いの力を存分に発揮出来ないのではないかと、パトはこの理論を常に頭の中で組み立て教育してきた。

パト「わかった、なら一度鬼中民と戦ってみろ、だけど負けそうになったら今回は俺が仲介に入る、だがそれは美魅を逃がすためだ、代わりに俺が鬼中民を倒すって事じゃない」

美魅「はあ!何勝手な!」

パト「勘違いするな、美魅を守るためじゃない、俺だって鬼中民の実力は把握しておきたいんだ、今後鬼族と契約をするとなれば最低でも鬼中民クラスの連中を相手にして倒したい、俺の都合だ。」

美魅「主はうち以外の鬼族も仲間にする気なんか」

パト「当然だ、鬼族と契約すれば俺の身体能力が向上する、以前俺が帝園の全園の従属大量契約をした話をしただろう、その中には勿論美魅と同じ【鬼下民】の子もいる」

パトは以前契約方式が【討伐式】の従属を中心に多くの契約を得た、そして強化された

精霊族はLv.1を10体
怪人族は一般妖怪を20体
鬼族は【鬼下民】を20体
邪人族は【五等兵】を10体

それ以外で言えば
獣は4体
天使族は【天使】を10体
龍族は4体
聖人族は【五等聖】4体と【四等聖】1体
機械族は4体
魔族は6体

パトは少なくとも88体の従属契約に成功し、それだけ力も得ている、

パト「わざわざ召喚する事もないし、出してないだけでそれなりの従属は既に居る、でもこれからだって力をつける、実戦経験を得るために戦い続ける、真名開示式や任意式だって結局のところ力で屈服させてるなら認めてもいいっていうほぼ討伐式と変わらない契約だって事もわかってるしな」

美魅「なんかずるいわ・・・」

パト「でも美魅はそんな俺を超えたいって努力してるんだろ、なら頑張れ、俺も美魅が強くなれるように傍で見ていてやるからさ、そして【鬼下民】で契約した子が大出世して強くなった!って言わせてくれよ、その方が俺も誇らしいしさ」

パトは美魅の頭を笑顔で撫でる、美魅は複雑そうな顔をするが、パトの笑顔が自分にだけ向いている現状、ここまで我儘を言っても向き合ってくれる、それだけでも美魅の気持ちは充分に満たされた。

美魅(多分これが愛情って奴なんやろうな、ここが居場所なんやって身体が、脳がそう納得しとるんや、エテルも最近家族愛について考えていたって聞いてたし、うちも似たような感覚になってたかもしれんな)

美魅にとってパトは当初と変わらず憎い相手だ、だがそれ以上に我儘を言っても許してくれる、心を開ける大事な存在だ。

美魅「よし、なら探すで!うちが鬼中民を倒しても文句言うなよ!」

パト「言わない言わない、そもそも美魅で倒せるなら俺でも倒せそうだしな~」

美魅「うっざ!ええわ!ここで一気に強くなって主ビビらしたるわ!うちが勝ったらどっちの稽古かわからんなるな~」

パト「俺に勝ってから言えっての!」

パトと美魅はそう話しながら【鬼中民】を探す。

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2025年10月16日

No.185 美魅の挑戦【鬼下民】episode2

パトと美魅は準備をして帝園に入った。

パトが帝園に入るとそこには十三天の心 ノラが立っていた。

ノラ「主様、お待ちしておりました、第十一園ですね、では今すぐ案内します」

パト「話が早くて助かるよ」

美魅「・・・」パトの後ろに隠れる

パト達はノラに運ばれ第十一園の【鬼下民】達が過ごす部落で止まった。

ノラ「ここまでしていいか考えましたがいずれはこのような場所に辿り着く、そのため私が最も効率よくポイントを稼げる場所に案内しました」

パト(やだ!この子しごできだわ!(仕事が出来る人の略))

美魅「よし・・・やるで・・・」

ノラは二人を心配そうに見つめながら拠点に戻る。

パト「美魅、最初に作戦を聞かせてくれるか?」

美魅「作戦、まずは離れの民家を狙う、子供、老人を狙う、そして不意打ちや、正面でやりあって増援されたら返り討ちにあう可能性もあるからな」

パト「うん、悪くない、正面突破って言わない限りは了承するつもりだったから問題ないよ、好きにやってごらん」

パトはそう言い美魅の背中を押す。

パト(美魅に卑怯な手で勝ってほしくないって気持ちは当然ある、だけどこれは戦場であり、この園では合法、ならその手段を使わないなんてありえないだろう)

パトは卑劣な行為に対して目を瞑りながら美魅の行動を見守る。

・・・・・・
美魅はまず作戦通り一番遠い民家を狙う、気配探知はやめておく、美魅が探知するという事は相手も美魅の気配を探知する事が出来るからだ、隠密行動では表に何も出さない、これはもちろんパトから学んだ事だ。

美魅(この隠密でうちは何度も寝込みを襲われ、反応できずに首に刃を突きつけられた(もちろんおもちゃの)つまりそれだけ隠密行動スキルが高かったら実力差があっても戦わずして勝つ事が可能ってわけや、身をもって知った事や、油断はせえへん!)

まず美魅は民家の中に何処から侵入するかを調べる、物音一つ立てれば相手は勘付き逆に攻められる可能性もある、【鬼下民】はマシな所であればそれなりの家に住んでいるが、基本は木造の穴が空いたボロ屋、それはまだいい方で野宿をしていつ襲われてもおかしくない状況で睡眠をとる鬼も存在する、美魅もその一歩手前まで来ていたため、第十一園の治安の悪さは理解していた。

美魅(よし、やっぱりこのボロ屋、玄関の鍵が窓の施錠と同じ、外からはどうやっても施錠出来ない欠陥品、ほんでこんだけボロやとそもそも玄関のドアごと取れるもんや)

美魅はドアを持ちあげる、そして少しずつ揺らしながら鍵部分を解錠する、少しずつ動く、錆びているため戻る事なく徐々に解錠されていき、何度か美魅が揺らす事で完全鍵を開ける事に成功した。

そして美魅は民家に潜る、床の木が軋むため、壁側により、脚を上げずにすり足で進む、勿論、足を動かし体重をかける前に軽く確認する、そうして各部屋を探る。

すると寝室らしき部屋を見つける。
現在深夜、部屋に電気なんてものはなく、ロウソクで灯す手段しかない、そのため部屋の電気が暗く、そして玄関で戸締りをしていた段階で家の中に鬼が居る事は確実だった。

美魅(よし、このまま睡眠薬を吸わせて首をナイフで切れば完璧や)

美魅は今回のために帝国の技術開発局から気体の睡眠効果がある薬を無断で盗んでいた。

美魅(おった、あれは・・・老婆と子供か)

美魅はターゲットを確認すると作戦通りに睡眠薬を二人の口元に近づける、そして数分待ち、効果が出ている頃合いを見計らって二人の首をナイフで切る、それは派手さはなくただ無音のまま殺害が実行された。

・・・・・・
パトは美魅が動いてから1時間ほど身を潜めて待っていた。

パト(さて、上手く出来てるのかな美魅は、大騒ぎになってない所を見るにバレてはないみたいだ、でもあの美魅が隠密を選ぶとはね、でも勝つなら間違いない選択だ、美魅はまだ子供、真鬼縛解(しんきばっかい)で力を解放すれば一時的に戦えるかもしれない、だけどそれは短期決戦限定、集団相手にまったく向いていない、だからこそ子供状態でも戦える方法を身に着ける必要があった、子供の美魅はなんとて非力だ、以前まで持っていた大剣なんて絶対に持てない、今持ってる刀は軽量化してあるから持つ事は出来るけど重さが無い分持ち主の力が必要になる。美魅は非力故に軽量の刀を持ってるだけ、となると・・・勝負向けではなく自衛向けの武器という事だ・・・)

パトは考えていた、美魅を1年間面倒を見て、どう戦える状態にするか、それを考えて来たからだ。
1年経ったと言っても美魅は11歳の女の子、それは鬼族であっても変わらない、そこの認識をまず持たないと美魅は何も出来ないのだ。

そうこう考えている内に遠くから美魅が歩いてきた。

美魅「帰ってきたで」

パト「お疲れ様、どう?上手く行ったか?」

美魅「ああ、とりあえずは4つの民家を狙ったわ、どれも上手くいった、殆どが一人暮らしやったんやけど、一つだけ二人暮らしやったんや、おかげで今は5ポイント、残り95ポイント、先が長いで・・・」

パト「そうか、夜が明けるまでがタイムリミットだ、陽が上がる前だと散歩する鬼が居てもおかしくない、農家だったら尚更朝は早い、そこも踏まえてしっかり動くんだぞ、朝を迎えればすぐに襲撃の情報は村人に入る、明日もここを狙うとなれば難易度はかなり跳ね上がるぞ、既に5人の犠牲者を作ってるんだからな、後村のコミュニティは狭い、すぐに情報なんか回る、油断するな」

美魅「わかったで、今日が一番楽やからしっかりやれってことやな」

美魅はそう言うと闇の中に消えていった。

パト「本当言うなら正々堂々力比べをしてポイントを貯めろ!じゃないと修行にならないだろ!って言いたいんだけど・・・100人切りをって言われたらどうしても効率を考えるなぁ、それに美魅の弱点も考えると・・・とてもじゃないけど指示出来ないや」

パトは陽が出るころまで待った。

・・・・・・
美魅は襲撃に何度も成功していた、美魅は自分の弱点をしっかり把握出来ているため、力技を選ばない、少なくとも子供の姿では絶対に。

美魅(うちは非力や、勿論この刀もうちの非力じゃ一刀両断なんて技は無理や、せいぜい出来るのはこの刀の切れ味を生かしてゆっくりと刃を入れることだけ、でもそれを理解してるならそれでええ、しっかりやれることをやるんや)

結果的に11名の殺害に成功した美魅。

・・・・・・
パト「よし、とりあえずこの村から距離をおくぞ」

美魅「そうやな」

パトと美魅は当てもなく村を離れる、そして山の中で身体を休める。

パト「一応ここを拠点に出来たらと思って穴を掘っておいたよ、残り89人、まだまだ先は長いな」

美魅「せやな、しかもここから奇襲の件が行き渡る、警戒が強まるってわけやな」

二人は一晩を過ごす、その間美魅は休み、パトは村の方に出向き情報を集めていた。

・・・・・・
パト「うん、しっかり情報が回ってた、それで今日緊急で役員達が集まって策を練っていたみたいだ、内容までは聞けなかったけど相当警戒してないといけないぞ美魅」

美魅「ならここからは隠れてもダメって事やな、ここで力を解放して戦うしか」

美魅がそう話しているとパトがその言葉を遮る。

パト「それはまだ早い、むしろ今一番警戒されている、ならそれを利用しない手はない」

美魅「どうするんや?」

パト「今日は何もしない、だけど言葉通り何もしないわけじゃない、そうだな、遠くから民家に爆竹を投げて音を出してもいい、まずは相手の警戒を強めて疲弊させよう、投げる距離も離れてる方がいい、だから銃のようなデザインがいいだろうな」

パトはそう考えると召喚でネスを呼ぶ

ネスは第十園 妖怪族でネス工房という独自の工房で生計を立てているパトの従属。

ネス「うっす、えっと、なんのようっすか?」

パト「ネス、着弾時すっごい音がなる銃弾、それとそれなりに距離がでる銃を作ってくれないか?」

ネス「えっとなら見積もりと製作期間を」

パト「悪いけど製作時間は明日の夜までだ、それ以上は待ちたくない、後見積もりは後日にしてくれないか?俺はいつもネスが求める金額をしっかり払ってるだろう?信頼してくれないか?」

ネスは考える。

ネス「いいっすよ、ほかの従属なら逃げられるかもっすけど、主は逃げられないっすからね、あと明日までなら全然余裕っす、銃弾は何発必要なんすか?明日までなら1000弾くらいなら余裕っすけど」

パト「流石だな、だけどそんなに持てないから100弾でいいよ、ありがとうな、ネス」

パトはネスの頭を撫でる、ネスをはわわわ~っと慌てながらもパトの手を受け入れる
それを横から見ていた美魅は少し不貞腐れるが今自分に出来る事を考え、パトがそれに対して最大限のバックアップをしてくれている事を考えると我儘は言えないと考えていた。

・・・・・・
一日が経った。

パトはネスを呼ぶために基地で待機していた。
美魅は村に偵察に向っていた。

美魅「自警団みたいな連中がおるな、やけど気配的にどいつもこいつも大した事なさそうやな」

パト「油断するな、相手も鬼、美魅と同じ真鬼縛解を持ってる、あれは最も力が出やすい肉体に変化して戦う鬼族特融のスキルだろ、それは間違いなく相手も持ってるんだ、使われたら美魅だって苦戦するかもしれないぞ」

美魅「知っとるわ、うっさいな、ほんでネスは来たんか?」

パト「今から呼ぶところだ」

パトはネスを呼ぶ、するとネスの手には銃と銃弾100発分を手に持っていた。

ネス「やっと呼ばれたッス!いつ呼ばれるかヒヤヒヤしてたっすからずっと両手に持って待機してたっす!」

パト「あ、そうなの、悪いね、でもありがとう、料金はまた見積もりしてくれたらその金額渡すから」

ネス「暇だったんでしっかり見積もり作って来たっす!」っす!

ネスは笑顔で見積書をパトに渡す。
パトはそれを確認し、了承し、金額をネスに渡す。

ネス「まいどっす~~♪」

パト「ちなみにネス、素材の原価はいくらだ?」

ネス「え?あ、その・・・忘れたッス・・・」ささ

パト「またどんぶり勘定で査定したなーー!お前それ出来ないとずっと赤字経営だぞ!!」

ネス「すんませんっすーーー!!」

ネスがパトにつかまり、じたばた暴れる、そしてパトはネスに追加の金額を手に持たせネス工房に戻す

パト「いいかネス、多分本来ならこれくらいの金額にはなるはずだ、持っとけ!あと帰ったらすぐに原価を確認!いいね!」

ネス「うっす・・・ありがとうっす・・・」すぅ~~

ネスは消えた、そして準備が整い、パトは美魅にその銃弾一式を手渡す。

パト「撃つのは美魅だ、それに殺傷性はない、凄い音が出るだけだ、1日10発、それをあらゆる方向から撃つ、そして相手の警戒心を高め疲れさせる。ずっと警戒してたら精神がやられるからな」ドヤ

美魅「これどうやって使うんや?」

パト「弾を充填してここをセットして、引き金を引く、それだけだ、出来れば民家にぶつけて鳴らすのが一番だな、その方が村の中で何かが起こったって思ってくれる」

美魅「やったるわ・・・」

そして二人は夜を待つ。

・・・・・・
夜

美魅は銃を構える。

美魅「撃つで・・・」

美魅は構える、ターゲットは暗い中でうっすら灯る民家の光、それを狙い定め撃つ!

バン!!!

弾は美魅の想定の弾道を外し、民家から離れた所に着弾し、けたたましい音が鳴り響く

パ―――――――――――――ン!!!!

村が大騒ぎになったのを確認した。

美魅「なんやこれ!大分ズレたで!!」

パト「そりゃそうだ、距離があるってことはその間の空気抵抗、風の向きだってある、それらを考えないと弾道なんて変わる、そもそもこんな距離素人がどうこうするなんて無謀なんだよ、それより移動するぞ、次は別の方向から撃つ、それをそうだな5日間はやる」

美魅「ちまちましとんな・・・」

パト「俺はここでのポイント稼ぎ、美魅は子供のままクリアしてほしいんだ、子供の美魅は戦う事が出来ない弱い存在だ、ならどこで補うか、それかこういう策で地道に狙う、これだって勝利しやすくするための手段、手を抜いていいものじゃないわかるか?」

パトは美魅に教育をしながら野山を走り次のポイントに向かう。

パト「ここだ、美魅ここで撃て」

美魅「はぁ・・・はぁ・・・待てや、今息が上がってそれどころじゃないんや・・・」

パト「これも鍛錬だ、自然の野山を走るのは疲れるだろう、地面が整ってないし暗いし、障害物多いし、速度を出せば出す程障害物という情報が早く美魅を襲う、それは戦闘でも同じだ、自分が早く動けばそれだけ早い判断能力を必要とする、美魅はスピードタイプで強くなるなら判断力を高める必要があるんだ」

美魅はパトの言葉に耳を貸しながら呼吸を整え銃を構える、そして発砲、民家に命中する事なく近くの木に命中、そして再度けたたましい音が鳴り響く!!

・・・・・・
この作戦を5日間続けた、昼は帝国に戻り、夜は発砲する。

それを続けた結果成果が出始めた。

美魅「ええ感じやな、全然覇気がないで、あいつら」

パト「かなり疲弊しているんだろう、ここはあまり裕福な村じゃないしな、食料だってまともに手に入ってないんだろう、どの鬼の女性も皆細い、狩られる側の鬼だからこそって感じだ、美魅、自警団を闇討ちで狙え、後ろからだ、2人ずつくらい削れ、大体8人だからな、徐々に削って自警団を消滅させればそのまま真鬼縛解で打ち落としていい、実力者はその時には不在だろうからな」

帝園のルールで帝園内で死んだ場合、1週間後に蘇る、そのため自警団を狙うと決めた以上1週間以内に決着をつけないといけない。

美魅「わかったで、なら行ってくるわ」

・・・・・・

美魅は上手く気配を消し、疲弊しきっていた自警団を狙う、そして自警団の二人が美魅が隠れている民家の横を過ぎる瞬間、美魅はそのタイミングを逃す事ないく一人の首を切る!

自警団A「うが?!」ぶしゃああああ
自警団B「誰?!どこにいるの?!」

自警団BはAの様子を見てすぐに警戒を強めた、そして大きな声で威嚇するがその時には美魅は姿をくらませ、背後から自警団Bの首を切る、そして二人共地面に伏し、息絶える。

美魅(あかんな、いまの大声で集まってくるかもしれん、となると作戦とは違うけどここで狩れるだけ狩っておく方がええか・・・)

美魅はその場で身を潜める、すると先ほどの声を聴きつけて二人組の自警団CとDが現れAとBの惨状を見て唖然とする、だが偶然二人は同じ体勢、同じ同線に居たため美魅はチャンスと二人同時に首を切る!

自警団C「うがぁ?!」
自警団D「おのれーーー!!!」

自警団Dがもたつく足を何とか動かし美魅に反撃を仕掛ける、だが美魅は距離を取り、瞬時に懐に入ると自警団Dの首を再度切りつける、そこから出血多量で倒れる。

15ポイント。

美魅「さて、戻るか・・・」

・・・・・・
次の日

パト「自警団の人数は増えてないな、美魅が昨日二人多く倒したから今日は4人行動だ、多分離れる事はないだろうな、ということではい、銃!」

美魅「行ってくるわ」

美魅は村に降りると4人行動をしている自警団を見つける、すると美魅は少し離れた民家に向って銃を撃つ、するとけたたましい音が鳴り響く、美魅も初めて近くで発砲したためその音のデカさに驚く。

自警団4人は慌てて音がなった場所を確認する、もちろん4人居たとしても一人は確実に3人よりも後ろに立つ事になる、美魅はそこを狙う。

自警団E「うぎゃああああああ!!!」

残りの自警団が振り向くと首を切られ、血をまき散らしながらのたうち回る仲間の姿があった。

自警団F「警戒して!!」

美魅「もう遅いで」

美魅は少し離れた場所から再度一発、だが今度はそれを自警団に撃つ」

自警団F「うが?!」

殺傷性はなくともそれなりの勢いで飛んできたものが当たれば激痛だ。
そしてその弾の本来の性能は音。

パ――――――――――――――――ン!!!!!!!

自警団達「ぎゃあああああああああああああ!!!」

3人が耳を抑える、だが美魅をそこを狙う、

1人・・・2人・・・・3人!!!!!

混乱の中美魅は3人の首を切る事に成功した!

そして地面で暴れる3人の首を再度刺し、その場を離れた。


19ポイント

・・・・・・
美魅「これで自警団はおらんなったな」

パト「ああ、だけど次の行動はどうなるか、わかるか?」

美魅「わかるで、集団行動やろ、身を寄せ合って身を守る、やからうちが真鬼縛解して一気に畳みかけるって話やろ」

パト「そうだ、集団の守り状態に居たらまともに相手は戦えない、だけどこっちは狙い放題、もうこっちが有利なのは変わりない、無慈悲に全滅させてこい!」

美魅はパトに言われるまま次の日の夜、鬼達が集まる集会所を襲撃する。


・・・・・・

39ポイント

美魅「これで全部やな・・・」

むせかえるほどの血の臭い、美魅の一撃が多くの村人の頭や胴を飛ばした。

美魅(これでもたったの39ポイント、ほんまに誰も住んでないんやな)

美魅は帰る、パトの元へ。



patopatoblog at 07:22|Permalink

No.184 美魅の挑戦【鬼下民】episode1 ※設定説明あり

美魅はパトと出会った1年で強くなった。

ネルとの約束で帝国でもパト以外誰も美魅に特訓の面倒を見なかった。
パトがずっと美魅の鍛錬をしていた。

結果的にパト達が出場した第五回WCBT、その次の年に開催された第六回WCBTにてベスト16という
輝かしい結果を残した。

だがこの結果に美魅は納得しておらず負けた事でパトに無理を言って訓練を続けていた。

・・・・・・

美魅は悩んでいた、【もう挑んでみてもいいのかしれない】と。

元々美魅は帝園 第十一園の従属であり、階級は一番下の【鬼下民】

もっとも弱く、そして一番多く所属する落ちこぼれの地位でもある。

地位の決め方にはルールがあり、
鬼下民の階級達は誰かを殺す事で1ポイントが入り、逆に殺されれば1ポイントを失う。

100ポイント溜める事で一つ上の階級【鬼中民】への挑戦権を得られる。
【鬼中民】であれば誰にでも挑戦しても良く、勝てば昇級、負ければ100ポイントを失う、再度0ポイントから集める必要がある。

【鬼下民】側が勝てば挑んだ【鬼中民】と階級を入れ替わる。
そこからはピラミッド式に限られた席を奪い合い、時には死守をする。
鬼族達は己の階級を最も大事にしており、そして最も戦いを好む戦闘種族。

露草美魅は生まれてから誰にも勝つ事が出来ずにいた、それどころか負け続け与えられていた領土も奪われ、畳1枚分の領地しか存在しなかった程の崖っぷちに居た10歳の少女だった。

あれから一年、師を得て技を磨き、戦術を得て力を手に入れた。
美魅は今再度下克上を起こすべく挑戦を始めようとしていた。

・・・・・・
美魅「主、うち帝園に一度戻りたいんや・・・一緒にきてくれんか?」

パト「いきなりどうしたんだ?何か忘れ物でもしたか?」

美魅「馬鹿か、うちは何ももってへん、やからある奴らから奪いたい、つまりは挑戦したいんや」

パトは美魅の言葉を聞き、とうとう戦いの場に身を投じるのかと考える。

パト「わかった、なら一緒に行こう、俺の他に同行者は居るか?」

美魅「いらへん、あと手出しも無用や、別に死んでも生き返る、ちゃんとそういう仕組みや、うちが危ないからって庇うんやないで、これは正々堂々の殺し合いや、そこに鬼族でもない部外者が介入したとなったら末代までの恥や」

パト「そうか、わかった、ならサポーター兼コーチとして美魅を見守ってる、それで昇級までに何が必要なんだ?」

美魅「手っ取り早く言うとやな、100人【鬼下民】を殺せばええ、格上の連中殺しても同じ1点やからな、無差別に戦いを挑んでたらいつまで経っても昇級なんて夢のまた夢や、やからまずはしっかりと格下、もしくは同程度の奴らを殺す」

パト「うん、冷静だ、その判断は間違ってない、偉いぞ美魅」

パトは美魅の頭を撫でる。
美魅は少し顔を赤くしながらパトの手を受け入れる、だが目線は右へ逸らし少し居心地悪そうにパトが頭を撫で終わるのを待つ。

パト(最初に会った頃の美魅なら片っ端から戦う、相手を選ぶなんてそんな卑怯な真似は出来へん!!とか言ってただろうな、ちゃんと学んだんだな)

美魅「とりあえずいつまでも【鬼下民】じゃ恰好がつかん、いずれは最上位の階級になるんや!」

パト「そう言えば階級ってどれだけあるんだっけ?」

美魅「全部で13階級や・・・


【鬼下民】→【鬼中民】→【鬼上民】→【鬼女爵】→【鬼子爵】→【鬼伯爵】→【鬼侯爵】→【鬼公爵】→【鬼大公】→【鬼王】→【鬼親王】→【鬼皇帝】→【鬼天皇】

【鬼下民】所属数は無制限
【鬼中民】所属数は16384名
【鬼上民】所属数は8192名
【鬼女爵】所属数は4096名
【鬼子爵】所属数は2048名
【鬼伯爵】所属数は1024名
【鬼侯爵】所属数は512名
【鬼公爵】所属数は256名
【鬼大公】所属数は128名
【鬼王】所属数は64名
【鬼親王】所属数は32名
【鬼皇帝】所属数は16名
【鬼天皇】所属数は13名

昇降級条件
【鬼下民】⇔【鬼中民】
1殺害1ポイント(合計100ポイント)で【鬼中民】挑戦権獲得
相手は誰でも可、【鬼下民】が勝利した場合、昇格
【鬼下民】に負けた【鬼中民】は降格
【鬼下民】に勝った【鬼中民】は残留、【鬼下民】はポイント全剥奪

【鬼中民】⇔【鬼上民】
ランキング制 年4回
【鬼中民】上位128名と【鬼上民】下位128名が決闘
【鬼中民】が勝てば昇格、【鬼上民】が勝てば残留。

【鬼上民】⇔【鬼女爵】
ランキング制 年4回
【鬼上民】上位128名と【鬼女爵】下位128名が決闘
【鬼上民】が勝てば昇格、【鬼女爵】が勝てば残留。

【鬼女爵】⇔【鬼子爵】
ランキング制 年4回
【鬼女爵】上位128名と【鬼子爵】下位128名が決闘
【鬼女爵】が勝てば昇格、【鬼子爵】が勝てば残留。

【鬼子爵】⇔【鬼伯爵】
ランキング制 年4回
【鬼子爵】上位128名と【鬼伯爵】下位128名が決闘
【鬼子爵】が勝てば昇格、【鬼伯爵】が勝てば残留。

【鬼伯爵】⇔【鬼侯爵】
ランキング制 年2回
【鬼伯爵】上位64名と【鬼侯爵】下位64名が決闘
【鬼伯爵】が勝てば昇格、【鬼侯爵】が勝てば残留。

【鬼侯爵】⇔【鬼公爵】
ランキング制 年2回
【鬼侯爵】上位32名と【鬼公爵】下位32名が決闘
【鬼侯爵】が勝てば昇格、【鬼公爵】が勝てば残留。

【鬼公爵】⇔【鬼大公】
ランキング制 年1回
【鬼公爵】上位16名と【鬼大公】下位16名が決闘
【鬼公爵】が勝てば昇格、【鬼大公】が勝てば残留。

【鬼大公】⇔【鬼王】
ランキング制 年1回
【鬼大公】上位8名と【鬼王】下位8名が決闘
【鬼大公】が勝てば昇格、【鬼王】が勝てば残留。

【鬼王】⇔【鬼親王】
ランキング制 2年に1回
【鬼王】上位4名と【鬼親王】下位4名が決闘
【鬼王】が勝てば昇格、【鬼親王】が勝てば残留。

【鬼親王】⇔【鬼皇帝】
ランキング制 2年に1回
【鬼親王】上位2名と【鬼皇帝】下位2名が決闘
【鬼親王】が勝てば昇格、【鬼皇帝】が勝てば残留。

【鬼皇帝】⇔【鬼天皇】
承諾制 (最高責任者と当事者2名の計3名の同意の元で行われる3ラウンド2先取決闘制)
【鬼皇帝】と【鬼天皇】が決闘
【鬼皇帝】が勝てば昇格、負ければ10年間の挑戦権を剥奪
【鬼天皇】が勝てば残留、負ければ10年間の挑戦権を剥奪

【鬼天皇】1位~13位内
承諾制 (最高責任者と御神体、当事者2名の計4名の同意の元で行われる3ラウンド2先取決闘制)

挑戦権は年に1回のみ、挑まれた側は消費なし、
挑戦者は勝ったら順位入替、負けたら挑戦してから1年間指示に従う(拒否権はなし)
応戦者は勝ったら順位残留、負けたら挑戦者順位を入替、1年間指示に従う(拒否権なし)

っていうのがルールやな」

パト「よし、メモッた、成程、現実世界で言うと将棋とかの昇格戦に似てる所があるな、とりあえず美魅が目指すところは【鬼中民】、100ポイント獲得のために100人の鬼族を殺害、結構大変そうだな」

パトは美魅に拳をつきだす。

パト「だけど決心したんだろう、なら全力だ、やるぞ!美魅!」

美魅「任せえ!!」

patopatoblog at 02:32|Permalink

2025年10月10日

No.183 エテルの進化episodefinal

エテルが目を覚ますとそこにはパトが居た。

エテル(あれ、あれからあまり時間経ってないけど、どれくらい時間が経ったんだろう?それともただ朝を迎えただけ?)

エテルは脳内で考えるが答えは一瞬で出た。

月花「んん・・・」

その布団には何故か月花も居た。

エテル(主様と月花が寝てるって事は数日は経ってるのかな?何かやってたというより夜遅くなったからそのまま寝たみたいな感じかな)

エテルは狭いベッドから抜け出し、カーテンを開ける。

エテル(まだ夜、時間は深夜3時、えっと、デジタル時計に表示されてるカレンダーからするに・・・3日程経ってるね、やっぱり時間の進み方が全然違うんだね、帝園は)

エテルは寝静まった街と暗くなった街のおかげでよく見えるようになった星空を眺め終えるとカーテンを閉め、机の上に置かれている書類に目を通す。

エテル(見積書、成程、建設会社から見積書が届いたから見比べてたのか、あ、設計書もある、色々メモしてるね、一応主様と月花なりにメリットデメリットを考えてたんだね、確かにそれらをまとめないと他の皆に伝えられないからね、でもこれ、まとまるのかな?)

エテルが見ていた設計書はどれもよく出来ていた。
事実どの設計書もしっかりをメモが記載されており、パト達が凄く悩んでいるのが見て取れた。

エテル(とりあえず設計書、私も見ておこうかな、暇だし)

エテルは設計書を暗い部屋の中でただ見つめる、エテルは機械族のため暗くてもしっかり内容は把握出来る。

エテル(ミール様に勝った、だけど得体の知れない人に負けた、でも力は失ってない、という事はあのまま覚醒した状態で現実世界に出られたって事だね・・・でももう二度と帝園には戻れないな)

エテルは設計書を眺めているが先ほどまで行われていた戦闘を思い出す。
結果的にエテルは覚醒し、その力を得たまま現実世界に戻ることが出来た。

エテルは自分にどのような変化があったのか、冷静に考えていた。

まずシオから御神体であるホープ・ダイヤモンドのデバイスを受け取った。

そしてミールと対峙し、御神体が自分自身と一体化する感覚があった。

ミールの世界を殺し続け、そのエネルギーを吸収した事で莫大なエネルギー、パト流で言うならゲームの経験値のようなものが大量に入った、そして御神体と一体化した身体は進化した。

そう、私はただの従属ではなく、【世界王】として覚醒した、しかもネルとは違う、誰かからの恩恵で進化したわけではなく、独自の力のみで覚醒した。

エテル(世界王に進化したからどうなったってわけじゃない、さっきまで凄く感情が高ぶってたのに今はいつも通り、私自身が変わったとはいえ、私という人格が変わるわけじゃない、そういう事なんだね)

エテルはもう設計書を見ていなかった。

エテル(決めたんだ、私は主様のためだけにこの力を使うと、だから進化出来たのかもしれない、ただ目標もなく前を進もうとしてたら多分何も成し遂げられなかっただろうね、そうか、こうやって道を決める事が出来たのも私が成長した証なのかな)

エテルは思い出す、自分の故郷第八園から追い出され、ただ帝園という広大な大地を歩き続けた日々を、ただそれには目標はなく、ただ何も求める事なくただ景色が変わっていく風景を眺めながら歩いていた、その先にパトとの出会いがあった。

パトと出会った事がエテルにとって人生最大の分岐点だった。
スティアとの会話を聞いていたエテル、最初はただ気まぐれだった。

【暇だし、何かあればいいかな】

そんな気まぐれがパトという運命の相手を見つけた。

エテル(この2年、凄く楽しかった、私は愛されてるんだって自覚出来たし、疑いもしなかった。そんな愛情を与え続けてくれた、あれからも多くの従属と接点を持ったのに私をずっと傍においてくれた、こんな私を特別にしてくれた、従属なのに従属としてではなくまるで家族のように接してくれた、沢山の事を教えてくれたし、褒めてもくれたし、怒ってもくれた、私以上に私の事を考えてくれた。こんな幸せな事はない)

エテルの顔から笑みがこぼれる。
凄く充実した感覚、エテルはきっとパトの事が好きだ。

ただそれは異性としてではなく、家族愛、まるで自分の親に向ける愛情、替えの効かない存在

エテル(私に家族は居ない、だけどもし両親が居たとしたらお父さんは主様、それでお母さんはシオなのかな、二人から沢山の物を貰った、だから二人にために私の力を使いたい、使えたらいいな・・・)

そう考えるエテルの眼には光が宿っていた。
それはまるで機械族の表情ではなく、年相応の女の子の表情、幸せに満ち足りた笑顔。

エテルは間違いなく豊かな感情を手に入れた。
朧げに感じていた自分の感情が今ならよくわかる。

エテル(私、世界王に進化したなら自分の世界があるのかな、それなら一度世界に入ってみたいな、どんな世界なんだろう)

エテルは望んだ、自分の世界が一体どのような世界なのか、エテルは自分の世界に何を望んだのか、エテルという存在からどのような世界が生成されたのか、それが気になって仕方なかった。
だからエテルは自分の世界に入るために意識を鎮める。

・・・・・・
エテルは眼を開く、

風がある、陽が当たる、温かくて心地いい世界だ。

エテルの視界には広大な自然が広がっていた。

エテル「綺麗な世界・・・あれ、頭の中に名前が浮かぶ?」

【崩園(デストルエデン)】

エテル「崩園、名前からして物騒な世界だと思うけど・・・一体ここはどんな世界、・・・あ」

エテルは広大な自然の大地に一つ浮かび上がる球体を目にする。

エテル「なにこれ?」

エテルは不自然に浮かぶ球体に触れる。
何もわからないエテルの中に多くの情報が入ってくる。

【未練はないか、もしあるならその未練を崩壊させましょう】

エテルの脳内に入って来たのは今苦しんでいるパトの姿だった。

帝国で多くの過ち、挫折、後悔をして苦しむパトの姿。
それを見たエテルは心が苦しくなる、だけど自分ならこんな苦しい出来事をどうにか出来る。

そう確信した。

エテル「そっか、ここは私が納得できない未練を崩壊させる場所なんだね、それは悪い事も良い事も含め全部、それが私の世界なんだね」

エテルは歩く、そして次の球体を見つける

そこには神羅万象支配という才能を開花させたシオの姿が映し出された、そして無理矢理自分の居場所を奪われ、法を破り、孤独に苦しみ、ミールやパトを恨み、時にパトと対峙したがその結果エテルを救ってくれた恩人に対して酷い事をしたという罪悪感からミールの世界に閉じこもってしまったシオの姿。

エテルはここまでのシオを知らない、だけど全ての経緯、そして未練の元凶が映し出される、だがその映像には色がない、まるで記録として存在しているだけで何も意味を成さない、そう見せつけられているようなもどかしさを感じる。

エテルは歩き続ける。

次の球体、そこには糾弾した第八園への怒り、苦しみ、これはエテルの未練、恐怖の対象としか見られなかったことで孤独になったエテルの記憶、だけどこの映像にも色がない。

エテルは歩き続ける、そこには先ほどに比べて小さい球体が空中に散らばっていた。

エテルは球体に触れていく、それは日常での後悔、日常での思い出、美魅とリルと遊んだ時の思い出、
そのどれもがエテルにとって大事な記憶だった。

エテル「そっか、わかったよ、ここは記憶の世界なんだ、私が今まで記憶してきたものがこの球体として保存されている、だけどこれはその記憶の前後、私が知るはずのない経緯も記録として残ってるんだ、例えば私が美魅と口喧嘩した日、私はただ美魅の機嫌が悪いから怒ってるって思ってた、けどこの球体を見てわかった、美魅は嬉しい出来事があったんだ、だけど私はそんな事も知らずに美魅の嬉しい気持ちを共有出来なかった、それが美魅にとって悔しい出来事だった、だから喧嘩になった。そしてその後、美魅は私の事に対して文句を言ってる、だけど次は絶対に羨ましいと思わせてやる、そういう出来事の続きがあった。」

やりなおした・・・

エテルは思う、こんな現状を知ればもっと美魅が満足する言葉を選んであげられた、きっと美魅は満足するだろう、そしてこの記録は嫌な思い出ではなく良い思い出として残るだろう。

それが崩園、記録を崩壊させる世界、きっとここで変えた記録は現実の結果も変えるのだろう、だけどそれは難しい程球体は大きく、簡単な程球体は小さい、さっきの美魅とのお話、エテルは球体に触れる事で同じ環境を体験した。

・・・・・・
美魅「エテル!今日なあの駄主から一本とったんやで!あの悔しそうな顔!エテルにも見せてやりたかったわ~」

エテル(もう間違えない、ここで私が出す答えは)

エテル「凄いね、美魅は本当に努力家だね、次もきっと一本とれるよ」

エテルは薄く笑う、それはわざと。
美魅がエテルに対して疑問を抱かない程度に。

美魅「せやな!これならあの駄主を超える日も近いで!日頃の特訓にもやる気が出るってもんや!!」

美魅は喜んだ、エテルは美魅の喜びの気持ちを分かち合った。
始めて他人と気持ちを共有した。

エテル(そっか、他人の感情を知るってこんなこともあるんだ、なんでだろう、私の事じゃないのに美魅の嬉しさが伝わってくる、私も何故か嬉しくなる、共感覚、不思議な感覚だな・・・)

たったそれだけのこと、日常でありふれた出来事の一つ、だけどエテルが納得した結末に辿り着いた。
エテルの意識は球体から離れる。

・・・・・・
エテルが眼を開けると、その球体には色がついていた、鮮やかな記憶。
エテルは再度球体に触れる、すると先ほどまで感じていた温かい気持ちがあふれてくる。

エテル「凄い、私は嫌な出来事を殺したんだ、そして新たな出来事を誕生させた、これが私の死と生の世界」

エテルは走る、最初に触れた球体、パトが苦しんだ記録。

エテルは触れる、だがその球体に入る事が出来ない、するとそこにはパズルのような景色が広がる。

エテル「そっか、この記憶に触れるためには条件が必要なんだ、それがパズルとなって存在する、きっと全てのピースを埋めればこの記憶にも干渉出来る・・・」

エテルはシオの記録に触れる、同じくパズルが現れる、エテルの記憶に触れる、同様にパズルが現れる。

エテル「きっとこの記録に触れるためには私の知っている事だけではダメなんだ、私の知らないピースを知って、得る必要があるんだ、そして全てのパーツが揃う事でやっと干渉して美魅との思い出みたいに変える事が出来る、私が不都合な出来事を殺して生まれ変わらせる事が出来る」

それは誰かにとって幸せでも誰かにとっては不幸になる出来事かもしれない。
そのことで未来が大きく変わるような修復はきっと出来ない、だけど思い出を変える事は出来る。

でもそれで充分だ、悪い思い出が良い思い出になる、それだけで人は前に進める。
前に進めるだけの改変が出来ればきっと・・・パトもシオも前を向ける。

エテル「もっと先に行こう!」

エテルは歩く、そして沢山の球体を目にする。
そして大事な球体を管理する事が出来る事を知ったエテルは思い描く建物を構築する、するとエテルが望んだ理想の建物が現れる、そこにエテルは球体をしまっていく。

無くさないように、忘れないように、

まるでパソコンのフォルダ分けのように球体を仕分けていくエテル。それは凄く希望に満ち溢れていた。

エテルの居る崩園、破壊のためだけに使おうと考えていたらきっとこのような球体は現れなかっただろう、エテルが望んだから才能が開花し、エテルが望んだ世界が生まれた。

エテルは仕分けを終えた。
全ての球体を仕訳けたわけではない、これから生きていけばきっと球体は増え続けるだろう、
だから全てを拾わない、それでいい、全てを救う事は出来ないのだから。

エテルは自分が大事だと思える人達のためにこの力を使う。
エテルが得た力はパトのために使う、誰かを無差別に傷つけるための力ではなく、
パトという存在、肉体的にも精神的にも支えられる、パトがエテルにやってきた事を次はエテルがパトに恩返しをする。

エテル「よし、戻ろう!」

エテルは崩園から抜け出す、その時にエテルは自身の姿を球体越しで見る。

エテルの姿が変わっていた、緑の髪と青い髪、そして今の今まで気付かなかった長い髪。

エテル(これが今の私、だけどきっと私が変わっちゃうと主様は寂しくなるよね、だからこの身体は大事な時に、普段はいつも通りの私でいよう、今まで通り・・・)

エテルは元の姿に戻る、そしてパトの元に戻る。
それがエテルの成長、進化のお話しである。

patopatoblog at 00:22|Permalink

2025年10月09日

No.182 エテルの進化episode5

エテルはミールの世界から出た。

その場にはミールしか居なかった。

ミール「変わったね、シオから力が失った、もう彼女は女帝の器じゃない、そうか、それが御神体の正体だったってわけだ・・・ホープ・ダイヤモンド、現実世界に存在するブルーダイヤモンド、まさかそのままの形状をしていたなんてね、私の予想は外れたけど結果的にエテルが御神体になったわけだ」

ミールは少し笑いながらエテルに話しかける。

ミール「それでシオから御神体の力を得て何か答えを得られた?君が一人の才能を奪ってまで得た答えは?」

エテルはミールの問いに答える。

エテル「悩む事なんてなかった、私は主様を無条件で助けるよ、そのためなら何者にだってなる、手段だって選ばない、例えこの才能がどこまでも成長出来たとしても私はこの力を主様のためだけに使う、それが私を助けてくれた恩返しだよ」

ミール「言葉でわかる、以前のエテルじゃないね、機械族とは思えない程の力強い意志を感じる、でもまだ君は御神体に乗っ取られた身体に過ぎないよね?私としては誰かに取り付かないと御神体としての力も発揮出来ない同僚に少し、いや、かなり落胆してるわけだけどさ、どうするの?このまま主様の所に戻るの?」

ミールはエテルに近づく。

エテル「うん、だってこのままだと主様はきっと私達と心の距離を空けるよ、それはもう二度と戻らないかもしれない、そうなる前に私が繋ぎとめる、主様のトラウマなんて殺してやる」

ミール「過剰戦力・・・そう言わざるを得ないわね、エテル、第二園に所属し、究極系として主様を守りなさい」

ミールは今のエテルの力はパトが扱っていい次元のものではないと考え、今後開花するであろう才能を見越して第二園へ所属させてしまおうと考えた、そうすれば第二園のルール上、帝オーラを都度提供しなければ力を発揮出来ない、それでバランスをとる事が出来る。

エテル「断るよ、それだと主様は救えない、私は今の私のまま現実世界に戻るよ」

ミール「逆らうと・・・では力づくで・・・いくしかないですね」

ミールはエテルに対して世界そのものをぶつける!!

エテルはミールの世界に飲み込まれる。

そこはマントル世界、無限に続くマントルの世界。その中にエテルは入っていた。
だがエテルはそのような世界で傷つく事もなく平然と漂う。

そしてエテルは自身の手でタナトスハンドを出し、ミールの世界を殺す。

ミールは次々とエテルに世界をぶつける、エテルはミールの作る世界を次々とタナトスハンドで相殺する。無限に近い数の世界を、次々とエテルはタナトスハンドで壊し続ける。

世界を殺し続ける、そのエネルギーがどんどんエテルの身体に蓄えられる。
そしてエテルの姿が変わっていく。

エテルの髪下半分が青く染まっていく、そして後ろ髪がどんどん伸びていく。
御神体の力がエテルの中に溶け込んでいく。

シオのように御神体の力をただ借りていただけとは違い、エテルが御神体を吸収し、エテル自身が御神体となっていった。

そしてミールの膨大な力を殺し続ける事でエテルは急速に成長し、御神体エテルはさらに進化を果たす。世界王として覚醒する。

ミール(まずい!!こいつ!私と相性最悪だ!!世界を次々と殺される!!)

ミールは焦る、今この時点で帝園に二人の世界王が現れた、ミールとエテル。

エテルのタナトスハンドは見た目が変わり禍々しい手から青く何処かプログラムのような手に変わっていた。

エテル(これが私の真のタナトスハンド・・・)

エテルは身体から無数の青いタナトスハンドをミールに向けて飛ばす!!

今まではエテルが触れなければ効果がなかったタナトスハンドだったが、世界王と覚醒した今、触れなくてもタナトスハンドが自我を持ち、無数に現れては敵と認識した相手に向って飛んでいく!

帝園産の世界王、それはまさに化物だった。

エテルの留まらない猛攻にミールは押される!
ミールの表情には今までにない程の焦りが現れる!

ミール(私が押されてる?!私が負ける?!こんな一従属だった子に?!!)

ミールは必死に理不尽な世界を創ってはエテルにぶつける、だがエテルはその世界を涼し気にただただ殺し続ける、そしてダメージを負わないエテルはただただミールの喉元だけを狙う。

エテル「私を現実に返して、それだけでこの戦いは終わる、もしこのまま返さないなら・・・殺す!!!!!」

エテルに殺意が芽生える、それに同調するかのようにエテルのタナトスハンドは勢いを増す!
そしてとうとう1本の手がミールの頭を捕える!!!!

ミール「うが???!!!!」

ミールは飛ばされた、ミールに初めて外傷を与えた存在となったエテル。

ミールが吹き飛ばされた事で世界生成が遅れる、そしてエテルは勢いのままミールの対して無数のタナトスハンドをぶつけ始めた!!

ミールはどんどん跡形もなく朽ちていった。
それはどんどんミールだったものとなっていく、いやタナトスハンドに触れた段階でミールだったものは既に絶命していた。

そしてエテルの感情が治まり、ミールへの猛攻が止む。
そこには血すら残らない黒い後だけが残っていた。

エテル「勝った・・・私があのミール様に・・・」

エテルは立ち尽くしていた、自分自身が世界王に進化し、姿が変わっている事も気付かずに。
だが疲れで立ち尽くしているとエテルは世界に包み込まれ眠りについてしまう、そして元に姿に戻ってしまった。

・・・・・・
エテルが眠った。

そのエテルの前に立っていたのはミールだった者。
いや、それは本来のミールだった。

???「まさかミールの人格が負けるなんて・・・想像しませんでしたね、私が最も【未熟】な時代の姿では流石に完璧には程遠いですか・・・」

その姿はミールであってミールではない、ミールの髪は短かったが彼女の髪は地面につく程の長い髪、そして少し前髪は眼を覆っていた、だがその立ち振る舞いはまさに高みの存在。

界羅「私がこの姿に戻ったのは万園では数百年ぶり・・・帝園では・・・何万年ぶりでしょうか・・・」

万園 円卓の王 第一席 界羅(かいら)

その正体は本来のミール。
本来のミールは帝園のミールの髪飾り5つの宝石で封印しており、
本来ミールは5段階の強化があり、その最終形態として界羅の姿が待っていた。

だが今回はタナトスハンドがミールの封印の髪飾りを取った事で段階を飛ばして界羅が現れた。

界羅は万園含む全世界でストレリチアが作った世界王で最強を誇る存在。
それはパトの全てを凝縮した存在、パトの全てであり、現時点で界羅に勝てる存在はどの世界含めても存在しない。そのような圧倒的存在だった。

界羅「ミールももう少し改良が必要ですね、せめてタナトスハンドで世界が壊されないくらいの強度がある世界を作って貰わないと・・・」

界羅はまだ壊れていない状態の封印の髪飾りを見つけ、自身の頭に身に着ける。

界羅「キング、クイーン、ルーク、ビショップ、ナイト、お騒がせしました、ポーンであるミールが敗れたのですが、その拍子に髪飾りを飛ばしてしまったみたいでして、即座に私が対応する事になってしまいました、本来ならこれほどの事象であればナイトで充分でしたのですがね、ポーンはまだ意識を失っていますので、ナイトの人格のミール、ポーンの人格のミールのデスペナルティーが終えるまでの間、よろしく頼みますね、私はまた眠りにつきます・・・」

界羅の姿が変わり、徐々に以前のミールの姿に戻る、だが以前のミールに比べ身長が少し高く、身体全体がある程度発育している状態のミールだった。

ミール(ナイト)「まさか我の人格が出る時がこの帝園で来るとは、この少女は末恐ろしい潜在能力を持っていますね」

ミールは賞賛に値すると、第二園への移籍はなしにし、そのまま帝園に在籍のまま外に出してしまった。

ミール(ナイト)(世界王に進化した事で【崩園】という世界を解放していましたね、中身は見ていませんでしたが、万園産とは違う方式で生まれた世界、果たしてそれはどんな世界なのか・・・帝王様にだけに力を使う、才能を使うと豪語した子ですからね、きっと帝王様にとって都合の良い世界である事を望みますよ」

ミールはその場を後にする。
そしてエテルは現実世界で目を覚ます。

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No.181 エテルの進化episode4

ミールはエテルが第八園の御神体ではないかと頭によぎる。

ミール(帝園のは12体の御神体が存在する、それは各園事に存在する、だがその中には今だに姿を現さない者も居る、この世界はそもそも月花様の帝園をパト様が上塗りした世界、そして12体の御神体はパト様経由で生まれた準世界王のような立ち位置、もちろんその中には世界王として覚醒している者も居る、といってもそれは私だけ、そしてこの帝園には私ですら把握していない第玲園という領地が存在する事も知っている、だがどこに存在しているかわからない、そのように実在するのは知っているがどこにあるかわからない、そのような存在が帝園の王ミールですら存在する)

第一園 神族 御神体エステル
第二園 究極 御神体カル
第三園 獣族 御神体フェア
第四園 天使族 御神体ティエル
第五園 精霊族 御神体ミール
第六園 龍族 御神体リル
第七園 聖人族 御神体フラ
第八園 機械族 御神体ホープ
第九園 魔族 御神体ワルプルギス
第十園 妖族 御神体ティス
第十一園 鬼族 御神体鬼媛 漸(おにひめ やや)
第十二園 邪人族 御神体 闇(アン)

その中でも現時点で実物を今だに見せていない者が存在するそれが
第二園・第八園・第九園・第十園・第十二園

どこで何をしているのか、どのような存在なのか、全てを把握しているはずのミールですら把握出来ない御神体、それは一部の分野でもミールを超える何かを持つという意味なのか、それすらも把握出来ない存在。

ミール(その不明の御神体の一角第八園の御神体ホープ、それがもしこのエテルなら・・・私は彼女を同格の存在として警戒しなければならない・・・)

ミールは確かめたくなった、今までにない存在であるエテルだからこそ彼女がミールが把握していない御神体なのではないかと、そのためにミールはエテルにとある提案をする。

ミール「エテル、いいでしょう、私も意地悪をしたいわけではありません、そこまでエテルが帝王様の事を考えているのなら、私もそれなりに協力しましょう、まずはそうですね、望み通りシオに合わせましょう、それでどうですか?私としてはこれ以上の物をエテルに提供は出来ませんが」

シンは驚く、あのミールがたかだか一従属の話を聞き条件を飲んだ、普段なら絶対にあり得ない、何故ならミールは基本帝園の従属をパトを強化するための道具でしか見ていない、だから帝園の従属が最低限の生活が出来ているならそれ以外はどうでもいい、興味がなく、パトの都合でその従属が邪魔なら容赦なく消す事だって厭わない、きっとパトがミールに「あの従属を殺せ」と言えばミールは擁護する事なくその従属を邪魔だと切り捨て殺すだろう。それがシンやネルが把握しているミールである。

自分が全て、それ以外はミールの傀儡、操り人形、所詮この帝園もミールにとっては小さな箱庭、おままごとの駒程度の存在が帝園の従属。

シン(何か思惑が?でもここでもし私が反論してミールの機嫌を損ねたら折角のチャンスを無駄にする、ネルならきっとこんな場面でも聞いちゃうんだろうな)

シンは経緯を見守るしかなかった。
エテルはミールの提案に対して考える、まさか了承されると思わなかったからだ。

ミール「どうしますか?入るなら今ここで私に触れてください、そうすればシオの居る世界に繋げましょう」

エテルはミールの近くまで歩く。
ミールはエテルに手を伸ばす、そしてエテルはその手を取る。

するとそこから光が発せられエテルは包み込まれる。
そしてエテルはミールの世界に入り、その場から消えた。

ミール「シンは帰っていいですよ、エテルの要件が済めば私が現実世界に送り届けます、大丈夫ですよ、エテルは帝王様の大事な常駐契約の従属、傷物になんかしません、いえ、そもそもこの子は傷物にはならない存在でしたね」

シンはエテルがミールの中に入った事でやっと疑問をぶつけた

シン「どうして了承したのですか・・・」

ミール「んん、気分です、いえ、正直言うと興味が湧きました、シン、今のエテルを見てどう思いました?私は異様に見えました、「なんだこいつ?これが機械族か?」と、あまりにも異質過ぎる、そもそも彼女は生まれから異質過ぎる、機械族は元々守りに特化した種族、なのにエテルは守りは勿論、攻撃力もずば抜けて高い、タナトスハンドなんて代物をあの機械族が持つ意味は?生まれてからずっと叡天眼所持のエテル、私は彼女がもしかすると行方不明の御神体ではないかと・・・考えました」

シン「行方不明の御神体・・・」

シンの御神体の件は把握していた。

ミール「もしエテルが私の力だけでただ名前だけ知っているだけの御神体の正体ならば・・・十三天の心のメンバーに加える必要がありますね、ただ覚醒していないだけで・・・ふふふ」

シン「エテルが御神体・・・そんな事、あるはずがない・・・」

・・・・・・
エテルは真っ白な世界の真ん中に立っていた。

エテル「ここはどこ・・・こんなところにシオが居るの?」

シオ「エテル・・・?」

エテルは声の方向を振り向く、そこには驚いた表情でエテルを見るシオの姿があった。

シオ「ど、どうしたの?こんなところで・・・もしかしてエテルもミール様の逆鱗に触れたの?」

シオは今にも泣きそうな顔をする、だがエテルは応える

エテル「違うよ、私は自分の意志でここまで来たの、シオに会いたいからシンに頼んで、ミール様に頼んで、ここまで来たんだよ」

シオはその言葉で泣き崩れる。

シオ「強くなったんだね、自分の意志でここまで来れる程にエテルは強くなったんだね・・・」

エテルは泣いているシオの元に行こうとするがシオがそれを止める。

シオ「来ちゃダメ、私は貴女に会わせる顔がないの、今のエテルは私には眩しすぎるの」

シオはそう言うと自らエテルと距離を取る。
エテルはシオの行動に対して強い動揺を覚える。

エテル「なんで、会わせる顔ならあるよ、だって私はシオを頼りにここまで来たんだよ、教えて欲しい、主様が今凄く辛い思いをしてる、皆はそれを主様自身の問題だから、時間がきっと解決してくれるからって見守ってる、でも私はね、近くで主様を見てきっとそんな悠長な事を言ってられないんじゃないかなって思ってる、でも主様が誰も頼らない、自分自身の力で克服したがってるからって見守ろうって・・・皆そう考えてるのに私は主様の力になりたい、そう思うのは私がおかしいからなのかな・・・」

エテルはシオに語る、だが話していくうちにエテルの表情は曇っていき、最終的には俯いてしまう。

エテル「ねえ、機械族はこんな感情を持たないんだよね、教えて、これはどの回路のどの部分から来てる信号なの?私は壊れちゃったのかな?今までこんなに誰かのために力を使いたいって考えた事もなかった、だけど今は凄く主様のために力になりたい、ねえ、シオならどうしたらいいと思う?」

シオ「それをなんで私に・・・」

シオはエテルに尋ねる、エテルは少しの間をおいて答える。

エテル「私が知ってる機械族の中で一番感情が豊かだからだよ、私にはわからない機械族特融の感情をきっとシオなら知ってる、同じ機械族のシオじゃないときっと私のこの現状を理解出来ない、そう考えたから私はシオを頼ったの・・・」

エテルは前を向く、そしてずっと泣いているシオを見る。
シオはそんな真っ直ぐな目をしているエテルの顔を見て感じていた。

シオ(この子は・・・到達したんだ、私ですら辿り着けなかった領域に)

シオはエテルを見つめる。

シオ(気付いてる?今の貴女、凄く人間らしい顔になってるよ)

シオから見たエテルは何処か苦しそうで、でも真っ直ぐと強い意志でシオを見つめていた、
ただボーっと見つめていただけのエテルとは違う、目にはしっかりと意志が宿っていた。

シオ(気付いてる?今の貴女、私よりも立派だよ)

シオから見たエテルの佇まいは今にも倒れそうで何かの支えがないと立っていられないシオとは違い
堂々と立派に立っていた、それは誰にも揺るがせない強い意志が見て取れた。

シオ(気付いてる?今の貴女、どの機械族よりも・・・)

シオはエテルを見つめる、そして決断する。

【【私はもういいかな】】

シオはエテルに声を掛ける、「こっちに来て」とただその一言を、そしてエテルは真っ直ぐとシオの所まで歩く。

シオ「私がエテルに教えられる事は何もない、それは私も知らない感情だから、きっと機械族の誰もそれを知らない、貴女は今機械族の誰よりも前に居る、それは誰よりも感情豊かな環境で育って来たから、主様から沢山の愛情を頂いたから得られた物、それは私ですら持ち合わせない、エテルだけの唯一無二だよ・・・それに」

シオは自身の頭についている宝石を取る。

シオ「私は偽物だよ、私はね、この宝石のおかげで誰よりも感情を持っていたの、きっとこの宝石を無くせば私は他の構成員の子達と変わらない、ただの機械族に戻っちゃうの」

エテル「そうなの?でもその宝石はシオのメインデバイスじゃないの?」

機械族には身体の一部にメインデバイス、その人物の情報を管理するために機械がついている、エテルは頭についている二つの機械、そしてシオは宝石のような機械と花のような機械。

シオ「ううん、この宝石はね、私のじゃないの、この宝石は【第八園の御神体】この宝石が御神体そのものなの、実在する人物じゃない、このメインデバイスが御神体なの、その力で私は力を覚醒させ候補生までなった、機械族の力を飛躍的に上げる事が出来る上に本来の感情がより豊かになるの、私はただ継承してただけ、本来なら機械族の最高責任者に代々継がれるもの、だけど私はこの力も含めて第二園に選ばれた、だからずっと身に着けてたの」

シオはエテルの頭に宝石を乗せる。

シオ「だけどもう要らない、これはエテルにあげる、きっと私は才能を失う、多分神羅万象を失って第八園に戻るでしょうね、そして今の最高責任者がよければきっと私は元の席に戻るでしょう、それでいい、私には有り余る席だったのよ、だからこうやっていつまでも十三天の心のメンバーにもなれずにここで閉じこもってた、ずっと間違い続けた、だからね、最後くらいは間違えたくないの」

エテルはシオの言葉に涙を流す。
エテルは感じてしまった、「きっとここで自分が知っているシオと二度と会えなくなる」と
それは実質シオという人格の死を意味する。
そして第二園に選ばれる程、候補生とまでなったシオの物語の終わりを迎えようとしている事を。

エテル「教えてよ・・・ただ託されただけだと私、ここに来た意味がないよ」

シオ「それはきっとこの宝石が答えてくれる、だって私より詳しいもん、私はその感情を知らない」

エテルは泣き続ける、でもそれは何故?目的を達成できなかったから?違う。

エテル「シオはもう・・・帰ってこないの?」

シオ「ううん、私は帰るよ、エテルがもう帰ってこないの、別の所に行っちゃうんだよ、私達が心の底から望んだ存在、どの生物よりも高みに上り詰めた存在、その世界に」

エテル「私はそんな事望んでないよ・・・」

シオ「ううん、きっと望むよ、だってそこでしか今のエテルが抱える問題を解決出来る策はないんだよ、だからエテルはそのまま前に進んで、そして御神体と一体化したらもう一度ミール様の前で考えてみて、そこでもし答えが出たなら、それがエテルの望む答えだと・・・私は思うから」

エテル「うん・・・ごめんなさい、シオに何もあげられなくて・・・」

シオ「ううん、最後にこんなにも成長したエテルを見られて凄く嬉しかったよ、ありがとう、ここまで来てくれて。もしエテルが一人でここまで来てくれなかったら私はきっと気付けなかった、また間違ってたかもしれないから」

エテルは涙を拭く。そんな姿を愛おしく見つめるシオ、だがシオの中で心境の変化が明らかに出て来ていた。

シオ(あ・・・ダメだ、エテルを見ても何も感じなくなってきてる、さっきまで凄く感情で溢れてたのに、その感情が枯渇していってる・・・本来の私に戻ろうとしてる・・・)

シオ「エテル、笑って・・・」

シオは感情が消える中、エテルに伝える。
エテルはその言葉を聞き、最後だからと満面の笑みでその言葉に応える

エテル「にこ~~~!シオ!大好きだよ!!!!」

シオ「・・・・・・すっごく可愛い・・・最高の笑顔だよ、エテル、ロリコンで本当に良かった~~」

シオはもう以前のように笑えない、シオはもう以前のように泣けない、だけど最後の最後に温かい気持ちになれた、心が揺さぶられるような幸福感溢れる気持ちを得た。

シオ(良かった、私はきっと今までの得て来た感情を忘れない、この気持ちも、きっと最後まで忘れないよ)

ここからのシオはただ記憶にある感情を演じるだけの機械族となった、
エテルはシオと話しているとそれがわかり、次第に心が辛くなった。

エテル(シオは以前ように感情が溢れてこない、ただこの時はこういうリアクションを取ればいい、そういう記憶を遡ってなんとか違和感を出さないように話してくれてる・・・けどわかるよ、だってもうシオの声からイキイキとした言い表せない力みたいなものが感じられないから・・・)

エテルは次第に感情を得ていく、そして相手の言葉から感情を理解したり、空気から多くの情報を得る事が出来るようになった。

それがきっとエテルにとっての御神体への進化だった。



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2025年10月08日

No.180 エテルの進化episode3

帝園第三園

エテル「そっか、私あの時から帝園には戻ってなかったんだね」

エテルが居た場所、それは約2年前パトと初めてあった場所から少し進んだ場所だった。

エテル「私が召喚された場所から変わってない、でもいいよ、私の目的ははっきりしてるから」

エテルは眼を瞑る、そして第二園へ電脳化で実体を電脳世界に移し移動する。

・・・・・・
エテルは第二園へ到着した、場所は【叡智の羅針盤】十三天の心のメンバーしか立ち入る事が出来ない建物だ。

エテル(う~ん、ネルに会いたかったけどどうすればいいんだろう?チャイムとかないのかな?)

エテルは入り口で困ったように立っていた。
すると扉が開き中からシンが現れた。

シン「エテル、珍しくお客さんかと思ったら、中には入れないから・・・っと」パチン!

シンが指を慣らすと即座に空間が変わり、広い室内になる。

シン「次元支配で部屋を生成してみました、これで問題ないでしょ、それで誰に用事があってここまで?」

エテル「う~ん、ネルに聞こうと思ったけどシンの方が詳しそう、ねえ、主様の心の傷をどうやったら治せる?」

シンはエテルの言葉に驚く、それはエテルがパトのためにここまでの行動を起こしたからだ。

シン「エテルはどうやったら主様の心の傷を癒せると思う?」

エテル「質問を質問で返すなんて・・・でもどうだろう、私は機械族だから・・・ちょっと嫌な事があってもすぐにどうでもよくなる気がする」

シン「じゃあエテルが今主様に感じてる感情、それは時間が経てばどうでもよくなる?」

エテル「・・・わからない、でも主様はずっと私を面倒見てくれた、こんな私を嫌な顔一つせずにずっと美魅と一緒に傍に居させてくれた、私が甘えても絶対に応えてくれる、今も私の好きなようにさせてくれる、のびのびと過ごさせてくれる、それを時間が経ったからと言ってどうでもよくなるなんて・・・」

シン「そう言う事です、もしかするとエテルも主様と100年程関係を絶てば先ほど言った通りどうでもよくなるかもしれない、それを私達は【時間が解決してくれる】って言うの、だけど今すぐとなるとどうしても色々考えてしまうから忘れたくても忘れられない、心の傷ってそういうものだと思うの」

エテル「だからミーエルの治療でも治らないんだね」

シン「ええ、感情の浮き沈みを和らげるくらいなら私でも出来る、それはどちらかと言えば脳を騙すという行為に近くてね、でも本当の心の傷は治せない、要因を廃除するか、克服するか、それくらいしかないの」

シンは椅子に座り、真剣な眼差しでエテルに応える
エテルも椅子に座り、空間が出来たと同時に机に置かれている飲み物に手を出し、口に含む。

エテル「じゃあ今の所誰も主様を治す事は出来ない、だけど主様、凄く苦しそう、いや悲しそうなんだ、だからどうにかしてあげたくて」

シン「見守るしかない・・・って言いたいけど納得しないんでしょうね、だからここまで来た、帝園で心の傷を癒す能力を持つ従属を見つけてでも、そう考えてる?」

エテル「うん・・・だから最初にネルに話して協力してもらおうって思ったの、ネルは主様の事になると協力的だから、でも甘やかしたらダメだって断られる可能性も勿論考えてた、だから少し悩んでた」

シン「流石ね、私も半分半分って感じるわ、むしろネル本人が「他の女の事も政治の事も全部忘れさせてやる!さあ抱け!主様よ!!!」って言いかねないわね」呆れ

シンはネルの物まねをするが溜息をつき、ネルの物まねをした事を少し後悔する。

シン「私から言える事は心の傷のみを治す能力者は居るわ、勿論私含めて多くね」

エテル「そうなの!でもどうやって!」

シン「忘却支配、消滅支配、破壊支配、幻惑支配、幻想支配、精神支配、色々な能力で対応可能よ、でも共通して言えるのは強制的に忘れさせる、そして忘れても尚身体が覚えているのは別の事が原因と上塗りする」

シンは指を立てる、そして立てた指が光、映像が映し出される。

シン「今主様の身体で最も影響が出ているのはおちんちんです!」

エテル「んん?」

シン「これは保健体育だと思ってください、結構大真面目なので、今の主様はどれだけ女性からアプローチを受けても全然おちんちんが反応しません!それは心の傷が間違いなく影響しています」

エテル「んん・・・」?

シン「色々な理由を言ってますが間違いなく性交渉、つまりセックスが原因です!ただでさえ複数の人と関係を持つのは疲れる、なのに主様が心に傷を負う出来事が何度も起きた、帝国従属全員とキスをし、強制的に覚醒させた事件から始まり、専属従属の3名、メルリア、エイリ、フルールの3人と4Pセックスをキメて、セックス価値観が瓦解した、そしてそんな時にギリギリ全員を平等に愛してるからセーフ!!っていうセーフティーラインをメルリアが壊した、独占事件だね!「私とだけセックスして!私以外とセックスする気が起きないくらい朝と夜でしっかり性処理します!!」って数日逆レイプまがいな事をずっとされてとうとう主様の最後のラインも壊れ、最終的に性的な事が怖くなった。」

シンは顔を真っ赤にしながらも事の経緯を大袈裟に話す。

シン「つまり、簡単に言えば女性が怖いんです、今の主様は、だからおちんちんが立たない!そりゃあ女性からアプローチされても立ちませんよ、だってエロじゃなくて恐怖の対象なんですから!でも顔見知りは信頼出来るからなんとか平然と居られる、だけど多分知らない女性相手だと警戒して心も開けない、これが今の主様の現状、それを書き換えればいいの」

エテル「ああ、元々の話を忘れてたよ、途中から主様のトラウマの話ばかりしてたから」

シン「今の出来事の記憶を別の記憶に書き換えればいい、そしてトラウマとして反応してしまう現象に関しては別の理由に置き換えてしまえば多少はマシになります。例えば【メルリアから毎日逆レイプをされた、だけどメルリアから距離を取る事で現実的な問題は解決、トラウマはメルリアの逆レイプが原因だからメルリアが居ない今の環境は大丈夫!】ってやったらどう?つまり全部メルリアの責任にしちゃう形ね、それならメルリアだけを悪者にして原因とトラウマを簡単にして克服に持っていく事が出来る」

エテル「成程、全部騙すんだね」

シン「そうそう、だけどそれをやらないのは今回の件は主様にとってもかなり大きく考えてるから、今の主様の中では間違いなく好意の序列がついてる、専属神内でもね、今こうやって地球に連れてきてる専属神が比較的に高かった子じゃないかな、勿論アリシア、ソルテやラルみたいにどうしても帝国に置いておかないといけない人達も居るけどね」

シンは立ち上がる。

シン「エテル、何かをしてあげたい、その気持ちは凄く大事、そして別にエテルが治したいと思うなら誰も止めない、それで主様が悪化したとしても私達がフォローする、だから好きに動くといいわ、貴女も主様に認められた従属なのだから、羨ましいわよ、常駐契約は。本来なら従属全員が喉から手が出る程羨む席、リルから情報は得てるけど今回の件で席が一つ空いた、座れるなら私が座りたい、最高責任者なんてベルでもノラにでも渡して私も一人の女性として、ネルみたいに自由に主様の隣に居たい、私は諦めてないわ、なにせ最近私と主様の適正率が上がって来てるみたいだからね!」

シンは嬉しそうに話す、まるで自慢する子供のように。

シン「エテル、ネルの代わりに私が協力してあげる、何かいい案があったらまたここに」

シンがエテルに手を差し出そうとした時、エテルは即答で答える。

エテル「シオに会いたい、シオは今どこにいるの?」

・・・・・・
あれから1時間後

シンとエテルはミールの間に来ていた。

それはエテルがシオの所在をシンに確認したところから戻る。

シン「シオ・・・幻想の究極系候補生か、今も尚ミール様の謹慎処分中とは聞いてるけど今どこで何をしてるかと言われると・・・気にした事もなかったわね」

エテル「シオからも意見が聞きたい、私、いつも分からない事はシオから聞いてた、シンからさっき私の好きなように動けばいいって聞いて真っ先に思いついたのが【トラウマという現象自体の死】私のタナトスハンドでそもそもトラウマ事殺せたなら後は主様の気持ちの問題だけで済むのにトラウマがそれを邪魔してるように感じた、トラウマっていうのがどんな存在かわからないけど、もし私にそんな事が出来るなら、やってもいいなら・・・でもわからない、だからこういう時シオなら、同じ機械族ならどう答えるか気になった」

シン「成程ね、面白い発想だな、タナトスハンドは命を刈り取る手だとばかり思ってたけど現象そのものの命も奪いとれる、能力への理解度を高めるにしてはありね、でも私とエテルでは種族が違うからどうしても納得できない所があって不安と、なら私がどうこう言う筋合いはないわね」

シンは少しため息を吐き、エテルの言われた通り、シオの所在を能力で調べた。
だがまったく反応する事がなかった、シオは今帝園に居ない。

シン「シオは今帝園に居ないわね、もしかするとミール様が作った独自の世界の中かも、今からミール様に聞きに行くけどどうする?エテルもついて来る?」

エテル「うん・・・行く」

そういう経緯で二人はミールの居る空間に訪れた。
そこにはミールが立っていた。

ミール「どうしました?シン?エテル?珍しい組み合わせですね」

シン「ミール様、一つ伺いたい事があります、第二園 幻想の究極系候補生 シオの現在の所在地を教えて頂いてもよろしいでしょうか」

シンはミールに質問する。
するとミールは特に溜める事なく普通に答える

ミール「今私の作った世界で罪を償ってますよ、罰を受けているので貴女達の都合で合わせることは出来ませんね、ちなみにどのような要件でシオに会いたいと?」

エテル「シオと少しだけお話出来ればそれでいい、教えて欲しい事があるから聞きたい、それだけ、その後は罰の続きをしてもらっていいから」

ミール「成程、まあ先ほどのシンとエテルの話は勿論、現実でも帝王様の現状は全て把握してますのでわざとらしく聞きはしましたが全て把握しています、結論から言わせていただくと辞めた方がいい」

ミールはエテルに対して拒絶する。

ミール「エテルがここまで帝王様のために動いてくれる、それはあの機械族からは考えられない程の進歩です、むしろここまで好意という感情が芽生えるのかと驚いているくらいです、ですが余計な事はしなくていい、それは私が考える事です、私が今回の件で帝王様が帝園を求める場合最善の答えを用意する、私が何も考えてないとでも思いましたか?勿論常日頃から帝王様を見ているので望む物は全て理解しています。」

シンはミールの圧に臆しながらも会話を続ける。

シン「では知ってて助けなかったと?」

ミール「はい、ですが帝王様が帝園に助けを求めたら即座に助けました、私から帝王様にお節介をするのは違います、それはメリアと同じ、いずれ帝王様の心を壊すとわかっていました。帝王様は自分自身で何かを成し遂げられることで自信を得たかったのは知っていましたから、勿論そこにはプライドもあった、だから私は知ってても尚手を差し伸べなかった」

シンはその言葉を聞き怒りを向ける

シン「あの人は確かに助けられる事でプライドに傷をつけるかもしれません!ですがそれで彼が壊れてしまったら意味がないでしょう!貴女は未来のハクの件から何も学ばなかったのですか!!」

シンは自身が立っていた場所から3歩程無意識にミールに向って足を運ぶ、それは強い異議による自然の行動だった。

ミール「難しい事を言いますね、でも現状帝王様は私達従属を求めていない、それが全てじゃないかしら?求めてない、指示も使命も貰っていない一従属風情が感情を持って、帝王様の考えを身勝手に代弁して動く、それは失礼いえ、無礼極まりない行為だと思いませんか?そうですね、現実世界ではそういう人を【勘違い野郎】とでも言うのでしょうかね」

エテル「二人の言い分はわかるよ、私達が勝手に主様の気持ちや考えを代弁しても意味がない「主様はきっとこう考えてる、主様はきっとこうしてほしい」でもそれは私達の憶測であって、直接そうしてほしいって言われたわけじゃない、だからこれは一方的な思い込み、私もそう思う」

ミール「流石は機械族、冷静ですね」

エテル「でも思い込みでも主様のために力になりたい、そう考えるのはおこがましい事?本当に無礼なのかな?わからない、こんなに私以外の事で考えた事がないからわからない、でもあんなに寂しそうな主様を間近で見て見て見ぬふりは出来ない、主様が私に助けを求める事は絶対にない、だって今も私は主様に助けられてるから、助けられてる存在の私が主様を助けるなんておかしな話ってわかってる、だけどそんな理屈じゃない、合理的じゃない考え方が今もずっと私の頭で回ってる、だからわからないんだよ・・・」

エテルの顔には今までにない程の強い動揺が現れていた、今までこんな気持ちになった事がない、こんな自分を知らない、そんな困惑の中でなんとか捻りだしたエテルの今の悩みだった。

シン「エテル・・・」

ミール「機械族・・・いや、もしかしてエテル貴女・・・」

ミールはエテルの異様な態度に困惑を見せる

ミール(ここまで感情をむき出しにした機械族が今まで居たか?いや存在しない、これも帝王様のおかげ?でもここまで感情を持つ事なんてあるの?もしかして機械族という枠を今超えようとしている?)

元々機械族は生物が辿り着けない領域に辿り着くために生まれた種族、
生物は本能があり、生まれ持っての価値観や感性がある、だが機械族にはそれが存在しない、無から全てが生成される、故に多くの事が欠如しており、とても生き物として欠陥品と見られることが多かった。

もちろんミールもその一人であり、機械族に何を期待しても無駄。何故なら彼女達には感情も無ければ全て合理的に判断し、情なんてものは永遠に持ち合わせないから。だから生き物として信用出来なかった。

だがミールの目の前に居るエテルはどうだ、感情があり、合理性等一切なく、自分自身の考えを述べ、それに対しておかしいと思ってもその考えを信じたいという人間のような不条理な思考回路。

ミール(まさか・・・この子、御神体の適正があるの・・・)


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No.179 エテルの進化episode2

パトと月花、エテルの3人は建設会社に足を運んでいた。

エテル「なんでわざわざ人間の建設会社を使うの?帝園から従属契約して呼んだ方が早いよね?」

パト「違法建築になるからだよ、一応日本のルールに則った建物を建てないといけないからな、書類申請も業者なら大体やってくれるし、こっちの方が手っ取り早いんだよ、アリシアみたいに国を作ってそこを拠点にアリシアコーポレーションを建てるなんて力技は出来ないって事だ」

月花「そうそう、一部だけ任せるとかしちゃうと相手も稼げないからって仕事自体を請け負ってくれないとかあるし、ここは一から十全部任せてしまうのがいいのよ」

エテル「そうなんだね、なんか面倒臭いね、ただ生きるだけじゃダメなんて」

パト「この世界は中々その日暮らしが難しいからな、ある程度安定してないと生活がままならないんだ」

パトは考える

パト(よく考えたらエテルが地球人の生活をするのは初めてなんだな、エテルにとっては色々面倒臭いルールがいっぱいあるけど、連れて来た以上はしっかり覚えてもらわないとな)

そして3人は建設会社に入る。

・・・・・・
パト「今ので5社目か、次はどこを当たるんだ?」

月花「バンバン建設かしらね、実績はそこそこだし、それなりにデザイン性を拘る会社みたいね、ほかの所は機能性重視だったり、安さ重視、高級感重視と分野に特化した建設会社を当たったからね、私的にはデザイン性と機能性が高い会社が良いんだけどね」

月花はそう話しながらエテルにも声をかける。

月花「エテルは聞いててどう思った?」

エテル「ちょっとしたら壊れそうな構造ばっかり、能力者の襲撃とか防げないね」

月花「そこは想定してないから仕方ないわね、でも自然災害はかなり意識してるから耐震構造とか耐熱防水性能はかなりのものよ、帝園や帝国の技術に慣れられてたらどうしようもないけどね」

エテル「別に私ずっと帝園では野宿だったし、雨風凌げたらどうだっていいかな、帝国は確かに豪華だったと思うけど、わざわざあそこまでの設備で過ごしたいとも思ってないし」

パト「エテルは拘りがないんだな、住めればOK!みたいな感じか?」

エテル「そうだね、実際そうだから、だから私はどんな建物でもいいよ、野宿でも生きていける事を知ってたら基本何も怖くないね」

パト(強いなぁ、エテルは)

・・・・・・
そして5社目にして本日の活動は終えた。

月花「お疲れ様~!とりあえず数日はフリーね!今日パトとエテルちゃんの部屋遊びに行っていい?雪花にはもちろん内緒ね!」

パト「また雪花と喧嘩になるぞ、俺は別にいいけど、エテルもいいよな?」

エテル「うん、私は全然気にしない」

月花「それじゃあ外食してホテルに戻りましょう♪」

・・・・・・
3人はホテルに戻る、そしてそのままパトの部屋に入る。

パト「疲れた~~~~」

パトはベッドの上に勢いよく寝転がる
エテルはそんなパトの横にひょこっと座り、エテルの荷物から本を出し、読み始める。

月花「なんか様になってるわよね、家族みたい」

月花は洗面台で手を洗い、うがいをしながら部屋に足を運ぶ、そしてそのままパトの上にダイブする

月花「きゃ♪」

パト「おいおい、もう少しで顔と頭がぶつかる所だったぞ」

月花「いいの~、こうやってイチャイチャ出来るなんて久しぶりだもの、この際エテルちゃんは気にしないわ~」

エテルは二人の行動に対して意識を向ける事なくただただ本を読んでいた。

パト「ダメだ、エテルの教育に悪い、エテルが変な事覚えたらどうするんだ」

月花「え~~、キスもダメなの~?」

パト「ダメ!」

月花「上脱がすのは?」

パト「ダメ!」

月花「下を脱がすのは?」

パト「悪化してんじゃねえか!!」

月花「仕方ないわね、じゃあ私が脱ぐしかないか」

月花はそう言いながら服を脱ぎだす。

月花「下心なしでそもそも私は部屋では薄着の方がいいのよね、出来れば下着でウロウロしたいタイプなのよね」

パト「それは知ってるけどわざわざ同じ服着直すの面倒じゃないか?」

月花「確かに!でもこのホテルはホテル服があるからお風呂入ってとりあえずホテルの服着て部屋に帰ればいいし、そこまで問題じゃないわ!」

パト「その部屋の服は俺とエテルのどちらかの物だってことは忘れるなよ」

月花「どうせパトはシャツでしょ!エテルちゃんはどうなの?」

パト「ちゃんと服着てるぞ、今は帝国でちゃんと教わったのかお風呂もしっかり入れてるし俺が気にすることもなし!いや~、いい子に育ってくれてよかったよ」

月花「たまには一緒にお風呂入ったら?」

パト「エテルはお年頃だぞ?エテルの方が嫌だろ」

エテルはそういう話をしている間も特に意識を向ける事なく本を読み続ける。

月花「エテルちゃんは何の本を読んでるの?」

エテル「感情を上手く表現する本、人間の感情を理解しないと今後大変だと思って」

パト「実際どうなんだ?」

エテル「わからない、そもそも私は機械族だから相手の感情というか・・・感情そのものがわからない、私にも嬉しいって気持ちはある、でもなんか私の嬉しいって気持ちは他に人に比べたら弱い気がする、強い感情っていうのがわからない、だから理解したい」

エテルはパトを見る

エテル「主様が最近笑顔なのにどこか虚ろに感じるのは私の気のせい?それも感情?だけどそれはどんな感情?私わからないからどう主様に歩み寄ればいいかわからない、だから今こうやって勉強してるの、この違和感を払拭出来ればきっと・・・」

パトと月花はエテルを優しい目で見る。

月花(そうか、エテルちゃんもエテルちゃんなりにパトの事を気にしてるのね、パトはあれから本当に苦しんでる、私達がどうにか出来る問題でもない、時間が解決してくれるのを願うしかない)

パト「エテル、ありがとう、でも気にするな、これは俺自身の問題なんだ、だからエテルも月花も他の皆も気にする必要なんてない、俺がどうしようもなく心が弱い、肉体的に強くなっても結局心は中々強くなれないんだ」

月花「そうね、私だって色々あった頃から完全に心が完治したかと言われたらそんな事ないわ、少しでも業務で疲労を感じるとトラウマが蘇ってしまう、過呼吸になる事だってあるわ、人って年を重ねる事に多くの経験をする、良い経験も悪い経験も含めて、きっと大人って平然としてるけど私達が考えられないような苦しい経験を沢山してそれだけ心にトラウマを植え付けて来てるのよね」

パト「そうだな、歳をとって色々な景色を見ればみるほど抱えるものが増えて来る、楽なもんじゃないよな、きっとこの行動も良い思い出として残るんだろうけど、そこには少なからず嫌な思い出も残る、でも嫌な事から逃げてばかりだと何も出来ないからな、だからこそ前に進むし、心が壊れても立ち止まってられないんだ」

エテル「心が壊れる・・・苦しくないの?」

パト「死ぬ程苦しいよ、エテルに言う事じゃないけどさ、俺の場合股間が反応しないんだ、それは女性関係にトラウマを持ってるって事も勿論ある、だけどそれ以上に自分に自信がないんだ、強くなっても地位を得ても結局俺は大きく変わってない、でも俺が変わらなくても周りは変わり続ける、成長し続ける、変化し続ける、それに適応出来ない自分と適応しようと頑張ろうとする自分、そこに差があってそれが大きくなれば成程その苦しみはきっと癒える事はないんだよ」

エテル「じゃあ・・・私は主様の心を癒してあげる」

エテルは本を置き、パトの頭を優しく抱きしめる。

エテル「いつも主様からやってくれて凄く落ち着いた、こうやって包み込まれてる時は嫌な記憶も忘れられた、だから同じことしてあげる」

パト「ありがとうエテル、本当エテルは優しいな・・・」

パトは笑う、だけどその笑顔はどこか悲しみが浮かんでいた。

・・・・・・
月花「それじゃあ私は帰るわね~、久しぶりに一緒のお風呂、楽しんだわ♪」

エテル「んん」

月花はエテルと一緒にお風呂に入り、髪を乾かした後自室に戻った。
ホテルの部屋服で帰ったため即座に雪花にバレたがそれは別のお話し。

パトは一人でお風呂に入った後エテルと一緒に布団の中に入る、そして互いに向き合い、エテルを包み込むように抱きしめながら眠る。

そうすればエテルは落ち着くらしく、パトもエテルの体温と微かにかおる髪からシャンプーの香り。

パト(不思議だな、どう考えても機械族にも見えない、生身の人間にしか見えないんだけどな)

パトはそう考えているとエテルがパトに話しかける。

エテル「私、一度帝園に戻りたい、ちょっと用事を思い出したの」

パト「用事?」

エテルに用事があるのか?そう疑問に感じるパトだが、意図は聞かない事にした、
何故なら珍しくエテルがパトにお願いをしてきたから。

パト「どれくらいで戻ってくるんだ?」

エテル「う~んどうだろう、無理そうならすぐ、でも可能性がありそうならちょっと時間が掛かるかも?」

パト「なんで疑問形なんだよ、いいよ、なら帝園に戻るといい、数日はフリーだしな、エテルも折角だし好きに行動したらいい」

エテル「うん、ちゃんと帰って来るからね」

エテルはそう言うと光に包まれ、パトの中に消えた。

パト(エテル・・・)

パトは一人、そのまま夢の世界に入った・・・。




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2025年10月01日

No.178 エテルの進化episode1

パトの精神は壊れていた。

それは多くの挫折もあっただろう。
今のパトは帝国に行く前のパトに比べて笑わなくなった。
ふざけたりもしなくなった。

だがそんなパトの変化を最も身近で見て来たエテルはその変化も「当然」という形で受け入れて来た。
何故ならエテルは感情の変化が少なく、時に楽しい事があれば笑い、嫌な事があれば顔をしかめる、それだけの事しか出来ていなかった。

だからパトの変化の異常性に気付けなかった。

・・・・・・
これはパト達が帝国から旅立ち、地球に降り立ってすぐの頃のお話し。

パト「さてと、まずは資金だな、会社を起ち上げるためにはまずはお金だ!、とりあえずバイトでもするか?」


パトは雪花達に話しかける。

雪花「普通に防衛軍から仕事を貰えば良いんじゃない?大体いくらくらい資金が居るの?」

琴歌「そうですね、株を買ってもらって資金を集める手段もありますが、実は私もそこまで詳しくないんです、だからまずはある程度の資金を集めたいですね、おおよそ8000万園くらいですかね?商業オフィスを借りるならテナント料金を意識すればいいですが・・・私達がやろうとしている仕事内容を考えたらあまり他社との合同施設を使うのはお勧めできませんね、襲撃を受けた時責任を取りかねますし」

月花「じゃあ会社を一から作る方が良いってわけね!なら業者に声掛けて見積もりをしてみるわ!会社起ち上げの申請も私がしておくから他の皆は仕事をして資金を集めてくれない?そうね、目標はこの一ヵ月で合計1憶!!」

ソフィア「おっけ!じゃあアリシアから貰ってくるね!!」

パト「待て待て!俺達だけの力でやるって言っただろ!でも月花、一ヵ月で1憶なんて無茶苦茶だぞ、どう頑張っても1千万が・・・」

月花「っと言いたいところだけど、実は私達、お金、あるのよね」

パト「え?あったっけ?」

雪花「忘れたの?私達がWCBTの時に悪信教の司教倒してかなりのお金貰ったでしょ、あのお金まだ口座に入れっぱなしだからまだまだ使えるわよ!もちろん1憶なんて楽勝なくらいね!」

パト「まあ、あれは俺達のお金だからな、セーフなのかな」

雪花「使えるお金は使わないと!そもそも株とかよくわからないものに手を出して外部から口出しされるくらいなら自分でどうにかした方が絶対にいいって!ね!もう使っちゃおう!」

月花「そうね、じゃあマイホームも含めて建てちゃう?」

パト「マイホーム?家建てるのか?」

月花「当然、アパートでも良いけどこの人数どうやって住むの?って話じゃない?」

パト「待て!全員が同じ屋根の下で暮らす前提なのか?!」

月花「当然でしょ!まだパトや琴歌ちゃん、雪花や私なら良いけど、ソフィアちゃんとか帝園の従属、帝国の従属達はどうするのよ、生活出来ないわよ」

パト「別に帝国で過ごしてたんだし・・・でも買い物とか料理とか出来ないか・・・」

それにまだソフィアやエテル、美魅、リルは未成年の年齢、ソフィアはまだ良いとしてもエテルと美魅、リルは幼過ぎて生活スキルがあるとは思えない。

パト「仕方ない、じゃあ俺、雪花、月花、琴歌、ソフィア、エテル、美魅、スティア、リル、フルール、エイリの11人が住める家を建てるしかないな、凄い豪邸になるんじゃないか・・・」

月花「最悪従属を減らすって案もあるわね、私はもう帝国に居ないんだからリルちゃんを帝園に戻してもいいと思うわ、後はスティアちゃんは家を守る番犬的な役割がいいわね、仕事を任せてもいいけど本能的に動く子が探偵はちょっと・・・」

こう話している間専属神以外の従属達は買い出しに行っていた。
フルールが地球にある程度馴染んでいたため、買い出し等を頼めるようになっていたのだ。

パト「それも仕方ないか、今は少しでも負担を減らしておきたいしな」

こうして話がまとまり、フルール達が帰って来るのを待っていた。

・・・・・・
リル「常駐契約を破棄?!私が何をしたっていうの?!」

パト「リルは帝国で教育をさせるって事でこっちに居たんだ、だからリルは帝園に戻って貰って十三天の心としての業務に戻って貰おうって思ってね、少なくとも今から行うこっちの生活に比べたら充実しているし、俺としてもリルを万全の状態にして呼ぶ方がいいんだ、ダメかな?」

リル「・・・まあ主様がそういうなら、別に私が嫌になったってわけじゃないんでしょ?」

パト「当然!エテルや美魅と仲良くしてたからこの場面でリルだけ話すのは凄く心苦しい、けどエテルは帝園の居場所はないし、美魅も帝園に戻れば命の保証がない、俺が保護してあげないとこの二人の立場は危ういんだ、わかってくれる?」

リル「そうだね、その事情は把握してるから納得したよ、それじゃあ私は常駐契約解除という事で」

パトは言葉を選び、リルが落ち込まないように説得し、リルとの常駐契約を終わらせ、リルに帰って貰った。

パト「エテルと美魅も寂しくなると思うけど我慢してくれよな」

エテル「?私は別に?」
美魅「?いや全然?」

パト(こいつら、薄情にも程があるだろ・・・)

・・・・・・

リルが減ったとは言え、残り10名、このままでは生活がままならない、家が建つには半年の時間が掛かる、会社を建てるにも同じく時間が掛かる。この期間をどうやって補うか、それを考えていた。

そして今日はとりあえずとビジネスホテルを取り、二人一組で部屋を取った。
パトとエテル
雪花と月花
ソフィアと琴歌
美魅とフルール
スティアとエイリ

そしてパト含む専属神の6名がパトとエテルの部屋で今後について話していた。

パト「とりあえずアパートを探そうと思う、そうだな、1LDKで5人、つまり二部屋を借りる、というのはどうだろう?」

雪花「相当狭いわね、私結構私物あるけど」

月花「それは各自キャリーバックに収まる程度だし、家が出来るまでの我慢としましょう、でも家電は妥協できないわよ、だって5人が住むんでしょ?」

琴歌「そうですね、しかもお布団とバック、食事用の机、これだけでもう一杯ですね」

ソフィア「テレビは絶対に置けないね~、でも仕方ないか」

パト「どうしてもって話なら2LDKの部屋を探したらいいと思う、少し大きめのアパートならそれくらいの部屋はあるだろうし、部屋があれば荷物置き場に出来るし、寝室として使える、便利な場面は多いしね、リビングがごちゃごちゃしないってだけでも充分ストレスフリーだとは思うな」

月花「ここらで2LDKといえば大体12万くらいか、それを半年、しかも二部屋となると・・・120万」

パト「半年で済むならいいけどな、でも拠点は必要だ、それに仕事をするにしてもまずは住所が必要だしな・・・おい今気づいたけど地球出身じゃない奴ってどうやって戸籍手に入れるんだ?」

月花「それは大丈夫、帝国時代に今ここに居る子達は全員アリシアコーポレーション関係でしっかり戸籍を持ってるわ、アリシアコーポレーションは各国に住所を何点か持ってるの、日本だと30階建ての高層ビルね、それが日本で戸籍が必要になった時用の家で住所を持てるから色々便利なのよ」

パト「あくどい事してるな、でもそのおかげで市役所に申請するだけでとりあえずは済みそうだな、琴歌、お願いできるか?」

琴歌「任せてください!」

ソフィア「私達はどうするの?」

パト「俺と月花で会社建設と住宅建設の打ち合わせをしていくしかないな、それで当分はそっちに付きっきりになる、雪花とソフィアはバイトするなり、自由に過ごしててくれ、今の所やってもらう事がないからね」

こう話している間、エテルは座っているパトの膝の上に居た。そしてパトはエテルの頭を撫でながら話す。

ソフィア「そういえば見ない内にエテルちゃんパトに凄く懐いたね!」

パト「そうかな?でもエテルはここが落ち着くみたいだし俺もこうやって話してる時にエテルの頭を撫でてると落ち着くんだ」

エテルは特に表情を出す事なく、パトを見上げるように表情を確認する。

エテル「私こうやって頭撫でてもらうの嫌いじゃないんだ」

琴歌「本当可愛いですよね、羨ましいです、私もパトさんのような力があれば自身の従属をそうやってめでたいですね」

月花「ソラリアさんが居るじゃないww」

琴歌「うう、あの人は一応メリアさんに言ってアリシアコーポレーション側で金銭面は面倒を見るって言ってくれたので・・・もしこっちが面倒を見るとなると・・・禁酒は確実ですね、それか何かしら働いてもらうしかないですね」

月花「琴歌ちゃん、なんか怖いわよ・・・」

・・・・・・
このビジネスホテルはセミダブルサイズのベッドに枕が二つあるタイプの部屋だった。
そのためパトとエテルは一つのベッドで身を寄せ合う形で眠っていた。

パト「エテル、確か睡眠を必要としないんだっけ、大丈夫か?」

エテル「うん、スリープモードがあるし、どうしても暇ならそれで意識を飛ばすよ、気にしないで」

パト「たまにロボ要素出て来るな・・・エテルはこうやって一緒に寝るの嫌じゃないのか?」

エテル「え?なんで?全然嫌じゃないよ?むしろ落ち着く・・・」

パト(本当エテルって年の離れた妹って感じなんだよな、普段中々表情には出さないけどでもやっぱり心を許してくれてるんだなってわかる、なんかいいな、こういうの)

パトは帝国では肉体関係を求められる日常が普通だった。
きっかけはメルリアだったかもしれない、だがパトはメルリアを恨んではいなかった。
今でもメルリアを愛しているし、今回の件で距離を置いてしまった事に罪悪感もあった。

エイリやフルールとも健全な関係かと言えばそうじゃない、時間がある時はエイリとも関係を持っていた。

肉体関係で言えば専属神なんて当然のようにあった。

専属神以外で言えば天野江奏星とも肉体関係があった。
勢いでバハートとも肉体関係を持った事もある。

そのように男女の仲になってしまう、それが当たり前となっていたパトにとってエテルという存在はとても心地よかった。

パト(今は俺の息子も機能してないし、どう足掻いても欲情しないし、それが今は凄く心地いいや・・・)

パトは眠りにつく・・・

エテルは起きていた。
そしてエテルはパトが睡眠に入った事を確認した後、パトを眺める。

エテル(主、ずっと平然としてるけど違和感を感じる、でも何がこんなにも違和感なんだろう、普通の人ならわかるのかな?)

エテルはそう思いながらパトの胸の中に顔をうずめる。

エテル(心拍数は普通だ、特に体調が悪いとかの反応もない、だけど今まで主とは違う、何が違うんだろう・・・)

エテルはそうこう考えていると寝ているパトに抱きしめられた。
それはまるで近くに心地いい抱き枕があったかのように。

エテル(起きて・・・ない、ただ寝ぼけてるだけか、でも良かった、苦しくない、むしろ優しく抱きしめてくれるから落ち着く・・・)

エテルは心地よさに身を委ねようとする。
そこでエテルは違和感の正体に気付く。

エテル(そうだ、私は今主に抱きしめられて落ち着いていた、例え私が機械族でも心拍や発汗、脳内から出て来る分泌物作用で身体の反応が変わる、だけど今の主にはそれがないんだ、落ち着いてるから?でも本当にそれだけ?)

エテルはそう考えると自身の手をパトの股間部分に手を伸ばす。
エテルは知識として生殖器は相手の感情を高ぶらせる効果を持つと知っていたため、確認のために触れた、そこには下心は一切なかった。

ムニムニ

エテル(・・・うん?)

だがまったく変化が見られないパトの生殖器、だがそもそもエテルはその生殖器に触れたところでどう変化するかも知らない、何がどうなるのかもわからない、どう感情が高ぶるのかも知らない、故に確かめたものの結果を得られる方法として正しかったのか考える。

エテル(わかんない、そもそも寝てる時に触れても意味がない?じゃあ今度起きてる時にもう一度試そうかな、何かわかればいいんだけど)

エテルはそう考えながらじっとパトの体温に身を委ね時間を過ごしていた。

patopatoblog at 22:09|Permalink

2023年11月28日

No.137 【美】の天使王

ミーエルは帝園の事を思い出していた。

ミーエル(私が帝園から追い出されて結構な日にちが経ったなぁ~、あの頃は自由気ままに生活出来てたのに・・・いや、どっちかというと帝国の方が自由気ままにやらしてもらってるけども・・・でもたまにはホームシックになっちゃうよね)

帝園 第四の園 【神園帝使】序列4位 【慈悲の天使王】ミーエル・ファラミー

慈悲は天使族の11系統の中で最も医療に特化した種族であり、青い花眼がモチーフとなっている。
【慈悲】誰かに優しくすることに美徳を置き、他人に優しくすることでミーエル等の慈悲系統の天使は使命を全うしている。

これはミーエルが帝園の天使王として生活していた時のお話し。

・・・・・・
ミーエルは青と白をモチーフにした【慈悲帝宮殿】の最高位天使としてミーエルを慕う多くの熾天使(してんし)達に慕われていた。


天使族の階級は10段制であり

一等級 神園帝使(レイアポストール)
二等級 熾天使(セラフ)
三等級 智天使(ケルプ)
四等級 宝座天使(スローン)
五等級 統治天使(ドミニオン)
六等級 徳能天使(ヴァ―チュ)
七等級 威力天使(パワー)
八等級 君権天使(プリンシパリティ)
九等級 大天使(アーキエンジェル)
十等級 天使(エンジェル)

【慈悲帝宮殿】は【神園帝使】ミーエルを筆頭に数億という【熾天使】がミーエルを支え、【智天使】は【熾天使】を支え、と続き、最終的には十等級の無数と呼べるほどの数が存在する慈悲系統の天使がミーエルという慈悲の頂点に君臨する天使王を尊敬、崇拝していたのだ。

当然ミーエルもそんな環境のため、一寸たりとも気が抜けなかった。

ミーエル(慈悲の天使達だけが存在する宮殿、だから皆優しいし、思いやりもある、独占なんて誰もしない、物を使えばその倍の数をその場に置きなおす、誰かが選択をしたらお礼は留まる事を知らないし、誰かの役目であってもその仕事は誰かが代わりに行い、そしてお互いに褒め合い、気遣い、そしてとことん甘い甘い環境)

ミーエル「聞こえはいいけど・・・正直退屈・・・精々私の楽しみは入浴とその間に飲むジュースくらい、ルラエル様が居た頃は私が第二席の座に居たからよく見てたけどもう空気がずっとホワホワしてたもん・・・」

ミーエルはそう言いながら自分のベッドでくつろいでいた、帝園は特にやることがなく、他所の宮殿も同じらしく、活発な天使は他所の宮殿に来てはちょっかいを出しに行っているらしい。

ミーエル「慈悲の宮殿は争うという概念が存在しないし、敵対心を煽って来ても褒めちぎるから誰も遊びに来ない、いや、自分の事を褒めて欲しい天使はよく遊びにくるけど・・・私は他所に遊びに行くのもな~、会うの面倒臭いし」

ミーエルは独り言を呟きながら人20人は大の字で寝れる程大きいベッドの上で転がり続ける。

するとミーエルの身の回りを担当する【熾天使】から通達が入った。

ユンエル「ご報告致します、現在宮殿前にて、【美の天使王】ミファエル・キュレデュイ様がお越し、ミーエル様と対談したいとご要望ですがどのようになさいますか?

ミーエル「え・・・えっと・・・どうぞ中へ、って言って貰えるかな?」

ユンエル「畏まりました、ミーエル様」

ユンエル、ミーエルを支える現在の【慈悲帝宮殿】の第二席の熾天使、ミーエルと同じ青い花眼が開眼しており、そしてミーエルよりも美しい青い絹のような長い髪、そして青いドレスを身にまとっているおしとやかな天使である。

ミーエル(さてと、凄い嫌味の連発を喰らうから覚悟しないとね!)

ミーエルは即座にドレスに着替え、美の天使王を出迎えに向った。

・・・・・・
ミーエル「本日はようこそいらしてくださいました、ミファエル様」

ミファエル「ミーエル様、本日も美しいですね、せっかくなのでぜひ!私の美学を聞いて頂けたらと・・・思っております」

ミーエル(うげ、やっぱり持論を持ち掛けに来たな~~)

ミファエルは【美】と【黄色の花眼】が特徴の天使族、【美】を美徳に置く天使は美学を最も喜びとする、芸術において己の美を求め、そしてその美を誰かに教え広め、もっとも自身の美を広める事に喜びを感じる天使なのである。

ミファエルは美しい程の金髪の髪、白い肌、黄色の花眼、そして美しい装飾と黄色と白、そしてアクセントとして採用している青の花を採用したドレスを着用し、常に美を怠らない天使王だった。

ミファエル「私が教えた美、この宮殿でも採用して頂いていますね、本当慈悲の天使達は素晴らしいです、私はお好きですよ、特にミーエル、貴女はとても素敵♪」

ミファエルはそう言いながらミーエルに近づき、そっと頬に触れる、ミーエルは顔を少し赤らめながらもミファエルの手を振りほどこうとはしない、それが慈悲なのだ。

ミファエル「本当貴女達は優しい、私の美を嫌な顔せず受け入れてくれる、そのドレスも私がミーエルに送った品ですよね、美しいです♪」

ミファエルはミーエルに特別な好意を抱いていた。
それはミーエルがミファエルの美を全面的に認め、自分だけではなく、宮殿全域にミファエルの教えを忠実に再現しているからなのである、それを知ったミファエルは大変ミーエルを気に入り、何か新たな美を見つけてはすぐにミーエルの所に足を運び、こうしてミーエルと話していたのだ。

ミーエル「今日はどのような美を教えてくれるのでしょうか?ミファエル様?」

ミーエル(ミファエル・・・凄くとんでもない天使王に気に入られてしまったものだな~、この天使、独占欲が凄いで有名だから、もしそこを満たせばどんな時でも力になってくれるかもって思ってミファエルの案を私が天使王になった時に採用したのが運の尽き・・・毎度毎度違うデザイン性の芸術を押し付けられるからもう慈悲帝宮殿の改装費用が馬鹿みたいに掛かる!皆笑顔で仕事こなしてくれるけど!!)

ミーエルは毎度毎度変わるミファエルの美に肝を冷やしていた、酷い場合180度ガラッと雰囲気が変わる事もあるのだ、現在青と白をモチーフにした宮殿はミーエル自身凄く気に入っていたが、ミファエルが来たという事はこのデザインともおさらばなのだ。

ミファエル「今回はですね、このドレスです、このドレスのように青と白という美しい慈悲の象徴カラーにアクセントを付けては如何かと・・・あとその色を私達の象徴、黄色を採用するというのは・・・如何です?」

ミーエルは脳内で悩み、悩んだ結果、悩むだけ無駄と悟り、二つ返事で褒めたたえながら了承する。

ミーエル「素晴らしい案ですね、ミファエル様、そうすれば私達の宮殿にミファエル様と私との友好の美をお見せできる、私は凄く嬉しいです、それともミファエル様はこのような認識では納得いただけませんか?」

ミーエルは知っている、ミファエルは自分自身を大変気に入っている事を、そして自分とミファエルの関係性を含ませた言い方をすると大変上機嫌になるという事も。

ミファエル「凄く嬉しいです、では私の【美帝宮殿】に私とミーエルの間にある友情の証として青のアクセントを追加しましょう!そしてお互いの宮殿が相思相愛であることを他の宮殿にも知らせましょう!ミーエル!本当に貴女は素晴らしいわ!」

ミファエルはお淑やかに笑う、やはり美の天使王というだけの事はあり、身のこなしも美しい。

・・・・・・
数時間程ミファエルは滞在していたが、ミーエルとの対談で大変満足し、そのまま自身の宮殿に戻っていった。

その後入れ替わるようにユンエルが入ってミーエルにジュースを提供する。

ユンエル「お疲れ様です、ミーエル様、本日もミファエル様は大変満足されていましたね♪」

ミーエル「ええ、私とミファエルは仲良しですから、満足して頂いて私も嬉しいです」

ミーエル(相槌と褒め地獄!もう途中から意味のわからない美学をとことん離されたけど全然わからなかった!もう途中から【流石ミファエル様です、そのような素晴らしい美をお持ちなんて羨ましい限りです♪】【私もミファエル様のように美しくなれたらどれほど幸せなのか、想像がつきませんね】が交互に出てくる数時間!疲れた・・・次はいつ来るかな、以前は数週間前で、その前は数か月前だった気が・・・いや、時間感覚ここと外では全然違うから当てにならないなぁ・・・)

ミーエルが部屋着に着替え、そのままお風呂に向った。

ミーエルはミーエル専用の大浴場が存在する、その大浴場に入る事を許された天使は将来の天使王候補になれると言われている、それを決めるのはミーエルなのだが、現在十二席、つまり12人の熾天使を認め、側近として置き、ミーエル戦闘大浴場に入る事を許可している。だが今日は誰も居なかったため一人で大浴場を堪能していた。

ミーエル(ああ・・・このために生きてる~~)

・・・・・・
現在

ミーエル「はぁ、今は何かと忙しいけどやっぱりたまにはあの環境に戻りたいよね・・・というかミファエルが私が原因で追いかけて来るとかないよね・・・別にたまに話す程度ならいいけど・・・まあ契約なんて到底今の主様では不可能だし、私は帝園に戻れないし、数千年は会う事ないでしょ!うんうん!」

ミーエルはそう言いながら修行で怪我し、治療室で寝ているパトの横で一人思いにふけていた。





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2023年09月04日

No.121 赤字経営 ネス工房

ネス「また赤字・・・毎日仕事してるのになんでっすか・・・」

ネスは毎月行っている決算をしていた、その金額を見て気分が下がっていた。。


ネス「経営に向いてないんすね、いっその事どこか経営が上手い妖怪の所に行って一緒に働かせてもらうっていうのも手っすね、でも求人なんてあるのか・・・そもそも妖怪族はほとんど手に職を持って生計を立ててるっす、自分の事は自分でしろって考えばかりの一族っすから誰も雇ってくれないっすよね・・・」

ネスは深いため息をついた、誰かに頼れたらと考え、主であるパトが頭に浮かぶ。

ネス(主に相談しよう、そうすればもっと仕事を斡旋してくれるかもしれないっす、でも仕事してるのに赤字って変な話っす・・・)

・・・・・・

パト「やっと自分の経営の下手さに気付いたか、遅すぎる気もするけど」

ネス「主、私なんかに時間を取られるのが不愉快極まりないのは承知の上なんすけど、このままだと飢え死にっす、どうか仕事をくださいっす!」

パト「いやいや、ネス、ネスは仕事量としては充分過ぎる、問題なのはお金の設定だ、そこがほとんどどんぶり勘定だからマイナスになるんだよ」

ネス「どんぶり勘定ってなんすか?なんか旨そうっすね」

パト「大体これくらい?でお金を決めてるってことだ、本来なら自分の売り上げが出るように値段を決めておくんだよ、1仕事何ミル、って、確か人形修理とか武器修理、制作でもある程度値段を決めてただろう、あれはどんな根拠で決めてるんだ?」

ネス「大体これくらいって感じっすね」

パト「馬鹿!普通は武器作成なら、制作の工程に掛かる時間、技術料を含めたうえで計算するんだよ!そのうえで妖怪族の間の大体の定価を把握するんだ!例えば妖怪族の間で10000ミルで武器を作られているならそこからスタートだ!そこからどうギリギリまで売り上げが出る数字で他のライバル店を差をつけるかが商売!同レベルならそうだけど、もしネスの技量が買われていたら定価10000ミルよりも高い値段でも仕事が来る!そうやって技術で儲けるか!質より量で儲けるか!そこからなんだ!」

ネス「なるほどっす!ちなみに妖怪族の武器制作はオーダーメイドなら50000ミル、そこから素材代やら諸々が乗ってるはずっす!」

パト「つまり、似たような工程で仕事してるとどうしても50000ミルは掛かるって話だ、ネスならどれくらい安くする?」

ネスはパトに言われて考える、そして

ネス「30000ミルで出来るっす!だからいつも30000ミルから見積もり作ってるっすよ?」

パト「ばかもん!馬鹿正直に30000ミルにするやつがあるか!出来るとわかっていてもある程度幅見ておくんだよ!30000ミルはライバル店との値引き駆け引きが発生した時の最低金額!家電製品の店の仕組みは大体そうだ!覚えておけ!!」

ネス「家電商品が何かわからんっすけど了解っす!!」

パト「とりあえず48000ミルだ、なら普通に仕事をこなすだけで18000ミルの売り上げだ、そして材料費!ネスはこれをどう算出してる?俺の時もそうだったけど値段を把握してるのか?」

ネスは得意げな顔で話した。

ネス「それはもう間違いないっす!情報網ってやつっすよね!こんな辺境の地でもチラシは来るッス!その中から最安の材料を仕入れてるっす!これで間違いないっす!」

パト「情報の視野がせまーーい!」

パトが大げさな素振りでネスを否定する

パト「材料費を最安というのなら世界各国を巡れ!そもそもその材料の生産元は把握してるのか?そこからどれだけ材料屋が仲介に入ってるかで材料屋のランクも変わってくるんだぞ」

ネス「え、そうなんすか?てっきり材料屋が材料を制作してるとばかり」

パト「それは加工屋だ、素材を見つける人、次にそれを加工する人、次に加工した素材を材料として作る人、それを売る人、それを遠くまで売るための運送、支店、からの契約会社!そしてネスの元にだ!(パトも詳しくは把握してない)」

ネス「すっごい数の人が介入してるんすね!!」

パト「そうだ!つまりネスが買ってる材料屋は悪いけど、間に沢山の仲介が入ってる末端の材料屋、つまり凄く高い!!鉄の原価を知ってるのか?」

ネス「原価ってなんすか?」

パト「鉄本来の値段だよ!他のなにも介入していない元々の値段!大体1キロ単位だからそこから購入する時に大体何ミル上乗せされてるかわかるんだよ、鉄1キロ100ミルだとして材料屋の鉄塊10キロが3000ミル、はい!何ミル上乗せされてるでしょうか!」

ネス「えっと・・・1キロ100ミルで・・・10キロが1000ミルっすから・・・2000ミル上乗せされてるっす!」

パト「そう!つまり2000ミルも加わってるんだ、それで本題だが、ライバル店と差をつけるのは他の店よりも安くする方法があると言ったよな?」

ネス「うっす!」

パト「ここで大事になってくるのが、【どの段階で購入するか】だ!ぶっちゃけ鍛冶の仕事は知らないけど、加工された鉄じゃないと駄目なのか?無加工の鉄でも同じ武器は作れるんじゃないか?」

ネス「そうっすね、加工ならうちでも出来るっす!武器の修理やメンテナンスで加工はお手の物っス!」

パト「なら材料屋で買うんじゃなくて、一番最初の素材を見つける人から直接貰えばいい、違うか?」

ネス「・・・主・・・頭いいっすね・・・そうすれば仲介料金は掛からない・・・っす」

パト「そう、素材を見つけた人の費用が上乗せされる程度、つまり限りなく原価に近い値段で購入が出来る、そこから運送屋は必須だからそこさえおさえれば・・・ほら!安くなる!こうやって他のライバル店を差を広げるんだ!だけどこれは対人関係や交渉スキルが必須になってくる!、業界のタブーがあるみたいに、ルールを知っておかないといけない」

ネス「業界のタブーっすか?」

パト「ああ、もしネスみたいな職人が素材提供者から直接貰った場合、損する奴が沢山居るだろ?」

ネス「そうっすね、加工屋とか材料屋っすよね?」

パト「ああ、つまりそこらの連中の仕事を奪う行為になる、つまり敵が増える、素材提供者や運送屋にとっては関係ない話しだけど、それでいい気がしない奴らも居る、だからそういう争いにならないように業界の間で暗黙の了解があったりするんだ、だけどこっちも商売、破っても問題ないルールはバレない程度にやれば良い、馬鹿正直にやってたらいつまでも貧乏経営者だ」

ネス「なんか悪っすね!でも安くなった材料をそのまま見積もりにしたらバレるんじゃないっすか?」

パト「馬鹿正直に見積もりにしなくていいんだよ、そうだな、材料屋で買えば3000ミル、だけどネスは1000ミルで購入できた、なら大体2800ミルくらいで見積もりに書けばいい、詳細は黙って居たらいい」

ネス「成程っす!そうすればその分の金額はうちの儲けになるんすね!」

パト「そうだ、これで工費と材料費の話は認識できたか?」

ネス「えっと・・・認識は出来たんすけど・・・情報がかなり必要になるんすね」

ネスは頭を抱える。

パト「そうだな、しかも素材の原価だってその時その時で価値が変わる、常に一定じゃない、素材提供者は価値がある時に売れば儲け、だけど材料屋みたいにいちいち値段を変えれない店からすると赤字、逆に価値がない時に売れば赤字、だけど材料屋みたいな店は儲けだ、何故かもうわかるよな?」

ネス「入ってくる材料の値段が違うからっすか?」

パト「そうだ、さっきも言ったけど素材提供者から色んな人が仲介して材料屋に届く、つまりそこから上乗せされた最終金額が材料屋の手元に来るんだ、だけど材料屋ももちろんライバル店は居る、つまり安い方が売れる、そしてコロコロ値段を変えてしまえば客も減る恐れがある、普通は変えるんだけど、やっぱり決まった定価で取引したいからな、それを毎度変えられたら客側は溜まったもんじゃない、そうだろ?」

ネス「1000ミルだったものがいきなり高騰で1500ミルになったら泣くッス・・・」

パト「だから基本値段のバランスって凄く繊細で見極めが難しいんだ」

ネス「頭がこんがらがってきたッス・・・」

パト「後少しだ、頑張れ妖鳥」

パトはネスの頭を軽く撫で、労う。

パト「工費は妖怪族の中で普及している定価額を知る、材料費は原価に近い安い経路で購入する、後は何かわかるか?」

ネス「え、まだあるんすか?」

パト「この工房や工具はどうやって維持するんだ」

ネス「あ~~なる程っス」

パト「この工房だって消耗品だ、使い続ければ綻びが生まれる、数年経てば壊れもする、つまり、この場所や環境で仕事をするための費用を乗せないといけないんだ、例えるなら祭りの屋台で買う物だな、あれらが高いのはその場所を使わせてもらっているという場所に費用も入ってる、原価、人、場所、それらを計算した結果、普通のスーパーよりも高い値段で設定されてるんだ、自動販売機だって原価から場所や電気代とかの維持費、税金が乗って今の値段に設定されているんだ、それくらい場所に掛かる費用というのは大事って話だ」

ネス「成程・・・全然考えてなかったっす」

パト「ちなみにこの場所って実際の所維持費は掛かってないのか?」

ネス「妖怪族は自分達の村や家族、縄張り内で独自のルールを作りたがるっすからね、園自体に収める税額は一定で決まってるだけでそのほかは関与されてないっす」

パト「その税金って何に使われてんだ?」

ネス「妖怪族の都市じゃないっすかね、知らないっすけど」

パト「つまり一定の税金を納めれば特になにをしてても良いってことか、それでその税金の金額は?」

ネス「時間の概念が場所によって曖昧っすから、一人生涯5億ミル収めれば支払い義務は終わるっす」

パト「5億ミルって、妖怪族の寿命って何年?」

ネス「さあ、誰も死なないっすからね、うちも14歳っすし、妖怪は自然現象で生まれるのが殆どっすから親なんて概念もないっすから、種族事に違うんじゃないっすかね?ただ聞いた話によると死んでも税金が払い終えて居ない場合、無理矢理蘇生させられるらしいっす、死にたいなら税金を払ってから死ねってことっすね」

パト「死ぬことすらも許さない税制ってヤバいな」

パトはそう言いながらネスの寿命を人間とは違うとわかっている状態で大体100年と換算して、地球の感覚で考えたところ年約500万払わないといけない計算だった、1000年~2000年生きるのなら丁度いい数字になるため、恐らく寿命1000年くらいを基準に考えているのだと考えていた。

パト「少なくともネスは1000歳は生きるよ、よかったな」

ネス「え、あと986年も生きないといけないんすか?生き地獄じゃないっすか」

パト「ちなみに早く死にたいなら沢山稼げよ、ちなみに先月は何円税金を納めたんだ?」

ネス「2万ミルっすね、あまりにも生活品が買えなかったっすから本来収めるはずだったお金がなくなったんす・・・」

パト「まだ1000年以上は生きないとだな」

ネス「世知辛い世の中っす・・・」

・・・・・・
ネスはパトに言われた事をメモにしていた。

パト「まあ、仕事があるのはわかるけど、さっきも言った通りタイムリーな情報が商売では必須だ、少しでも古いとすぐに置いて行かれる、俺も最近起業したんだけど、そこらあたりは琴歌や月花が凄いから俺も全然なんだ」

ネス「奥が深いんすね・・・」

パト「あとはネスには必要ないかもだけど、宣伝費とか、経費だね、宣伝は「自分はこういう仕事をしてます!こういうサービスをしています!」ってアピールするための費用だね、もちろん効果は集客だ、客が居ないと商売は成り立たないからね、まずは知ってもらう事から始めないとスタート地点には立てないぞ、次に経費、さっき言った道具とか消耗品、場所代は経費として計算するんだ、年でこれだけ取るって決めたらそこからおおよその件数に合わせて計算して乗せておくんだ、うちの国だとそこの基準があって面倒くさいけど、妖怪族の国なら問題ないだろうし」

ネス「成程っす、ちなみにどんな感じっすか?」

パト「そうだな、地球感覚で言うと年10万を経費として持っておく場合、月15件仕事すると考えて12ヵ月で合計ノルマ180件、だから10万から180を割って、役560ミル、つまり最低でも1件に560ミルを経費で乗せておけば問題なしってことだ、多すぎるのは別に売り上げになるから問題ないし、こんなもんだろ」

ネス「成程っす、一度これで見積もりを変えてみるっす!」

ネスがパトから貰った案件の見積もりを作り直してみた。

パト「ネスにだけ特別扱いできないからここからは自分でやるんだぞ、贔屓にして他の妖怪族が俺と契約しに来てくれたらそれはそれで凄く楽だからいいけど」

ネス「・・・それは今は辞めてほしいっす、独占したいっす、この繋がりはちょっと・・・」

ネスは走らせていた筆を止めた。

パト「別に今は考えてないけどそうはいかないよ、いつかはこの世界全員と契約して力を手に入れないといけないわけだし」

ネス「そうっすね、我儘だったっす、でももし他の妖怪族と契約したらうちみたいな根暗とは関わってくれないと思うと・・・辛いっす」

ネスは少し泣きそうな顔で俯く、パトはこういう反応には弱く、言葉を詰まらせる。

パト(別にネスは嫌いじゃない、でも将来、契約する従者が増えた時、今みたいにネスと関係を続けてるかと言われたら自信はない、だって今でさえ専属神の子達でも関わりが少ない奴が出てきている、従属神なんてもってのほかだ、その中で帝園の従属なんてネルとかルナ、駐在契約をしている3人以外だとそこまで接点がない、俺の肉体は一つしかないからな・・・)

そんな事を考えるパトでもネスに応える

パト「辛いなら今回みたいに連絡してこい、そうすれば俺がいつでも召喚してやる、そこは我儘になってもいいんじゃないか?それも関係を繋ぐ努力は居るんだ、商売と同じでな、太客は逃さないのも技量だぞ!」

パトはそうネスを励ます。

ネス「そうっすね、せっかく約束を守って定期的に仕事をくれるっす、最近はあのティエル様から仕事を流してくれる事もあるっす、天使族や鬼族が客として一生居てくれる保証はないっすからね、頑張るっす!」

ネスはそう言いながら再度ペンを走らせる。

パトは笑顔でネスの仕事姿を見届けながら、月花から渡された【経営指南本】を読みながら自分の起業した会社が上手くいくように勉強に励む。

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2023年05月28日

No.111 法螺の究極系 ユラ

ユラは鬼族ということになっている。

だがそれが真実かと言われるとわからない、それはユラは法螺吹き、つまり嘘つきだからだ。
【十三天の心】と集まる時用の身体があるが、それが真実かと言われるとそうではない。

ユラには本物の肉体以外に何十体もの肉体を持っている、
現実世界では男の肉体に擬態することも可能であり、帝園内では各園用の肉体がある、そうすることでどこの園でも生きる事が出来、自分自身の身元を隠す事に成功している。

ユラ「さて、今日は第三の園・・・獣族の肉体を・・・」

ユラはそう呟きながら獣族に擬態する。

ユラは第二の園【十三天の心】のメンバーに選ばれた時は【鬼族】として参加していた。

ユラは法螺の究極系として選ばれたわけだが、実際なんで自身の姿を隠し通しているのかというと
自分の姿が本来の年齢以上に幼いからである。

その見た目にコンプレックスを感じているからこそユラは姿を隠し、嘘をつき、嘘に嘘を重ね、色々な設定を作り、身元がバレないように多くの姿で行動し、その姿ごとに役職や地位を獲得してきた。

それらの結果が積み重なり、才能が開花し、法螺の究極系として選ばれてしまったのだ。

・・・・・・

ユラ(獣)「がう~~、ふわぁ~~~」

ユラは今第三の園で他の獣族と共に日向ぼっこをしていた。

ユラが変身した獣は猫のような姿だった。

第三の園の猫は自由奔放であり、余程の事が無い限り働くという事をしない一族なのだ、ユラからすれば一番都合が良いため、猫に化けて一日を過ごしていた。

第三の園には獣に化けたユラの家があった。
もちろん第三の園だけではなく、各園に自分の家がある。

ユラ(獣)(さて、次は第四の園で天使らしいことをしないと・・・)

ユラはそうすると急いで第四の園にワープし、第四の園にある家で天使に化ける。

ユラ(天使)「今日の業務は・・・お花の水やりとお花の蜜を採取ですね」

ユラは一番無難な【王国の天使】という一般的な天使に化けて業務に興じていた。

・・・・・・

天使族の業務が人段落終えるとすぐに第七の園へ向かう準備をした。

ユラ(天使)(まだ時間に余裕がある、間に合わないならコピーを作って持っていくしかないけど、これくらいなら私だけでいけそうだ・・・)

ユラの本来の出身地は【第九の園】【擬態族】だった。

【擬態族】とは別の言い方をすればドッペルゲンガーという魔物だ。

誰かに変装してすり替わり、そこから変装した相手の物を盗んだり、陥れたりする生物である。
基本的に相手を騙すのが常識な一族なため、ユラも他人を騙す事に関しては非常に慣れていた。

【擬態族】は生態が基本他人を騙す事にあることから他の種族から忌み嫌われている種族であり、
魔族の中でもずる賢い、陰湿というレッテルを生まれた時から貼られる事もあった。

ユラは生まれてから自身が【擬態族】であることに恐怖があり、自分の本来の姿は誰にもバレたくないという強い思いがあった。

ユラからすれば目立つ行為は生きていく中で一番避けたかった行為なのだ。

なのに第二の園【十三天の心】に選ばれ、【錫の偽帝】という二つ名が与えられた。
個の上なく目立つ称号と所属を手にしてしまったユラにとって、今は生きていくのが精一杯の状態だった。

ユラ(天使)(最初は選ばれたんだからもういっその事擬態を減らして鬼族の擬態を本来の姿として過ごしてもいいかなって考えたけど、他の園を蔑ろにしたら何処かで偽りが解けてしまうかもしれない)

嘘は繊細なのだ、テトリスのように次々と嘘が降り注ぐ中、それらを上手くはめて消化していく、嘘を出来る限り真実に近い答えへと近づける、ユラは自分の今までついてきた嘘の繊細なパズルが崩れないか、それを見張るという意味で今だに以前の生活を辞められないでいた。

ユラ(嘘は自分を縛る楔だ、ついた嘘の数だけ私は縛られ、制限され、自由がなくなり、気付けば嘘に怯える毎日を過ごす事になっている・・・)

ユラは自分の生き方に不満を持ちながらも、姿を見せたくない、嘘がバレたくない、種族を知られたくない、そんな根本的な本音を隠したいという衝動に耐え切れず、嫌々ながらも納得しながら次の目的地に向かった。

・・・・・・

数時間後

ユラ(鬼族)「さて、研究を始めるとするか」

ユラは各園の役割を終え、第十一の園にある家と【十三天の心】用の鬼族の姿をして、研究の準備を始めていた。

ユラ(鬼族)(鬼族である私はどの園よりも地位が高い、だからこそ第二の園にはこの姿で向かった。ミール様は何も言ってなかったし、恐らく問題なかったのだろう、さて、次の嘘のために研究の成果を出さないといけない)

ユラはそう考えながら休まず、他の園に行っていた分の時間を取り戻すべく、早急に研究に入った。

鬼族のユラの段位は13段位の内の上から4番目【鬼王(きおう)】に居た。

ユラは嘘のために鬼族の世界で生き抜くために戦いを続けた時期があった、その結果今の地位に居るのだが、基本的に嘘のために結果を出して来たユラは各園の違う文化に適応し、求められる物が違う中、それらの結果を残すために努力をし続け、そして生計を立てて来た。

ユラ(鬼族)(でも第二の園は他の園に比べてノルマがないから良かった、別の姿を容易しないていいし、新しい設定を作らなくてもいい、このまま鬼族のユラとして生きていけば誰も私の嘘に違和感すらも持たないはず)

そしてユラは数時間研究を続け、液体変化の待機時間が出たため仮眠をすることにした。

ユラ(そうだ、一度第二の園に顔を出しておこうか、最初の方はある程度頻繁に言っておかないと変な勘ぐりが入ってしまいかねないからね・・・そこから研究キャラを周りに伝えていけば必然と第二の園に足を運ぶ回数を減らす事が出来る、そうすれば少しは負担は減る・・・)

ユラは足元がふらつきながらも白衣を着たまま第二の園に転移する。

・・・・・・
ユラ(【叡天の羅針盤】帝園の歴史や文化がリアルタイムで記述される自動書記本で埋め尽くされた異次元空間、故に物理的限界が存在しない、見た目以上に異常な建物だね・・・ここは)

ユラは再度建物を観察しながら自室に移動していた、すると運悪くネルと遭遇してしまった。

ネル「おお、ユラか、第二の園には慣れたか?」

ユラ(ネル様、この人は絶対に敵に回してはいけない、少しでも機嫌を損ねたら私の努力が駄目になる)

ユラはネルに警戒しながらもそんな事を表情や態度には一切出さずにネルと世間話をする。

ネル「そうかそうか、それで法螺の究極系なんだろう?さっきの会話は何処までが嘘なんだ?興味範囲だから教えて欲しいものだな」

ユラ「いえいえ、法螺と言えど常に嘘発している訳ではありません、常に嘘をついていては逆に分かり易いというもの、真実の中に数量の嘘を混ぜる事に意味があるのですよ」

ネル「成程、嘘の美学というものか、だがそんな一般人や私ですら思いつきそうな事を堂々としゃべって納得させたいのはわかったが、究極系に選ばれたならもっとセンスを見せて欲しい物だな、ユラ?」

ネルはユラに近づき、顎を手で支え、ユラの顔に向かってネルの顔を近づける。

ユラ(顔を逸らせない!?凄い力?!いや、ここで目を逸らせば何かしらの勘ぐりを入れられてしまう!そんな繊細な駆け引きから嘘は綻びが生まれて壊れる!絶対に負けちゃダメ!!)

ユラはネルの手で抑えられた顔を抵抗もせずにネルの目をまっすぐと見つめる、敢えて余裕を見せるために

ネル「目は逸らさないか、条件反射でここまでされたら最低でも目が少しは泳ぐものなんだがな、動揺すらも表には出さないか、そこは大したものだと誉めてやろう」

ネルはそう言うとユラの顔を放し、距離を取り、その場を去ろうとする。

ネル「また会おう、次はもっと精度の高い嘘を私に見せてくれ、私は今一番【十三天の心】の中でお前に興味がある、嘘という誰もが行うスキルの頂点に位置するお前の嘘の御業、ぜひとも私にもご教授願いたいからな」

ネルはふと笑いながらその場を去って行った。

ユラ(最悪だ、一番目をつけられたくない人に目をつけられた、今日ここに来るべきじゃなかった!!)

ユラは先ほどまでの緊張感が解け、疲労も相まって、足元が酷くふらついたが、自室まではその素振りを一切見せなかった。

・・・・・・

ユラは眠っていた。

ユラ(ああ、結局あのまま部屋に入ってから寝てしまったか・・・でもこの部屋なら他人は入ってこない、一番安堵出来る場所なのかもしれないな・・・)

ユラはそう考えると本来の姿に戻り、シャワーを浴びる。

ユラ(うう・・・やっぱり本来の身体だと背も小さいし、胸もない、体格もないし・・・こんなの子供と間違われるよ・・・はぁ、嫌だな・・・この身体・・・)

ユラは自分のコンプレックスにため息をつきながらも久方ぶりのラフな時間を満喫しながら自室で過ごしていた。

ユラ(嘘は疲れるなぁ・・・)




patopatoblog at 19:19|Permalink

2022年12月08日

No.86 十三天の心 ルナ

ルナは第八の園に存在する年中暗い地域の大きな館に住んでいる。

今日はパトがルナの館に来ていた。

ルナ「今日は何を飲みますか?主様?」

パト「そうだな~、グレープジュース!」

ルナ「わかりました、最近主様がよく来てくれるのでジュースのバリエーションが増えましたよ」

パト「次は炭酸ジュースをご所望だね!よろしくね!ルナ!」

ルナ「主様、このジュースは全部帝国産ですよ、全部わざわざ出て仕入れてきてるんですよ?」

パト「そうなの?というかいつの間に出てるのさ?」

ルナ「え?私は出てませんよ?ただ、能力を使ってこう・・・」

ルナはそう言うと右手側に黒い空間を生み出し、そこから飲み物を出して来た

パト「はいそれ窃盗!買ってないでしょ!?」

ルナ「大丈夫です、主様用にしか使って居ませんので、私用でこれを使ったことはありません、そこまで帝国は惹かれませんので」

ルナはそう言うと空間を消し、手元にあるティーカップの中にある液体を口に含む。

パト「ルナが今飲んでいるそれは普段どこから手に入れてるんだ?」

パトは疑問に思った事をルナに聞いてみた。

ルナ「それは帝園から取って来てます、こちらは窃盗ですね、ですが第八の園は【律儀に買うのは馬鹿】【盗まれる管理をしている方が悪い】という思考の子が多いので問題ありません、合法です。」

パト「ここの園の文化怖すぎだろ、夜道安心して歩けないじゃないか」ガクブル

ルナ「主様の物を盗もうものならミール様の逆鱗に触れるから絶対にあり得ないわね、怖い怖い」

パト「怖い怖いで済ますなよ」

パトはそう言いながらルナが用意してくれた盗難品のグレープジュースを飲み干す。

・・・・・・
ルナ「それにしても帝国の方はいいのですか?」

パト「今日は暇なんだ、帝国では自室でメルリア達とゆっくりお茶してたし、やってることは変わらないさ、俺が居ない方がメルリアも気を楽に出来るだろうしね」

ルナ「目上と同じ環境に居るのは気を許していても疲れますからね、わかってるじゃないですか」

パト「俺は弱者の気持ちが痛い程わかるんでね~」ドヤ

ルナ「それで私の所に非難してきたわけですね」

パト「ここって気が休まるんだ、ルナも俺を守ってくれるわけだし、このソファーも居心地いいし、時間軸が違うからここでサボっても帝国では些細な時間だ、有意義に使わせてもらってるよ」

パトはソファーで横になると目を閉じ、寝る体制に入る。

ルナ「ここが主様の憩いの場になっているのなら私も嬉しいですね、本当主様くらいですよ、私の所に好き好んで来てくれる方は」

パト「だって、ルナって一緒に居たら居心地良いんだよ、周りは俺を魅惑させて精力をむさぼってるみたいな偏見持たれてるけど、実際は俺の英気を養ってくれてるだけだしね、皆ルナの雰囲気に惑わされ過ぎなんだよなぁ」

パトはそう言いながら眠りについてしまった。

・・・・・・

ルナはパトに毛布を掛け、自分の元居た場所に座り、ティーカップにある液体を再度口に含む。

ルナ(主様が思っている程私は良い女じゃない、自分の欲のために主様を利用してるだけ、でもその代わり主様の欲を私が満たしてあげてるだけ、私は誰よりも独占欲が強い、そして誰よりも魔族としての本能を持っている、だから私は主様とひとつになりたい、文字通りひとつに・・・一時的に体が合わさる程度ではなく、私が主様の中で生き、そして一生を共に過ごし、主様の持つ全てを私のものにしたい・・・そんな欲深い女って主様でも流石にわからないわよね)

ルナはパトを優しい眼で見つめる、ルナはそのような事を考えていても別に実行に移す事はない、人の妄想に近い思考回路。

ルナ「もし、主様の血をもっと手に入れて、肉を貰えば私は主様になれるのかしら?」

パト「・・・zzz」

パトは深い眠りに入っていたため、ルナの独り言は聞いていなかった。

ルナ「なんてね、私が主様になっても意味がない、主様は主様だからこそ意味がある、なんて初々しい顔なのかしら、帝国では数十名の女性を愛し、脇隔てなく愛を与える主様、なのにそこに邪な気持ちがない、美しい、私欲にまみれた欲望ではなく、相手の事を想って満たされた欲望は本当に綺麗、主様、その綺麗な欲望をぜひ大切にしてくださいね・・・」

ルナはそう言いながら最後の一滴まで飲み干した。

・・・・・・

パト「んん?結構寝てたか?」

ルナ「ええ、どうせならと思って深い睡眠に入れるように魔術を掛けておきました、どうですか?身体が軽くなりましたか?」

パトはルナに言われて身体を動かす、深い眠りに入って居たため多少身体が重たいが、動かしてみると疲れがしっかりとれていた

パト「うん、良いかんじだ、ルナ今日も血が必要か?」

ルナ「主様から頂けるのなら」

パトはルナのその言葉を合図にルナに口づけをする、そしてその間にルナはパトの口から血液を吸い取る。

ルナ(このひと時が凄く好き、血があれば私はもっと主様に近づいて最終的には血で繋がれた眷属にまで昇格するかもしれない、でもそんな先の事より、今こうやって主様が私と接吻を交わしてくれて、血を貰う事を受け入れてくれる事が何よりも嬉しい・・・)

ルナはある程度パトから血液を抜くと、その分自分の血をパトに分ける、そうすることで、パトの貧血を防ぐのと、ルナの血をパトに馴染ませ、より強い絆で結ばれ、眷属として特別な地位に近づけようという企みがあった。

ルナ「はい、ありがとうございます」

パト「毎度今でも血を分けてるけどまだ居るのか?」

ルナ「隠す気はありませんが、私は今の関係に満足してませんので、【常駐契約】は機械族の娘と、鬼族の娘と龍族の娘に奪われてしまいました、ですが私には【眷属】を狙う事は出来ます、もっと私と主様の血と関係が深まれば私を今よりも上手く扱えますよ」

パト「眷属か、もう従属なんだから同じようなものだと思うけど、俺はルナを信じてる、ルナは俺に悪いようにしない、だから疑わない、好きにしろ」

ルナ「その信頼を裏切らないように心がけましょう、それでは帝国業務、頑張ってくださいね」

パト「はいよ!ありがとう!ルナ!」

パトはそう言うとその場から去り、帝国に戻る。

ルナはパトを見届けた後、机の上に残っているカップ二つを片付け、そしてパトが使った毛布を畳み、自身の作った空間の中に収納する。

ルナ「主様が私の事を疑わない、信頼してくれる、それだけは絶対に裏切りません、絶対に後悔はさせませんよ、それでお互いの幸せのために・・・ってね♪」

ルナはまだまだパトを狙っている、だけどそれは深い魔物の愛情表現なのかもしれない・・・




patopatoblog at 00:37|Permalink

2022年12月05日

No.84 十三天の心 セラ

セラ「お帰りなさいませご主人様・・・」シーン

・・・

セラ「お帰りなさいませご主人様・・・」シーン

セラ「なにか違うのよね、いや、可憐で品があるのは当然なのだけど、どこか違うというか、満足できないというか、挨拶が平凡だからかしら?」

セラの住まいは第一の園に存在するパトが来日してきた時用の宮殿が存在し、普段は誰も住んでいないためセラが勝手に住んでいた。

セラ「これは主本人を呼んでこの違和感を解決しないと気持ち悪すぎてぐっすり眠れないわ」

セラはそう言うととりあえず勝手に現実世界に行き、パトを連れて来る

・・・・・・
パト「俺、暇だけど暇じゃないんだけど?」ムス―

セラ「可愛くて美しくて誰が見ても羨む美貌を持つ私に誘われた事を感謝しなさい駄主様」超絶上から目線

パト「来て早々無茶苦茶失礼な接待された、これがメイドのすることかよ!」

セラ「そうだったわ、というよりやっぱり臭いわね」

セラはそう言うとパトの身体にアルコールと香水を掛けようとした、だがパトも何度もその手にやられないためにそのスプレーから距離を取り、対策をする。

パト「ふふふ、俺が何度もそんなスプレー攻撃を許すと思うかね?駄メイド?」

セラ「ではロケット型を」ガチャン!!!

パト「は?!ふざけんな!どこから出した!そんなあからさまなネタみたいなロケットを出しやがって!!恥ずかしくないのかよ?!」

セラ「いいえ!むしろ主様相手にこれを打てると考えるだけでテンション上がりますね!!」

セラはそう言うと情け容赦なしにパトに向かってアルコール液が大量に入ったロケットをパトに向けて放つ!

パト「ぎゃあああああああ!!!」ズド――――ン!!!

ロケットの先端は凄く柔らかいクッションを使用しており、パトは怪我をしなかったが、身体中アルコールまみれになった。

セラ「うわ、アルコールくさ、酒に飲まれる男って情けないよね~」

パト「一滴も入ってねえわ!って本当にくさ?!これマジで臭いんだけど?!」

セラ「うるさいですね、とりあえずさっさと着替えるなりお風呂に入るなりしてその匂いを落としてください、不愉快度数が爆上がり過ぎて困惑超えてますが?」

パト「わかってるよ!まったく結局なんのために呼んだんだよ・・・」ブツブツ

パトはブツブツと文句を言いながら浴室に向かって歩いて行った。

セラ(は!メイドとして主の身体を洗うのは当然!ならこのままメイドとしての威厳というのを見せてあげた方がいいわね!)


・・・・・・

セラ「なんですか?メイドの前で服なんか脱いで?自分のメイドならセクハラは存在しないと思いました?最低ですね、失望しました、この件は裁判でじっくり話し合いましょう」

パト「なら俺はお前が勝手に俺の居る更衣室に入って来た件について勝負をしようじゃないか」

セラ「まあまあ、そんないちいち目くじら立ててないで、早く水着履いてください、デリカシーという言葉を育てようと地面にでも埋めたのですかね、そんなんじゃ育たないのに」はぁ~(溜息)

パト「その言葉そっくりそのまま帰してやるよ!駄メイド!!」

パトはそう言いながらセラに水着を用意させ、セラが持ってきた際どいブーメランパンツを履いて大浴場に入る。

パト「お前の水着のセンスはどうなっとるんじゃ?」

セラ「布面積が少ない方が洗いやすいでしょう、スーパーメイドが配慮したのですから黙って涙を流しながら感謝をしながらさっさとそのアルコール臭を取ってください」

パト「お前が付けた臭いだけどな?」

パトは渋々シャワーとせっけんを使って身体を念入りに洗う。
その間後ろでセラはパトをまくしたてる

セラ「え、そこは臭いがキツイんですからもっと洗いましょうよ、」

セラ「背中、そんなんじゃ全然洗えてませんよ、まあ手伝いませんけど」

セラ「首元や耳元はもっと念入りにしてください、これだからゴミカスと言われるんです」

パト「トゲしかない言葉のオンパレード!そして凄くうるさいヤジ!!というか手伝う気がないなら出ていけ!というかなんで俺の真後ろに居るの?!」

セラ「え?スーパーメイドですから?やっぱり主のお供をしないといけないでしょう?」

パト「ただ傍で立っててお供していると思ったら大間違いだぞ?」

セラ「ほら、早く洗う!そもそもこんなことをするために呼んだんじゃないんだから!」

パト「敬語ー!メイドの基礎ー!自身の辞書に【礼儀】という言葉を削除したかのような暴君?!」

パトはそんなこんな言いながら身体を洗い終え、大きなお風呂に浸かる

パト「おお、ここのお湯はなんか違うんだな」

セラ「それはまあ・・・」

パト「なんて湯を使ってるんだ?」

セラ「知らない、というより自分の家に流れてる水が何水なんかわかるわけないでしょ?」

パト「ああ、まあ、確かにそうか、別に特別な温泉を引いてるわけじゃないんだな」

セラ「いや、えっと・・・うん!多分そう!!」

パト(こいつに聞くだけ無駄だな・・・)

パトはそう思いながら湯から上がり、身体を拭き用意されていた服を着る

パト「へえ、セラが用意してくれたのか?」

セラ「いえ、もう数か月ここに放置してある服です、まあ、ここは清潔なので問題ないですよ」

パト「・・・まあ別にそういうのに抵抗ないからいいけど・・・」

・・・・・・

パトが髪の毛を乾かし、そして談話室に移動しようとした時、セラが両手を広げる

セラ「メイドが頑張ったご褒美、しっかり抱きしめるんですよ」ドヤ

パト「・・・」(お前が何をやったんだ?って思うけどここでやっておかないとまた面倒臭いからやっておこう・・・)

パトはそう考え、セラを抱きしめる

セラ「流石に石鹸を使ったので臭くないですね!」

パト「そうかい、それは良かったよ」

パトからはセラの表情はまったく見えない、セラはどのような顔をしているのか、興味がないわけではないが、とりあえずある程度抱きしめると離れる。

パト(特に変わったことはなし、顔が赤くなってるわけでもないし、やっぱり抱きしめる事に関してはそこまで思ってないんだろうな)

パトはそう考えながら更衣室を後にする。

セラはパトが更衣室を出たのを見計らって、顔をにやけさせ、先ほどの抱きしめられた幸福感を堪能していた。
そしてすぐに顔を引き締め、パトの元に行く。

・・・・・・

パト「それで元々の目的ってなんだっけ?」

セラ「私がスーパーメイド、だけど最近何処か普通というか、スーパーが足りないというか・・・だから主様を使えば多少は感覚を取り戻せるのでは、っと思いまして」

パト「安心しろセラ、最初からスーパーポンコツメイドだったから、そういう意味ではまったく変わってないから」

セラ「そんな冗談、今は求めてません!」

パト「あの今までの暴挙を冗談で済ませんな!」

セラ「それで挨拶から仕草までスーパーである事を主様に見て貰いたいの」

パト「はぁ・・・いいけど」

セラはパトがそう言うと同時にそのまま部屋から出ていき、ノックから始める

コンコンコンコンコン

パト(ノック多いな)

バターン!!(扉を思い切り開ける音)

パト(静かに開けろや!びっくりするだろ?!)

セラは何食わぬ顔でパトの元まで近づき、挨拶をする

セラ「主様、なにをご求めで?」

パト「いや、何も求めてないけど?」

セラ「いや、だから何をご求めで?」

パト「だから!何も求めてないんだけど?!」

セラ「そうですか、ならさっさと要求を決めてください、一人のメイドの行動管理も出来ない主様、下々に的確に仕事を与える事が主様の求めらることなのに何も命令しないなど、周りから給料泥棒や窓際族など馬鹿にされるじゃないですか、やる気のある若い子の可能性を摘み取る気ですか?それが嫌ならさっさと命令でもなんでもしてください!!」

パト「重いわ!!俺のひとつのさりげない命令にどんだけ人生左右されてんだよ!別に主が現時点で何も求めないくらい満足してるんだからいいだろ?!」

セラ「成程、では何もしません、それがスーパーメイド」ドヤ

パト「いや、俺の事は良いからこの宮殿?屋敷?の清掃でもしてたら?」

セラ「それはもう終わってます、私綺麗好きなのでチリひとつ落ちてる事が許せないので」

パト「そんな馬鹿な~~」

パトはそう言いながら周りを見渡す、すると確かに傍から見たら埃一つ被ってはいなかった。

パト「・・・マジじゃん、でも俺の服は?!」

セラ「数か月手入れしなくてもいいくらいに繊細に洗って管理しているに決まっているでしょう、カビ臭いなんて最低過ぎて私が許せないわ」

パト(セラって掃除方面に関してはマジのスーパーメイドだ・・・それ以外が壊滅的だけど・・・)

パト「凄いじゃないかセラ!見直したよ!いや本当!」

セラ「何を今更、スーパーメイドなのだから当然です」ドヤ

セラは口ではそう言っているが顔は明らかなドヤ顔だった。

パト「セラ!屋敷の掃除を任せる!俺はその間に帰る!」

セラ「了解しました、もう終わってるので帰るのは許しません」

パト「くっそ!逃げようとしたが回り込まれてしまった!!」

セラ「どうせ暇なのでしょう?なら私のスーパーメイドの訓練に付き合いなさい、従属のお願いを聞くのも主の大事な務めでしょう!」

パト「はいはい、わかった、満足するまで付き合うよ」

セラ(やった!)「それでは続いて食事を運ぶ時の動作を・・・」

セラは少々人間関係が不器用だが、それでも主と一緒に居たいという気持ちだけは頑張って出している。パトはそんなセラに気付くことはない・・・






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2022年12月04日

No.83 十三天の心 ニア

今回【十三天の心】に選ばれたニアには二つの顔がある

・元気で天然な愛玩動物のようなニア
・暗殺を得意とし、獲物を絶対に仕留めるニア

二つの顔を持つニアだが答えは簡単で人格が二つあるのだ。

その切り替え方は頭に着けている鈴であり、その鈴は特別でニア本人かニアの主である者でしかその鈴を鳴らす事はできない仕様になっている。

つまりニアの人格を変えるには現時点ではニア本人、パト、ミール、シンの4名のみとなっている。

普段の温厚なニアは戦闘という戦闘が一切出来ないため、戦場や戦闘が必要な時は残虐性のあるニアに切り替え、戦うのである。

・・・・・・

ニア「お花畑だ~~綺麗だね~~」

ニアは普段は能天気過ぎて、仕事で山菜を取る間に寄り道をして一人でお花畑ではしゃぎ遊び呆けるような子だった。

だが種族的にそのような子が多い種族なのでそれに対してそこまで咎める者も居なかった。

ニア「【十三天の心】に選ばれて何か変わるかなって思ったけど特に変わったことないね~」

ニアは【十三天の心】に選ばれた後も元々住んでいた森の中にある狸族の里で過ごしていた。
幹部に利益を与える行為さえしなければ何処に住んでてもいいというのが【十三天の心】のルールなのだ。

なので余程物好きではない限り何の文化もない【第二の園】には誰も済まずにあらゆる文化が整っている他の園に他のメンバーも過ごしているのだ。

ニア「あの時皆で顔を合わせた時以来他の子に会ってないし、女帝と呼ばれるようになったらしいけど特にやる事もないし・・・あ!そういえばもう一人のニアの仕事が無くなったんだよね!どうしよう!お金なくなるよ?!」

ニアは草食なので食事には困らないのだが、何分それ以外の生活費が必要であり、それらを払うための資金源が絶たれてしまい困惑していた。

ニア「ここのお花畑のお花を売ってお花屋さんでもしようかな?それか山菜を都会に持って行って売りに行くか・・・でもそれって女帝のニアがしていいのかな?威厳がどうこうとか言われそう・・・」

能天気なニアにしては珍しく困っていた、いつもは元気にぴょこぴょこ動く耳も萎れてしまい、お花畑の真ん中で困り果ててしまう

ニア「そうだ!こういう時こそ!メンバーに聞くべきだよね!」

ニアはそう言い、叡天の羅針盤に赴く

・・・・・・
ニア「こんにちは~~」

ニアはゆっくりとドアを開ける、するとそこには守備の究極系であるベルが居た。

ニア(ベル様だ!以前は話せなかったけど、この際だからお話出来たらいいな~)

ニアはそう思いながらベルの元までトコトコと走り、そして話かける

ニア「ベル様!教えて欲しい事があるの!」

ニアは大きな元気な声でベルに話しかける、その大きな声に対して眉間にしわを寄せ、あからさまに嫌な顔をしながらベルは応える

ベル「なに?・・・要件があるなら手短にしてほしい・・・と思う」

ニア「ベル様は普段どのようにして生計を立てているのですか?」

ベル「ここに来たら・・・生活に必要な資金は・・・各自分シンが用意してるから・・・そこから資金を降ろせばいいと・・・思う」

ニア「そうなんですね!良かった~、今まで働いて生計立ててたからどうしようって思っちゃって」

ベル「女帝が他の園で働くのは・・・駄目、直接じゃなくても間接的に幹部のためになるから・・・だから自分のための生活をするのはいいけど・・・資金は絶対にここから取らないと駄目だと・・・思う」

ニア「え~でも、それって他の園の物を買ったらその分経済回すからそれも間接的に幹部の人のためにならないですか?」

ベル「商品を買うのは・・・自分が生きるためだから・・・問題ない、自分が助かるためであって別に相手を助ける意図はないから・・・て理屈だと思う」

ニア「へえ~そうなんですね!ありがとうございます!えっとどこからお金を降ろしたらいいか教えて貰っていいですか?」

ベル「メンドクサイ・・・って思う」ム~

ベルは本に顔を埋め、「これ以上話しかけるな」という合図を送る、だがニアは空気が読めないため、お構いなしにベルにお願いする。

ニア「お願いしますベル様!このままだとニア生活出来ないの!」

ベルはとうとう我慢の限界が来たのか、能力を使う。

ベル「~ムオンノセカイ~」

するとベルの周りが無音になり、ニアもベルに話しかけているのに一切声がベルに届かないのだ、そしてベルは涼しい顔に戻り、読書に戻った。

ニア(酷いよ~~!教えてくれるくらいいいじゃん~~)

ニアはそう思いながらもベルに拒絶された以上どうしようもないため自分でなんとか自分用の資金を降ろす方法を考える。

・・・・・・
ニア「叡天の羅針盤って大きい図書館って感じだよね、特に特別な機械とかあるわけじゃないし、それっぽい魔法陣とか施設があるわけじゃないし・・・どうなんだろう?」

ニアは周りをある程度観察するが何処にもお金を降ろせるような場所がないためまたもや困り果ててしまった。

すると扉が開き同じタイミングでメンバーになったユラが現れた。

ユラ「どうしたんだい?ニア、こんなところに?」

ニア「ニアはね、生活用のお金を降ろしに来たんだけど方法がわからなくて・・・」

ユラ「そうなんだね、それは大変、私も協力してあげたいけど生憎ちょっと用事があってね、」

ニア「いいよいいよ!自分でなんとか探してみるから!ユラちゃんありがとうね!」

ニアはそう言いユラはそのまま奥の部屋に入っていく。

ニア「あれ?そういえば奥に部屋があったんだね、なんだろう?ユラちゃんが出てきたら聞いてみようかな?」

ニアはそう考えながら大広間を調べていった。
そして数分もしない内にユラが部屋から出てきて涼しい顔で「それじゃあね」と軽く挨拶をしてその場を去って行った。

ニア「ああ、せっかく聞きたかったのに・・・」

ニアはそう思いながらも「入ればわかるか」と考え、ユラの入って行った部屋に入ろうとするが鍵が掛かっていて入る事が出来なかった。

ニア「あれ?鍵が掛かってる?でもさっきユラちゃん鍵を掛けるような素振りしてなかったと思ったんだけどな~」

ニアはそう考えながらドアの事は諦め、本を漁って探していた、するとそこにシンが現れた。

シン「騒々しいですね、ニア、どうしたの?こんなに本棚から本を出して・・・」

ニア「シン様~、お金~~、生活出来ない~~~」半泣き

シン「貴女、話を聞いてなかったの?生活費は各自の部屋にある金庫に入れてあるからそこから取って行ってって言ったじゃない、あと各自の部屋は寝泊まりは自由だし、絶対に他人は入れないから気負わずに自由に過ごしても良いって・・・はぁ、次はちゃんと話を聞いておくのよ?」

ニア「あれ?でもニア、そんな話聞いた覚え・・・あ。」

ニアはふと思い出したかのように鈴を鳴らす。

裏ニア「シン、その話私ともう一人の私にしないと駄目だ、記憶を共有していない」

シン「それを先に言いなさい、それと貴方達で記憶の共有とか出来ないの?」

裏ニア「記憶は共感できない、共感してしまったら表のニアがニアで無くなってしまうからね、あくまで本能である私は私の人格で居た方がいいの」

シン「そう、なら今度からはしっかり貴女達で情報だけでも共有出来るようにして、主相手に二度も同じ説明をさせるつもり?」

裏ニア「それは無礼だな、気を付けよう、ただ表のニアがそれに気付くかどうかだが・・・」

シン「私が人格入れ替わった後はメモを確認しなさいって言っておくわ、それで引き継ぎたい情報を表のニアに引き継げるでしょう?報連相はしっかりとよ!」

裏ニア「助言感謝します、ちなみに資金とはどの程度」

シン「自称意識高い系ばっかりだからね、相当高額なお金を入れてるわ、一応この叡天の羅針盤内の時間を基準に約300時間ごとに入金してるわ、まあ大金を使い続けるのもセンスが居るっていうくらいだし、表のニアは細々しい生活してるし、お金が無くなるとかは考えなくていいわ」

裏ニア「そうですか、ありがとうございますそれでは」鈴チリーン

ニア「えっと、やっぱりもう一人のニアが知ってた?」

シン「ええ、とりあえず貴方達で情報交換出来るようにメモなんかに書いて互いに情報を引き継ぎなさいって言っておいたわ、それとこれ、メモ帳、渡しておくから今からもう一人の自分に聞いて自分でなんとかしてみなさい」

ニア「ありがとう!シン様!」

シン「ええ、あと、その本はしっかり本棚に戻しておくのよ!」

ニア「は~い」

シンはニアに注意し、その反対側でベルが能力を使いながら読書をしているのを見つける

シン(ベル、ニアの声がうるさくてムオンノセカイ使ってる・・・何かあったら身体ゆすらないと)

シンはため息をつきながら自室に戻る。

・・・・・・
ニア「やった!いっぱいお金あるよ!」

ニアは自室を見つけ、その中にある金庫からお金を確認する。そこにあるお金はそのまま手に入るわけではなく、各園の通貨に変更出来るように加工されている、そのため、まずは機械に欲しい金額を打ち込み、どの園用のお金を作るかを決め、そしてそこから指定したお金が出てくるという形で出来ている、帝園にはカード払いみたいなものが存在しないため、全て現金払いである。

ニア「こんなに沢山お金は要らないから、そうだな~1000ミルあればいいかな~」

【ミル】とはお金の単位である、通過はデザインが違うだけでお金の名称や単価は同じなのである。
各園事にお金と単価事情を出すとミールが管理出来ないとのことで、デザインは変えて専用のお金としてはいいが、読み方や単価は共通なのである。

ニア「お家の支払いが600ミル、水道が100ミル、生活用品で300ミルもあれば大丈夫!これで生きていける~!」

ニアは歓喜し、その場でぴょんぴょんと跳ねる!
そしてそのまま叡天の羅針盤を後にして、自分の家に戻り、食材保管庫に置いてある果物を食べてゆっくり寝た・・・

ニアは考えなかった・・・

ユラが来た時、ユラもただお金を降ろしに来ただけなのにまったく教えなかった事、
そして家の支払いは一括で払い、買い取れば良かったと・・・

だがニアはそんな事を一切考えずにその日の喜びと満足感と充実感の中心地よい夢の世界に向かうのだった。

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2022年11月30日

No.82 十三天の心 テル

テルの技術力は非常に高い、応用力も高く、軽々と習得するのに何十年掛かると言われるような代物でもほんの一瞬で覚える所か、そんな技すらも改良を加えてさらに質の高いものにしてしまう。

テル「え?技術の見直しがしたい?」

聖人族A「はい、テル様の功績はお聞きしております、あの絶対的帝園の主様に直接ご指導をしたとお聞きしております、そんなテル様に私達の伝統技術をぜひ見直してもらい、さらなる高みに上げて欲しいのです!」

テルは自分と同じ種族の子から依頼されていた。

テル(う~ん、暇だから別にいいんだけど・・・いいのかな?無償でやって?)

テルとしては暇潰しなので別に構わないのだが、今の所属は【第二の園】、無償で他所の園に技術を提供するのは色々とマズイのではないか?と考える。

テル「ごめんね、今は所属が違うからちょっと私もやっていいのかわからないんだ~」

聖人族A「そうですか・・・すみません、ムリを言ってしまって・・・」

聖人族の子はあからさまに気を落とし、テルの元から帰ろうとしていた。
テルはそんな背中を見ていられなくなり、その聖人族の子を止めた

テル「わかった!ちょっと待って!この際だから上に聞いてみるから!ちょっとここで待ってて!」

テルは大慌てで止め、即座にシンに連絡する。

・・・・・・

テル「シン様?私が以前居た園で技術の伝授や依頼を受けるのは大丈夫ですかね?」

シン「特に定めてないから問題ないと思うけど・・・だけど他所の園だと外部からの依頼や干渉は禁止って法もあるから【第七の園】の法をしっかり見てからやりなさい、あ、でも構成員幹部相手はダメよ、それで園同士の戦争とかになったらいけないからね!私達は帝園全体の治安管理も任されているのだからそこは公平にね!後、その技術がまわりまわって構成員幹部へ届くのも駄目だから使用用途と他言無用であることをしっかり伝えるようにね!」

テル「成程・・・まわりまわってその技術が構成員幹部の利益になったら駄目・・・って技術伝授って絶対ダメじゃん!!」

シン「まあ、ブラックよりのグレーね、その園のための技術になりますからね、申し訳ないけど断って頂戴」

シンはテルにそう指示し、テルは少し残念そうにシンとの連絡を切る。

・・・・・・
テル「ごめん、やっぱり無理みたい、引き留めちゃってごめんね」

聖人族A「いえ、私のために動いてくれただけでも嬉しいです!ありがとうございました!」

聖人族の子は深く頭を下げ、そのまま走り去って行った。

テル(せっかくの才能も使わないと宝の持ち腐れだよね・・・はぁ)

テルはため息をつきながら自分の家に戻る。

・・・・・・

テルの家は【第七の園】にあり、見る限り可愛いアイテムでデコレーションをした広い2LDKサイズの家を持っていた。

大広場は30畳程ある広い空間であり、今回のようにお客が来た時に出迎える場所である、そして自分らしさを出すために色んなデコレーションをしていた。

そして残り2部屋は衣装室と寝室だった。

衣装室は20畳程あり、寝室はなんと4畳程しかなく、シングルベッドを部屋いっぱいに置き、小物置き用の小さい机を頭付近に置いている程度であった。

テルは普段美意識が高く、常に自分の身体の細胞が劣化させないようにオーラ技術開発を独自で行い、何もしなくても美肌を保ち、あらゆる美容効果を持つオーラを常に纏うという変わった技術を使っていた。

そのおかげでテルの身体が汚れることはなく、油分や汗も完璧に浄化し、服も汚れないようにオーラで纏っていたため、テルはそのままベッドに倒れこんだ。

テル「体臭は身体の内側の問題と身体の外側による汚れによる問題から生まれる物、それで今回外部からの要員は排除したから、次は内部だけど・・・正直、オーラを体内に充満させたらそれだけで別に問題なさそうだし、後はバランスかな~、全部浄化したらその日飲食したものまですぐに浄化されちゃいそうだし・・・」

テルはうつ伏せでベッドに倒れたまま、先ほど口走った事をすぐに実行してみる・・・結果、出来た。

テル「うん、これで食べ物の消化した事で発生する臭いや、口臭、口腔内ケアもオーラだけで完璧にこなせるね・・・あとは・・・」

テルはこうやって思いついた事をすぐに実践してはすぐに成果を出し、日常で使うという事を繰り返していた。

テルはお風呂や手入れが好きなため、それだけの技術を持ちながらも敢えてお風呂に入り、汚れてもいない美しく白い肌を洗う、その行動だけで心が落ち着くのだ。

だがテルが【十三天の心】の候補生に選ばれた時から、生活は変わり、自分の役割が無くなり、常に誰かのためではなく自分のためだけに力を磨くようになった。それが時に虚しく感じ、御礼を言われなくなったり、以前までは多く相談に来ていた客も今では減って、今回のように来ても期待に応える事も出来ずにそのまま帰すという繰り返しだった。

テル「つまんないなぁ、自分だけが満たされても誰も私に感謝してくれないし、誰も私を求めてくれない・・・」

テルは自分の先ほどまで思い付き、完成させていた新たな技術を解除し、そのままお風呂に入った。

・・・・・・

【十三天の心】の役割は治安維持と主様への力を与え、支え、共に戦う事。

治安等早々悪くなることはなく、メンバー全員が暇を持て余しているのが現状だった。

ネルは主(パト)の所に定期的に遊びに行き
ベルは常に自室で読書に没頭し(最近は帝国産の小説に没頭している)
シンは仕事があり、業務をこなし
ノラは自分磨きのためにストイックに鍛錬を重ね
フラは自室でダラダラし
ルラは新たな治療技術の研究を行い
ウルは精神統一の特訓で定期的に場所を変えて鍛錬をしている

同期になる5人の話を聞くと
セラは趣味である侍女の業務を意味も無くこなし
ルナは現実世界に居る主の動向を確認し、何かあった時にすぐ対応できるようにと観察し
ユラは日頃は謎の研究に没頭していた。
ニアは花畑で遊んだと能天気な事ばかりしていて
リルは現実世界で主の元で生活していると聞いた。

テル「皆好きに生きてるけど、私達の寿命ってほぼ無限だからずっと生きていくとそんな娯楽もつまらなくなるんじゃないのかな?私なんて技術の究極系だからすぐにできちゃうし・・・つまんないなぁ」

テルはお風呂の湯舟の中で声を出して今の葛藤を口にする。

女帝と帝園全土で知名度が増えても偉い事等一度もしていない、
ただただ時間を無駄に過ごすだけの日々。

テル(もっとこの帝園全土の技術力が上がればよりよい生活が出来るんじゃないかな・・・全土なら一部の構成員幹部の利益にならずに全員の利益になるし、それなら文句ないんじゃ・・・でもそうなると全員一斉に教える必要があるから偏ればそれはそれでダメだしされそうだな~~、惜しいなぁ~~)

テルは湯舟の中で足をバタバタさせながらいい案が浮かばないモヤモヤを発散させていた。

テル「どうせなら同期の皆と仲を深めてお悩みを聞いたらどうだろう!そしたらきっと難題を突き付けてくれるかも!だって皆私と同じ天才だもん!きっとそうだよ!レベル高いはず!!」

そしてテルはまず周りの事は今はどうしようもないため、自分と同じく所属するメンバーの技術的お悩みを聞こうと方針を固めた!

・・・・・・
テルはお気に入りのピンクの衣装を来て自身のオーラら気配を消す杖を持ち、自分が開発したオーラを体中に纏いながらさっそく皆の居る園へ向かったのだった。

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2022年10月09日

No.53 シオの日記

〇月〇日

今日は約500名の機械族が生まれた、その中でずっと気にかけてた子がやっと目を覚ました。
その子はとても可愛らしく、とても才能に溢れていたわ。

その子には【エテル】と名前をつけようと思う、そして私がしっかり面倒を見て、一人前の【機巧神域】の構成員として育てようと思う。


〇月▽日

エテルは笑わない、感情はないわけではないのだけど、全然笑わない、
でもただ笑わないだけじゃなくて、怒りもしないし、嫌な顔もしない、ただ無表情に受け答えをしていた、

個性は生まれてるはずだから、ほかの機械族と違ってちゃんと感情を理解できるはずなんだけど・・・
でも時間はいっぱいあるし、私がしっかり色んな事を経験させてあげたいと思う。

〇月◇日

色々私が面白かったネタをエテルに披露してみた。
だけどエテルはただ「どうしたの?」と心配されてしまった。

エテルにはまだ【娯楽】がわからないみたい、私が生まれた頃はどうだっただろうと考えながら
エテルの事を考えては居るんだけど、やっぱり難しい、それより気になったのが、精神的なものの成長が早い気がする。

笑わないとか、怒らないのはまだいいとしても、寂しいとかそんな感情もどこか乏しい気がする。

危機感を与えるために驚かせようとしたけど、それも無反応、もしかして、感情関係に欠陥があったのかな?

今度メンテナンスルームに連れて行って状態を見てみようと思う。

〇月×日

メンテナンスルームでカトラナがエテルに対して強い苦手意識を感じてしまったらしい、
私も正直恐怖心を感じた。

カトラナは私に【感情が乏しいということは情を持たないということ、つまり無自覚に無慈悲に愛情関係なく殺す事が出来るってことなんですよ・・・】とカトラナはエテルに近づく事に恐怖していた。

私はあまりにも強い力を持つエテルが【機巧神域】のメンバーと馴染めるように私がしっかりと教えていこうと思う。

×月〇日

私の前にミール様が現れた。

私は種子に選ばれたらしい・・・選ばれた以上、私の所属は第二の園、だから私は【機巧神域】の最高責任者を下りないといけない、そして無関係になった私はエテルに深い干渉をすることができない。

だけど、私が関われる所でしっかりエテルの面倒を見ていきたいと思う。

だけどカトラナが最高責任者になってから方針が変わり、エテルを【機巧神域】の幹部会議に呼ばなかったり、第八の園に居にくくさせるように誘導していた。

カトラナはエテルを園の平和を脅かす兵器を判断したのだ、許せない、同じ仲間なのに。

私がエテルを守らないと。

-----------日

私は忠告を受けた、接触しすぎだと、だけどエテルの居場所を奪い、あらゆる園を一人で転々と歩いているエテルの事を考えると・・・

するとミール様が私の前に現れた。カトラナの密告を受けて。
私は園に居てはいけないらしい・・・

----------

私はもう園にはいません。どこにいるかもわかりません。
私はただ心配なのです。あの子が・・・

私はただ・・・【機巧神域】を良くしたいだけで・・・
なんで私を種子に選んだの?なんで私の幸せを奪ったの?

もう私には何も残っていない・・・
次、私が園に戻るのはいつなのだろう・・・
そもそもどうやって戻れるのだろう・・・。




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2022年09月26日

No.50 勘違いされやすいルナ

ルナは勘違いされやすい。

【十三天の心】【紅 運命の究極系】

魔族であり、種族は【魔神の始祖(ワルプルギス)】と呼ばれる、魔族全種族の原点となる存在である。

普段の身のこなしは優雅であり、何処かミステリアスな雰囲気を出しているため、ルナという存在は周りから勘違いされやすい。


ルナは凄く平和主義者である。

常に周りに気を使い、主であるパトに関しては何か起こってもすぐに対応出来るように常に気を使っている。

優しく、誰かが困っていれば対価は頂くが、それでも無理な対価を求めずに助ける事が多い。

誰かの相談を聞き、真剣に答えてくれたり、可愛いと言われたら心の底から喜び、
美しいと言われたら、顔を赤らめる、そんな子である。


だが!!!周りの印象は全く違う

常に監視し、相手の弱みを握り、そこから契約や対価を求め、自身のしもべにしようとしている。

自分には甘く、だがどこまでも冷徹で、相手をただの餌としか見ていない。

微笑めば悪事を喜び、褒めの言葉は当たり前、むしろないのは無礼に値し、消すことも視野に入れる魔族の災厄


のように見られている。

かく言うパトも最初はルナに対し、結構厳しい態度と取って来た、だがルナを知ることで、イメージとは違い、凄く優しく、気を使える子なんだと理解する。

今となってはパトはネルやシンに続いてルナもよく呼びだすようになった。

・・・・・・
ルナ「今回はどのようなご用件でしょうか?主様?」

パト「おや、とくにないかな、とりあえず紅茶出すからゆっくりしていってよ」

パトはプライベートの時間に自室でルナを召喚していた、そこにはメルリアが紅茶の準備をしていた。

ルナ「今回は主様自らの部屋に招待されるなんて、光栄ですね」

パト「そうか?でもルナもここなら気楽に居られるだろう?俺もそうだし」

ルナ「私はそんなつもりはないのですけどね・・・」

・・・・・・
ルナがテルとすれ違った時の話。

ルナ「ごきげんよう、今日も元気そうですね、テル」

テル「ル、ルナ!うん!今日も元気だよ~~、いや元気だと生気吸われるかな・・・普通だよ!!」

ルナ「生気吸う事は出来ますが、そんな事は致しませんよ?」汗

テル「うん!そうだよね!ごめんね!機嫌悪くしたなら謝るよ!」

ルナ「いえ、別にそんな」

テル「そうだ!用事があるんだった!それじゃあね!!」スタタタタタタ

テルはルナの前から速足で去ってしまった。

ルナ(ただ、挨拶して世間話をしたかっただけなのですが・・・)

ルナはあまりにも怪しげな雰囲気を出し過ぎているため、仲間内でも馴染めていない。

・・・・・・
ルナ「このキャップも傘も明るさ防止なのですけどね・・・私、光が苦手なので・・・」

ルナは常に片手は傘をさしている、それは室内でも同じである。

パト「悪い!気が利かなかったね!メルリア!常夜灯に変えて!」

メルリア「畏まりました、では机にキャンドルをお付けしますので、少々お待ちを」

メルリアはそう言いながら、手際に良い動作でキャンドルを用意し、火を灯す、そして部屋の電気を常夜灯に変え、雰囲気を出す。

パト「これでどう?もう大丈夫だよね?」

ルナ「ありがとうございます、別に光で肌が焼ける事はないのですが・・・どうも苦手で」

パト「まあ、苦手なら仕方ないよ、気にしないで、ルナ」

ルナ「ああ、主様・・・こうやって私の気持ちを理解してくださるのは本当に心から感謝の意を」

パト「堅っ苦しいのはいいよ、ほら、一緒に楽しもう、メルリアも、席座ったらリラックスしよ」

パトは準備をしていたメルリアを呼び、三人で紅茶を楽しむ。

・・・・・・
ルナ「美味しいですね、メルリア、素晴らしい腕を持っていますね」

メルリア「恐縮です、御気に入って貰えて光栄です。」

パト「凄い上品だな~~」

パトは紅茶に見せかけた緑茶を飲みながら二人の上品な会話を聞きながら悦に入る。

そんな時間を過ごしていると、パト本人の話題になった。

・・・・・・
ルナ「最初は何を言っても【何を企んでいるんだ?】と疑われたり、【信用したわけじゃない】【仲間とは思っていない】など色々言われました、その言葉で何度涙を流したか・・・」

メルリア「お辛いですね、旦那様にそんな事言われたら私でも泣いてしまいます・・・」

ルナは話しながら思い出し、涙ぐんでいた。

パト「ルナ、悪かったって、俺もずっと警戒してて、でも今は違う、しっかりルナを信用しているし、むしろ騙されてもいいかなっとまで思って居る。だからもう泣かないでくれ」

ルナ「そうですね、主様の慈悲にこうやって甘えれるのですから、もう昔の事を想いだすのは無礼ですね」

メルリア「そうですね、今はルナ様の事を大切にお考えています」

ルナ「はい、その気持ちが伝わるだけで・・・」

・・・・・・

話しは盛り上がり、ルナも手見上げのお菓子を貰い、帝園に戻る。

ルナ「今日は凄く楽しかったです、また何かご要望がありましたら御呼びくださいね」

パト「ああ、また何か面白そうな事があったら頼むよ、その時は頼むな、ルナ」

ルナは帝園にある自室に戻る。

・・・・・・

ルナ「ふう、今日も本当に素敵でした・・・」

ルナはうっとりとした顔で今日の出来事を思い出す、それだけで気持ちが昂るのがわかった。

ルナ「私の気持ちを受け止めてくれる主様、凄く愛を感じますね、もっとこの愛を育んていけば、きっと私を選んでくれる・・・ふふふ」

ルナは自室の椅子に座り、自分の虜になっていくパトの将来を考えながら不敵な笑みを浮かべる・・・





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2022年09月23日

No.46 フラとノラの喧嘩

【十三天の心(ヘブンズハート】【橙・理想の究極系】フラ

種族は白エルフ族

マイペースで、のほほんとしている女の子、普段は同メンバーであるノラにその態度に対してガミガミと注意されており、フラとしても嫌気がさしていた。

フラ「みんな自由にやってるのに、私だけいつもノラに怒られる、理不尽だよ」

フラはそう考え、自分の行動を肯定してくれそうなパトの元に向かう。

・・・・・・
パト「すっごく珍しい子が出てきたな~今日は」

フラ「主様、私別に不満ないよね?」

パト「不満?いや、心当たりないけど」

フラ「やっぱりそうだよね、やっぱりそうなんだよ」

フラはそう言いながら玉座にくつろぐ

パト「え、本当何しに来たの?」

フラ「ノラがうるさいからこっちに居るの、いつも私ばかりに注意してきて酷いと思わない?絶対私の 事が嫌いなんだよ、あれ」

フラは文句を言いながらノラに対しての愚痴をこぼす

パト「まあまあ、嫌いならわざわざそこまで面倒も見ないわけだしさ」

フラ「でも目が合うたびにだよ!悪気はなくてもこっちが疲れるよ~、普段の生活まで指摘されるのは違うと思うんだよね~」

パト「ま、まあ、そこは否定しないけど・・・」

パトはフラのノラに対する愚痴に対してどう対処したらいいのか、わからなかった。

パト(多分フラの話に合わせてあげればフラは満足するんだけど、それでノラを貶すのもなにか違うんだよなぁ、ノラは凄く真面目で良い子だからあの子なりの考え方ってものがあると思うし、それに基本的に緩い【十三天の心】のメンバーで唯一堅実な子だからな、難しいなぁ~)

そう考えていると月花が脳内でアドバイスをくれる

月花(パト、こういうのはただ聞いてあげればいいのよ、女の子は話を聞いてくれるだけでいいの、なんならアドバイスとか助言とか求めてないの、聞いてもらえるだけでいいのよ)

パト(流石、コミュ力お化け、神聖女学院でモテモテだっただけの事はあるね!)

月花(前提として、特定の誰かを擁護する代わりに誰かを貶す事、これをすると貶した事が人に回って、貶した自分の評価が下がる、【この人は告げ口しない】と思って居ると簡単に裏切るのが人間だからね、そういう意味ではパトの考えは正解、ノラちゃんの事は何も言わず、話だけを聞いてあげなさい)

パト(心強い!なら俺でも出来そうだ!)

フラ「正直、主様はノラの事どう思ってるの?」

パト(はい!聞き専作戦速攻で破綻!!どうすんの!褒めたらいいの?!でもそれだとフラが不貞腐れない?)

月花(可もなく不可もない事言っておくのが無難だけど、ここは私の言う通りに言いなさい!)

パト(任せたよ!いや!本当頼むよ!!主の今後の信頼性に関わる問題だからね!!?)

パト「ノラは確かに厳しい所もあるね、でもその分誰よりも自分に厳しいし、そんなノラだから俺は信頼を寄せてるよ、もちろんフラだって信頼してるし」

フラ「いや、そんな綺麗事はいいから」

パト(冷めてる!この子前々から思ってたけどマイペースと共にかなり冷めてる所がある!怖いよ!!)

月花(冷静になって!私の言葉に続いて!)

パト「綺麗事じゃないさ、肯定ばかりじゃない、だけどそれは別に相手の個性だから否定する理由にもならないかなって、フラだって自分の個性を否定されたら嫌でしょ?まさに今ノラに言われてるみたいに」

フラ「うん、それはそうだけど・・・」

パト「でも気持ちはわかるよ、直して欲しいって思うよね、そういう関係って凄く難しいと思うんだよね」

フラ「そうなんだよね、私としてはただ自由にさせてほしいだけで・・・」

パト(よっし!話が逸れた!流石月花!これで聞き専作戦に戻れる!)

パトはとりあえず膝の上にフラを乗せて、話を聞く、この【膝に乗せる】というのは色々と効果が高い

フラ「う~ん、なんでこの場所ってこんなに落ち着くんだろう」

パト「主の上だからじゃない?とりあえずこの状態で話しなよ」

従属から主に甘えるのは中々難しい、(専属神は別)
なので、パトから【甘えてもいいよ】という感じで膝の上に乗せてあげることで、従属としては一番心休まる場所となる(例外はあり)

パト(よし、このまま聞いてあげて満足すればこの回答しずらい話題からもおさらばだ!)

するとその場にノラが現れる

・・・・・・
ノラ「居た、フラ!主様が呼んでも居ないの勝手に現実世界に出てくるんじゃない!早く戻りなさい!」

パト(ああ、せっかく穏便に済みそうだったのに・・・なんでこのタイミングでノラが・・・)

フラ「ちゃんと主様に呼ばれたもん!ねえ!主様!!」

パト(振るな!俺にそんな話を振るな!!ハイって答えたらノラが不貞腐れるだろ!!それに状況が読めない以上俺の簡単な嘘がバレてノラからの信頼を失うかもしれない!!それだけは避けないと!!どう答えればいいんだ!!助けて!月花!!)

月花(・・・雪見大福・・・食べたい)

パト(おいーーー!!あからさまに逃げんなーー!!俺の頭脳なんだろ!一緒に考えてよーー!!)

月花(いやよ!私だってこの展開嫌なのよ!もう黙ってるしかないわ!)

ノラ「そうなのですか?主様?」

ノラはパトの方を見る

パト(俺に答えを求めるな!ノラ!もし勝手にフラがこっちに来てる所まで把握しててこの質問してきたなら俺でも怒る!尋問したな!って怒るからな!!)

ソルテ「ノラ、フラを呼んだ呼んでないの有無はともかく、貴女も無許可で現実世界に出ているので、騒がしくするなら帝園の方で話して頂けますか?こちらは帝国、玉座です。侍女達も居る中主様にこれ以上精神的ご負担をおかけするのはおやめください」

ソルテがノラに対して威圧的な態度を取る

ノラ「それは誠に申し訳ない、許可なく現実世界に出てきた罰は主様に後にフラと共に受ける所存です」

パト(恐いよ!別に罰なんて与えないよ!!というかソルテナイス!俺が言えない事を言ってくれる!」

ソルテ(コミュ障のパトさんにここまでの修羅場はキツイわよね)

ノラ「とりあえずフラ、呼ばれていないのなら帰るんだ!」

フラ「呼ばれてないけど・・・でも今はこうやって求めてくれてるよ!!」

フラはパトの膝の上に座っていた・・・

パト(・・・オワタ・・・)

言い逃れ出来ない、話しの展開次第ではパトにも火の粉が飛び、発火するだろう・・・

ノラ「では一度戻り、再度主様に呼ばれなさい、なら文句は言いません」

フラ「なんで?今求められてるのにそんな面倒な事しなくていいじゃん!フラは頭堅すぎ!!」

ノラとフラは睨み合っていた。

パト「喧嘩はよせ、とりあえず主命令として、今この場で二人を呼んだ事とする、だからとりあえず落ち着こう、な?」

パトにそう言われ、【命令ならば】と従うノラ、そして顔をプクーっと膨らませながら不貞腐れるフラ、とりあえずこの場の言い合いは収まった。

・・・・・・

パト(気まずい、フラも流石に本人の前では愚痴は言えないわけだし、俺もとりあえず頭を撫でてはいるけど・・・どうするか・・・)

パト「ソルテ、今日は予定が入っていたよな?」

ソルテはパトの顔を見る。

パト(何でもいいから予定を入れて!!)

パトの表情から(ああ、この空気から逃げたいんだな)っと察したソルテ。

ソルテ「はい、本日は政治部隊の視察があります、不正をしていないかの勤務態度を見ます」

パト「そうだったな、なら準備をして行こうか、少し早いが予定通りに行くとその場だけしっかりしている可能性があるからな」

ソルテ「畏まりました、では今から移動を開始しますので、移動の準備をお願いします」

ソルテはパトに頭を下げ、移動の準備を行うためその場を離れる。

パト「月花、何か問題がありそうならすぐに俺に指摘を、メルリア、手入れをお願いしてもいい?」

月花「わかったわ、任せてちょうだい」

メルリア「畏まりましたアナタ、では失礼しますね」

パト「フラ、悪いけど今から仕事だから帝園に戻ってくれるかな?」

フラ「うん・・・また来るよ?」

パト「ああ、その時はまた膝を空けとくよ、またおいで」

フラ「うん!」

フラはパトの膝から下り、ノラの元に行く

フラ「ほら、帰ろう、」

ノラ「そうですね、ですが帰ったら話があります」

パトは二人の会話を見ながら、口出ししてしまいそうになるが、ノラもきっとフラを特別に感じているからここまでしているのだと考え、その気持ちを抑える。

パト(でもそうやって任せてたら壊れてしまうかもしれない・・・人間関係って難しいよな)

パトはそう考えながら、その場を後にする。
二人は今後もこんな関係が続くのだろうと考えながら・・・









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