2025年10月

2025年10月16日

No.185 美魅の挑戦【鬼下民】episode2

パトと美魅は準備をして帝園に入った。

パトが帝園に入るとそこには十三天の心 ノラが立っていた。

ノラ「主様、お待ちしておりました、第十一園ですね、では今すぐ案内します」

パト「話が早くて助かるよ」

美魅「・・・」パトの後ろに隠れる

パト達はノラに運ばれ第十一園の【鬼下民】達が過ごす部落で止まった。

ノラ「ここまでしていいか考えましたがいずれはこのような場所に辿り着く、そのため私が最も効率よくポイントを稼げる場所に案内しました」

パト(やだ!この子しごできだわ!(仕事が出来る人の略))

美魅「よし・・・やるで・・・」

ノラは二人を心配そうに見つめながら拠点に戻る。

パト「美魅、最初に作戦を聞かせてくれるか?」

美魅「作戦、まずは離れの民家を狙う、子供、老人を狙う、そして不意打ちや、正面でやりあって増援されたら返り討ちにあう可能性もあるからな」

パト「うん、悪くない、正面突破って言わない限りは了承するつもりだったから問題ないよ、好きにやってごらん」

パトはそう言い美魅の背中を押す。

パト(美魅に卑怯な手で勝ってほしくないって気持ちは当然ある、だけどこれは戦場であり、この園では合法、ならその手段を使わないなんてありえないだろう)

パトは卑劣な行為に対して目を瞑りながら美魅の行動を見守る。

・・・・・・
美魅はまず作戦通り一番遠い民家を狙う、気配探知はやめておく、美魅が探知するという事は相手も美魅の気配を探知する事が出来るからだ、隠密行動では表に何も出さない、これはもちろんパトから学んだ事だ。

美魅(この隠密でうちは何度も寝込みを襲われ、反応できずに首に刃を突きつけられた(もちろんおもちゃの)つまりそれだけ隠密行動スキルが高かったら実力差があっても戦わずして勝つ事が可能ってわけや、身をもって知った事や、油断はせえへん!)

まず美魅は民家の中に何処から侵入するかを調べる、物音一つ立てれば相手は勘付き逆に攻められる可能性もある、【鬼下民】はマシな所であればそれなりの家に住んでいるが、基本は木造の穴が空いたボロ屋、それはまだいい方で野宿をしていつ襲われてもおかしくない状況で睡眠をとる鬼も存在する、美魅もその一歩手前まで来ていたため、第十一園の治安の悪さは理解していた。

美魅(よし、やっぱりこのボロ屋、玄関の鍵が窓の施錠と同じ、外からはどうやっても施錠出来ない欠陥品、ほんでこんだけボロやとそもそも玄関のドアごと取れるもんや)

美魅はドアを持ちあげる、そして少しずつ揺らしながら鍵部分を解錠する、少しずつ動く、錆びているため戻る事なく徐々に解錠されていき、何度か美魅が揺らす事で完全鍵を開ける事に成功した。

そして美魅は民家に潜る、床の木が軋むため、壁側により、脚を上げずにすり足で進む、勿論、足を動かし体重をかける前に軽く確認する、そうして各部屋を探る。

すると寝室らしき部屋を見つける。
現在深夜、部屋に電気なんてものはなく、ロウソクで灯す手段しかない、そのため部屋の電気が暗く、そして玄関で戸締りをしていた段階で家の中に鬼が居る事は確実だった。

美魅(よし、このまま睡眠薬を吸わせて首をナイフで切れば完璧や)

美魅は今回のために帝国の技術開発局から気体の睡眠効果がある薬を無断で盗んでいた。

美魅(おった、あれは・・・老婆と子供か)

美魅はターゲットを確認すると作戦通りに睡眠薬を二人の口元に近づける、そして数分待ち、効果が出ている頃合いを見計らって二人の首をナイフで切る、それは派手さはなくただ無音のまま殺害が実行された。

・・・・・・
パトは美魅が動いてから1時間ほど身を潜めて待っていた。

パト(さて、上手く出来てるのかな美魅は、大騒ぎになってない所を見るにバレてはないみたいだ、でもあの美魅が隠密を選ぶとはね、でも勝つなら間違いない選択だ、美魅はまだ子供、真鬼縛解(しんきばっかい)で力を解放すれば一時的に戦えるかもしれない、だけどそれは短期決戦限定、集団相手にまったく向いていない、だからこそ子供状態でも戦える方法を身に着ける必要があった、子供の美魅はなんとて非力だ、以前まで持っていた大剣なんて絶対に持てない、今持ってる刀は軽量化してあるから持つ事は出来るけど重さが無い分持ち主の力が必要になる。美魅は非力故に軽量の刀を持ってるだけ、となると・・・勝負向けではなく自衛向けの武器という事だ・・・)

パトは考えていた、美魅を1年間面倒を見て、どう戦える状態にするか、それを考えて来たからだ。
1年経ったと言っても美魅は11歳の女の子、それは鬼族であっても変わらない、そこの認識をまず持たないと美魅は何も出来ないのだ。

そうこう考えている内に遠くから美魅が歩いてきた。

美魅「帰ってきたで」

パト「お疲れ様、どう?上手く行ったか?」

美魅「ああ、とりあえずは4つの民家を狙ったわ、どれも上手くいった、殆どが一人暮らしやったんやけど、一つだけ二人暮らしやったんや、おかげで今は5ポイント、残り95ポイント、先が長いで・・・」

パト「そうか、夜が明けるまでがタイムリミットだ、陽が上がる前だと散歩する鬼が居てもおかしくない、農家だったら尚更朝は早い、そこも踏まえてしっかり動くんだぞ、朝を迎えればすぐに襲撃の情報は村人に入る、明日もここを狙うとなれば難易度はかなり跳ね上がるぞ、既に5人の犠牲者を作ってるんだからな、後村のコミュニティは狭い、すぐに情報なんか回る、油断するな」

美魅「わかったで、今日が一番楽やからしっかりやれってことやな」

美魅はそう言うと闇の中に消えていった。

パト「本当言うなら正々堂々力比べをしてポイントを貯めろ!じゃないと修行にならないだろ!って言いたいんだけど・・・100人切りをって言われたらどうしても効率を考えるなぁ、それに美魅の弱点も考えると・・・とてもじゃないけど指示出来ないや」

パトは陽が出るころまで待った。

・・・・・・
美魅は襲撃に何度も成功していた、美魅は自分の弱点をしっかり把握出来ているため、力技を選ばない、少なくとも子供の姿では絶対に。

美魅(うちは非力や、勿論この刀もうちの非力じゃ一刀両断なんて技は無理や、せいぜい出来るのはこの刀の切れ味を生かしてゆっくりと刃を入れることだけ、でもそれを理解してるならそれでええ、しっかりやれることをやるんや)

結果的に11名の殺害に成功した美魅。

・・・・・・
パト「よし、とりあえずこの村から距離をおくぞ」

美魅「そうやな」

パトと美魅は当てもなく村を離れる、そして山の中で身体を休める。

パト「一応ここを拠点に出来たらと思って穴を掘っておいたよ、残り89人、まだまだ先は長いな」

美魅「せやな、しかもここから奇襲の件が行き渡る、警戒が強まるってわけやな」

二人は一晩を過ごす、その間美魅は休み、パトは村の方に出向き情報を集めていた。

・・・・・・
パト「うん、しっかり情報が回ってた、それで今日緊急で役員達が集まって策を練っていたみたいだ、内容までは聞けなかったけど相当警戒してないといけないぞ美魅」

美魅「ならここからは隠れてもダメって事やな、ここで力を解放して戦うしか」

美魅がそう話しているとパトがその言葉を遮る。

パト「それはまだ早い、むしろ今一番警戒されている、ならそれを利用しない手はない」

美魅「どうするんや?」

パト「今日は何もしない、だけど言葉通り何もしないわけじゃない、そうだな、遠くから民家に爆竹を投げて音を出してもいい、まずは相手の警戒を強めて疲弊させよう、投げる距離も離れてる方がいい、だから銃のようなデザインがいいだろうな」

パトはそう考えると召喚でネスを呼ぶ

ネスは第十園 妖怪族でネス工房という独自の工房で生計を立てているパトの従属。

ネス「うっす、えっと、なんのようっすか?」

パト「ネス、着弾時すっごい音がなる銃弾、それとそれなりに距離がでる銃を作ってくれないか?」

ネス「えっとなら見積もりと製作期間を」

パト「悪いけど製作時間は明日の夜までだ、それ以上は待ちたくない、後見積もりは後日にしてくれないか?俺はいつもネスが求める金額をしっかり払ってるだろう?信頼してくれないか?」

ネスは考える。

ネス「いいっすよ、ほかの従属なら逃げられるかもっすけど、主は逃げられないっすからね、あと明日までなら全然余裕っす、銃弾は何発必要なんすか?明日までなら1000弾くらいなら余裕っすけど」

パト「流石だな、だけどそんなに持てないから100弾でいいよ、ありがとうな、ネス」

パトはネスの頭を撫でる、ネスをはわわわ~っと慌てながらもパトの手を受け入れる
それを横から見ていた美魅は少し不貞腐れるが今自分に出来る事を考え、パトがそれに対して最大限のバックアップをしてくれている事を考えると我儘は言えないと考えていた。

・・・・・・
一日が経った。

パトはネスを呼ぶために基地で待機していた。
美魅は村に偵察に向っていた。

美魅「自警団みたいな連中がおるな、やけど気配的にどいつもこいつも大した事なさそうやな」

パト「油断するな、相手も鬼、美魅と同じ真鬼縛解を持ってる、あれは最も力が出やすい肉体に変化して戦う鬼族特融のスキルだろ、それは間違いなく相手も持ってるんだ、使われたら美魅だって苦戦するかもしれないぞ」

美魅「知っとるわ、うっさいな、ほんでネスは来たんか?」

パト「今から呼ぶところだ」

パトはネスを呼ぶ、するとネスの手には銃と銃弾100発分を手に持っていた。

ネス「やっと呼ばれたッス!いつ呼ばれるかヒヤヒヤしてたっすからずっと両手に持って待機してたっす!」

パト「あ、そうなの、悪いね、でもありがとう、料金はまた見積もりしてくれたらその金額渡すから」

ネス「暇だったんでしっかり見積もり作って来たっす!」っす!

ネスは笑顔で見積書をパトに渡す。
パトはそれを確認し、了承し、金額をネスに渡す。

ネス「まいどっす~~♪」

パト「ちなみにネス、素材の原価はいくらだ?」

ネス「え?あ、その・・・忘れたッス・・・」ささ

パト「またどんぶり勘定で査定したなーー!お前それ出来ないとずっと赤字経営だぞ!!」

ネス「すんませんっすーーー!!」

ネスがパトにつかまり、じたばた暴れる、そしてパトはネスに追加の金額を手に持たせネス工房に戻す

パト「いいかネス、多分本来ならこれくらいの金額にはなるはずだ、持っとけ!あと帰ったらすぐに原価を確認!いいね!」

ネス「うっす・・・ありがとうっす・・・」すぅ~~

ネスは消えた、そして準備が整い、パトは美魅にその銃弾一式を手渡す。

パト「撃つのは美魅だ、それに殺傷性はない、凄い音が出るだけだ、1日10発、それをあらゆる方向から撃つ、そして相手の警戒心を高め疲れさせる。ずっと警戒してたら精神がやられるからな」ドヤ

美魅「これどうやって使うんや?」

パト「弾を充填してここをセットして、引き金を引く、それだけだ、出来れば民家にぶつけて鳴らすのが一番だな、その方が村の中で何かが起こったって思ってくれる」

美魅「やったるわ・・・」

そして二人は夜を待つ。

・・・・・・
夜

美魅は銃を構える。

美魅「撃つで・・・」

美魅は構える、ターゲットは暗い中でうっすら灯る民家の光、それを狙い定め撃つ!

バン!!!

弾は美魅の想定の弾道を外し、民家から離れた所に着弾し、けたたましい音が鳴り響く

パ―――――――――――――ン!!!!

村が大騒ぎになったのを確認した。

美魅「なんやこれ!大分ズレたで!!」

パト「そりゃそうだ、距離があるってことはその間の空気抵抗、風の向きだってある、それらを考えないと弾道なんて変わる、そもそもこんな距離素人がどうこうするなんて無謀なんだよ、それより移動するぞ、次は別の方向から撃つ、それをそうだな5日間はやる」

美魅「ちまちましとんな・・・」

パト「俺はここでのポイント稼ぎ、美魅は子供のままクリアしてほしいんだ、子供の美魅は戦う事が出来ない弱い存在だ、ならどこで補うか、それかこういう策で地道に狙う、これだって勝利しやすくするための手段、手を抜いていいものじゃないわかるか?」

パトは美魅に教育をしながら野山を走り次のポイントに向かう。

パト「ここだ、美魅ここで撃て」

美魅「はぁ・・・はぁ・・・待てや、今息が上がってそれどころじゃないんや・・・」

パト「これも鍛錬だ、自然の野山を走るのは疲れるだろう、地面が整ってないし暗いし、障害物多いし、速度を出せば出す程障害物という情報が早く美魅を襲う、それは戦闘でも同じだ、自分が早く動けばそれだけ早い判断能力を必要とする、美魅はスピードタイプで強くなるなら判断力を高める必要があるんだ」

美魅はパトの言葉に耳を貸しながら呼吸を整え銃を構える、そして発砲、民家に命中する事なく近くの木に命中、そして再度けたたましい音が鳴り響く!!

・・・・・・
この作戦を5日間続けた、昼は帝国に戻り、夜は発砲する。

それを続けた結果成果が出始めた。

美魅「ええ感じやな、全然覇気がないで、あいつら」

パト「かなり疲弊しているんだろう、ここはあまり裕福な村じゃないしな、食料だってまともに手に入ってないんだろう、どの鬼の女性も皆細い、狩られる側の鬼だからこそって感じだ、美魅、自警団を闇討ちで狙え、後ろからだ、2人ずつくらい削れ、大体8人だからな、徐々に削って自警団を消滅させればそのまま真鬼縛解で打ち落としていい、実力者はその時には不在だろうからな」

帝園のルールで帝園内で死んだ場合、1週間後に蘇る、そのため自警団を狙うと決めた以上1週間以内に決着をつけないといけない。

美魅「わかったで、なら行ってくるわ」

・・・・・・

美魅は上手く気配を消し、疲弊しきっていた自警団を狙う、そして自警団の二人が美魅が隠れている民家の横を過ぎる瞬間、美魅はそのタイミングを逃す事ないく一人の首を切る!

自警団A「うが?!」ぶしゃああああ
自警団B「誰?!どこにいるの?!」

自警団BはAの様子を見てすぐに警戒を強めた、そして大きな声で威嚇するがその時には美魅は姿をくらませ、背後から自警団Bの首を切る、そして二人共地面に伏し、息絶える。

美魅(あかんな、いまの大声で集まってくるかもしれん、となると作戦とは違うけどここで狩れるだけ狩っておく方がええか・・・)

美魅はその場で身を潜める、すると先ほどの声を聴きつけて二人組の自警団CとDが現れAとBの惨状を見て唖然とする、だが偶然二人は同じ体勢、同じ同線に居たため美魅はチャンスと二人同時に首を切る!

自警団C「うがぁ?!」
自警団D「おのれーーー!!!」

自警団Dがもたつく足を何とか動かし美魅に反撃を仕掛ける、だが美魅は距離を取り、瞬時に懐に入ると自警団Dの首を再度切りつける、そこから出血多量で倒れる。

15ポイント。

美魅「さて、戻るか・・・」

・・・・・・
次の日

パト「自警団の人数は増えてないな、美魅が昨日二人多く倒したから今日は4人行動だ、多分離れる事はないだろうな、ということではい、銃!」

美魅「行ってくるわ」

美魅は村に降りると4人行動をしている自警団を見つける、すると美魅は少し離れた民家に向って銃を撃つ、するとけたたましい音が鳴り響く、美魅も初めて近くで発砲したためその音のデカさに驚く。

自警団4人は慌てて音がなった場所を確認する、もちろん4人居たとしても一人は確実に3人よりも後ろに立つ事になる、美魅はそこを狙う。

自警団E「うぎゃああああああ!!!」

残りの自警団が振り向くと首を切られ、血をまき散らしながらのたうち回る仲間の姿があった。

自警団F「警戒して!!」

美魅「もう遅いで」

美魅は少し離れた場所から再度一発、だが今度はそれを自警団に撃つ」

自警団F「うが?!」

殺傷性はなくともそれなりの勢いで飛んできたものが当たれば激痛だ。
そしてその弾の本来の性能は音。

パ――――――――――――――――ン!!!!!!!

自警団達「ぎゃあああああああああああああ!!!」

3人が耳を抑える、だが美魅をそこを狙う、

1人・・・2人・・・・3人!!!!!

混乱の中美魅は3人の首を切る事に成功した!

そして地面で暴れる3人の首を再度刺し、その場を離れた。


19ポイント

・・・・・・
美魅「これで自警団はおらんなったな」

パト「ああ、だけど次の行動はどうなるか、わかるか?」

美魅「わかるで、集団行動やろ、身を寄せ合って身を守る、やからうちが真鬼縛解して一気に畳みかけるって話やろ」

パト「そうだ、集団の守り状態に居たらまともに相手は戦えない、だけどこっちは狙い放題、もうこっちが有利なのは変わりない、無慈悲に全滅させてこい!」

美魅はパトに言われるまま次の日の夜、鬼達が集まる集会所を襲撃する。


・・・・・・

39ポイント

美魅「これで全部やな・・・」

むせかえるほどの血の臭い、美魅の一撃が多くの村人の頭や胴を飛ばした。

美魅(これでもたったの39ポイント、ほんまに誰も住んでないんやな)

美魅は帰る、パトの元へ。



No.184 美魅の挑戦【鬼下民】episode1 ※設定説明あり

美魅はパトと出会った1年で強くなった。

ネルとの約束で帝国でもパト以外誰も美魅に特訓の面倒を見なかった。
パトがずっと美魅の鍛錬をしていた。

結果的にパト達が出場した第五回WCBT、その次の年に開催された第六回WCBTにてベスト16という
輝かしい結果を残した。

だがこの結果に美魅は納得しておらず負けた事でパトに無理を言って訓練を続けていた。

・・・・・・

美魅は悩んでいた、【もう挑んでみてもいいのかしれない】と。

元々美魅は帝園 第十一園の従属であり、階級は一番下の【鬼下民】

もっとも弱く、そして一番多く所属する落ちこぼれの地位でもある。

地位の決め方にはルールがあり、
鬼下民の階級達は誰かを殺す事で1ポイントが入り、逆に殺されれば1ポイントを失う。

100ポイント溜める事で一つ上の階級【鬼中民】への挑戦権を得られる。
【鬼中民】であれば誰にでも挑戦しても良く、勝てば昇級、負ければ100ポイントを失う、再度0ポイントから集める必要がある。

【鬼下民】側が勝てば挑んだ【鬼中民】と階級を入れ替わる。
そこからはピラミッド式に限られた席を奪い合い、時には死守をする。
鬼族達は己の階級を最も大事にしており、そして最も戦いを好む戦闘種族。

露草美魅は生まれてから誰にも勝つ事が出来ずにいた、それどころか負け続け与えられていた領土も奪われ、畳1枚分の領地しか存在しなかった程の崖っぷちに居た10歳の少女だった。

あれから一年、師を得て技を磨き、戦術を得て力を手に入れた。
美魅は今再度下克上を起こすべく挑戦を始めようとしていた。

・・・・・・
美魅「主、うち帝園に一度戻りたいんや・・・一緒にきてくれんか?」

パト「いきなりどうしたんだ?何か忘れ物でもしたか?」

美魅「馬鹿か、うちは何ももってへん、やからある奴らから奪いたい、つまりは挑戦したいんや」

パトは美魅の言葉を聞き、とうとう戦いの場に身を投じるのかと考える。

パト「わかった、なら一緒に行こう、俺の他に同行者は居るか?」

美魅「いらへん、あと手出しも無用や、別に死んでも生き返る、ちゃんとそういう仕組みや、うちが危ないからって庇うんやないで、これは正々堂々の殺し合いや、そこに鬼族でもない部外者が介入したとなったら末代までの恥や」

パト「そうか、わかった、ならサポーター兼コーチとして美魅を見守ってる、それで昇級までに何が必要なんだ?」

美魅「手っ取り早く言うとやな、100人【鬼下民】を殺せばええ、格上の連中殺しても同じ1点やからな、無差別に戦いを挑んでたらいつまで経っても昇級なんて夢のまた夢や、やからまずはしっかりと格下、もしくは同程度の奴らを殺す」

パト「うん、冷静だ、その判断は間違ってない、偉いぞ美魅」

パトは美魅の頭を撫でる。
美魅は少し顔を赤くしながらパトの手を受け入れる、だが目線は右へ逸らし少し居心地悪そうにパトが頭を撫で終わるのを待つ。

パト(最初に会った頃の美魅なら片っ端から戦う、相手を選ぶなんてそんな卑怯な真似は出来へん!!とか言ってただろうな、ちゃんと学んだんだな)

美魅「とりあえずいつまでも【鬼下民】じゃ恰好がつかん、いずれは最上位の階級になるんや!」

パト「そう言えば階級ってどれだけあるんだっけ?」

美魅「全部で13階級や・・・


【鬼下民】→【鬼中民】→【鬼上民】→【鬼女爵】→【鬼子爵】→【鬼伯爵】→【鬼侯爵】→【鬼公爵】→【鬼大公】→【鬼王】→【鬼親王】→【鬼皇帝】→【鬼天皇】

【鬼下民】所属数は無制限
【鬼中民】所属数は16384名
【鬼上民】所属数は8192名
【鬼女爵】所属数は4096名
【鬼子爵】所属数は2048名
【鬼伯爵】所属数は1024名
【鬼侯爵】所属数は512名
【鬼公爵】所属数は256名
【鬼大公】所属数は128名
【鬼王】所属数は64名
【鬼親王】所属数は32名
【鬼皇帝】所属数は16名
【鬼天皇】所属数は13名

昇降級条件
【鬼下民】⇔【鬼中民】
1殺害1ポイント(合計100ポイント)で【鬼中民】挑戦権獲得
相手は誰でも可、【鬼下民】が勝利した場合、昇格
【鬼下民】に負けた【鬼中民】は降格
【鬼下民】に勝った【鬼中民】は残留、【鬼下民】はポイント全剥奪

【鬼中民】⇔【鬼上民】
ランキング制 年4回
【鬼中民】上位128名と【鬼上民】下位128名が決闘
【鬼中民】が勝てば昇格、【鬼上民】が勝てば残留。

【鬼上民】⇔【鬼女爵】
ランキング制 年4回
【鬼上民】上位128名と【鬼女爵】下位128名が決闘
【鬼上民】が勝てば昇格、【鬼女爵】が勝てば残留。

【鬼女爵】⇔【鬼子爵】
ランキング制 年4回
【鬼女爵】上位128名と【鬼子爵】下位128名が決闘
【鬼女爵】が勝てば昇格、【鬼子爵】が勝てば残留。

【鬼子爵】⇔【鬼伯爵】
ランキング制 年4回
【鬼子爵】上位128名と【鬼伯爵】下位128名が決闘
【鬼子爵】が勝てば昇格、【鬼伯爵】が勝てば残留。

【鬼伯爵】⇔【鬼侯爵】
ランキング制 年2回
【鬼伯爵】上位64名と【鬼侯爵】下位64名が決闘
【鬼伯爵】が勝てば昇格、【鬼侯爵】が勝てば残留。

【鬼侯爵】⇔【鬼公爵】
ランキング制 年2回
【鬼侯爵】上位32名と【鬼公爵】下位32名が決闘
【鬼侯爵】が勝てば昇格、【鬼公爵】が勝てば残留。

【鬼公爵】⇔【鬼大公】
ランキング制 年1回
【鬼公爵】上位16名と【鬼大公】下位16名が決闘
【鬼公爵】が勝てば昇格、【鬼大公】が勝てば残留。

【鬼大公】⇔【鬼王】
ランキング制 年1回
【鬼大公】上位8名と【鬼王】下位8名が決闘
【鬼大公】が勝てば昇格、【鬼王】が勝てば残留。

【鬼王】⇔【鬼親王】
ランキング制 2年に1回
【鬼王】上位4名と【鬼親王】下位4名が決闘
【鬼王】が勝てば昇格、【鬼親王】が勝てば残留。

【鬼親王】⇔【鬼皇帝】
ランキング制 2年に1回
【鬼親王】上位2名と【鬼皇帝】下位2名が決闘
【鬼親王】が勝てば昇格、【鬼皇帝】が勝てば残留。

【鬼皇帝】⇔【鬼天皇】
承諾制 (最高責任者と当事者2名の計3名の同意の元で行われる3ラウンド2先取決闘制)
【鬼皇帝】と【鬼天皇】が決闘
【鬼皇帝】が勝てば昇格、負ければ10年間の挑戦権を剥奪
【鬼天皇】が勝てば残留、負ければ10年間の挑戦権を剥奪

【鬼天皇】1位~13位内
承諾制 (最高責任者と御神体、当事者2名の計4名の同意の元で行われる3ラウンド2先取決闘制)

挑戦権は年に1回のみ、挑まれた側は消費なし、
挑戦者は勝ったら順位入替、負けたら挑戦してから1年間指示に従う(拒否権はなし)
応戦者は勝ったら順位残留、負けたら挑戦者順位を入替、1年間指示に従う(拒否権なし)

っていうのがルールやな」

パト「よし、メモッた、成程、現実世界で言うと将棋とかの昇格戦に似てる所があるな、とりあえず美魅が目指すところは【鬼中民】、100ポイント獲得のために100人の鬼族を殺害、結構大変そうだな」

パトは美魅に拳をつきだす。

パト「だけど決心したんだろう、なら全力だ、やるぞ!美魅!」

美魅「任せえ!!」

2025年10月10日

No.183 エテルの進化episodefinal

エテルが目を覚ますとそこにはパトが居た。

エテル(あれ、あれからあまり時間経ってないけど、どれくらい時間が経ったんだろう?それともただ朝を迎えただけ?)

エテルは脳内で考えるが答えは一瞬で出た。

月花「んん・・・」

その布団には何故か月花も居た。

エテル(主様と月花が寝てるって事は数日は経ってるのかな?何かやってたというより夜遅くなったからそのまま寝たみたいな感じかな)

エテルは狭いベッドから抜け出し、カーテンを開ける。

エテル(まだ夜、時間は深夜3時、えっと、デジタル時計に表示されてるカレンダーからするに・・・3日程経ってるね、やっぱり時間の進み方が全然違うんだね、帝園は)

エテルは寝静まった街と暗くなった街のおかげでよく見えるようになった星空を眺め終えるとカーテンを閉め、机の上に置かれている書類に目を通す。

エテル(見積書、成程、建設会社から見積書が届いたから見比べてたのか、あ、設計書もある、色々メモしてるね、一応主様と月花なりにメリットデメリットを考えてたんだね、確かにそれらをまとめないと他の皆に伝えられないからね、でもこれ、まとまるのかな?)

エテルが見ていた設計書はどれもよく出来ていた。
事実どの設計書もしっかりをメモが記載されており、パト達が凄く悩んでいるのが見て取れた。

エテル(とりあえず設計書、私も見ておこうかな、暇だし)

エテルは設計書を暗い部屋の中でただ見つめる、エテルは機械族のため暗くてもしっかり内容は把握出来る。

エテル(ミール様に勝った、だけど得体の知れない人に負けた、でも力は失ってない、という事はあのまま覚醒した状態で現実世界に出られたって事だね・・・でももう二度と帝園には戻れないな)

エテルは設計書を眺めているが先ほどまで行われていた戦闘を思い出す。
結果的にエテルは覚醒し、その力を得たまま現実世界に戻ることが出来た。

エテルは自分にどのような変化があったのか、冷静に考えていた。

まずシオから御神体であるホープ・ダイヤモンドのデバイスを受け取った。

そしてミールと対峙し、御神体が自分自身と一体化する感覚があった。

ミールの世界を殺し続け、そのエネルギーを吸収した事で莫大なエネルギー、パト流で言うならゲームの経験値のようなものが大量に入った、そして御神体と一体化した身体は進化した。

そう、私はただの従属ではなく、【世界王】として覚醒した、しかもネルとは違う、誰かからの恩恵で進化したわけではなく、独自の力のみで覚醒した。

エテル(世界王に進化したからどうなったってわけじゃない、さっきまで凄く感情が高ぶってたのに今はいつも通り、私自身が変わったとはいえ、私という人格が変わるわけじゃない、そういう事なんだね)

エテルはもう設計書を見ていなかった。

エテル(決めたんだ、私は主様のためだけにこの力を使うと、だから進化出来たのかもしれない、ただ目標もなく前を進もうとしてたら多分何も成し遂げられなかっただろうね、そうか、こうやって道を決める事が出来たのも私が成長した証なのかな)

エテルは思い出す、自分の故郷第八園から追い出され、ただ帝園という広大な大地を歩き続けた日々を、ただそれには目標はなく、ただ何も求める事なくただ景色が変わっていく風景を眺めながら歩いていた、その先にパトとの出会いがあった。

パトと出会った事がエテルにとって人生最大の分岐点だった。
スティアとの会話を聞いていたエテル、最初はただ気まぐれだった。

【暇だし、何かあればいいかな】

そんな気まぐれがパトという運命の相手を見つけた。

エテル(この2年、凄く楽しかった、私は愛されてるんだって自覚出来たし、疑いもしなかった。そんな愛情を与え続けてくれた、あれからも多くの従属と接点を持ったのに私をずっと傍においてくれた、こんな私を特別にしてくれた、従属なのに従属としてではなくまるで家族のように接してくれた、沢山の事を教えてくれたし、褒めてもくれたし、怒ってもくれた、私以上に私の事を考えてくれた。こんな幸せな事はない)

エテルの顔から笑みがこぼれる。
凄く充実した感覚、エテルはきっとパトの事が好きだ。

ただそれは異性としてではなく、家族愛、まるで自分の親に向ける愛情、替えの効かない存在

エテル(私に家族は居ない、だけどもし両親が居たとしたらお父さんは主様、それでお母さんはシオなのかな、二人から沢山の物を貰った、だから二人にために私の力を使いたい、使えたらいいな・・・)

そう考えるエテルの眼には光が宿っていた。
それはまるで機械族の表情ではなく、年相応の女の子の表情、幸せに満ち足りた笑顔。

エテルは間違いなく豊かな感情を手に入れた。
朧げに感じていた自分の感情が今ならよくわかる。

エテル(私、世界王に進化したなら自分の世界があるのかな、それなら一度世界に入ってみたいな、どんな世界なんだろう)

エテルは望んだ、自分の世界が一体どのような世界なのか、エテルは自分の世界に何を望んだのか、エテルという存在からどのような世界が生成されたのか、それが気になって仕方なかった。
だからエテルは自分の世界に入るために意識を鎮める。

・・・・・・
エテルは眼を開く、

風がある、陽が当たる、温かくて心地いい世界だ。

エテルの視界には広大な自然が広がっていた。

エテル「綺麗な世界・・・あれ、頭の中に名前が浮かぶ?」

【崩園(デストルエデン)】

エテル「崩園、名前からして物騒な世界だと思うけど・・・一体ここはどんな世界、・・・あ」

エテルは広大な自然の大地に一つ浮かび上がる球体を目にする。

エテル「なにこれ?」

エテルは不自然に浮かぶ球体に触れる。
何もわからないエテルの中に多くの情報が入ってくる。

【未練はないか、もしあるならその未練を崩壊させましょう】

エテルの脳内に入って来たのは今苦しんでいるパトの姿だった。

帝国で多くの過ち、挫折、後悔をして苦しむパトの姿。
それを見たエテルは心が苦しくなる、だけど自分ならこんな苦しい出来事をどうにか出来る。

そう確信した。

エテル「そっか、ここは私が納得できない未練を崩壊させる場所なんだね、それは悪い事も良い事も含め全部、それが私の世界なんだね」

エテルは歩く、そして次の球体を見つける

そこには神羅万象支配という才能を開花させたシオの姿が映し出された、そして無理矢理自分の居場所を奪われ、法を破り、孤独に苦しみ、ミールやパトを恨み、時にパトと対峙したがその結果エテルを救ってくれた恩人に対して酷い事をしたという罪悪感からミールの世界に閉じこもってしまったシオの姿。

エテルはここまでのシオを知らない、だけど全ての経緯、そして未練の元凶が映し出される、だがその映像には色がない、まるで記録として存在しているだけで何も意味を成さない、そう見せつけられているようなもどかしさを感じる。

エテルは歩き続ける。

次の球体、そこには糾弾した第八園への怒り、苦しみ、これはエテルの未練、恐怖の対象としか見られなかったことで孤独になったエテルの記憶、だけどこの映像にも色がない。

エテルは歩き続ける、そこには先ほどに比べて小さい球体が空中に散らばっていた。

エテルは球体に触れていく、それは日常での後悔、日常での思い出、美魅とリルと遊んだ時の思い出、
そのどれもがエテルにとって大事な記憶だった。

エテル「そっか、わかったよ、ここは記憶の世界なんだ、私が今まで記憶してきたものがこの球体として保存されている、だけどこれはその記憶の前後、私が知るはずのない経緯も記録として残ってるんだ、例えば私が美魅と口喧嘩した日、私はただ美魅の機嫌が悪いから怒ってるって思ってた、けどこの球体を見てわかった、美魅は嬉しい出来事があったんだ、だけど私はそんな事も知らずに美魅の嬉しい気持ちを共有出来なかった、それが美魅にとって悔しい出来事だった、だから喧嘩になった。そしてその後、美魅は私の事に対して文句を言ってる、だけど次は絶対に羨ましいと思わせてやる、そういう出来事の続きがあった。」

やりなおした・・・

エテルは思う、こんな現状を知ればもっと美魅が満足する言葉を選んであげられた、きっと美魅は満足するだろう、そしてこの記録は嫌な思い出ではなく良い思い出として残るだろう。

それが崩園、記録を崩壊させる世界、きっとここで変えた記録は現実の結果も変えるのだろう、だけどそれは難しい程球体は大きく、簡単な程球体は小さい、さっきの美魅とのお話、エテルは球体に触れる事で同じ環境を体験した。

・・・・・・
美魅「エテル!今日なあの駄主から一本とったんやで!あの悔しそうな顔!エテルにも見せてやりたかったわ~」

エテル(もう間違えない、ここで私が出す答えは)

エテル「凄いね、美魅は本当に努力家だね、次もきっと一本とれるよ」

エテルは薄く笑う、それはわざと。
美魅がエテルに対して疑問を抱かない程度に。

美魅「せやな!これならあの駄主を超える日も近いで!日頃の特訓にもやる気が出るってもんや!!」

美魅は喜んだ、エテルは美魅の喜びの気持ちを分かち合った。
始めて他人と気持ちを共有した。

エテル(そっか、他人の感情を知るってこんなこともあるんだ、なんでだろう、私の事じゃないのに美魅の嬉しさが伝わってくる、私も何故か嬉しくなる、共感覚、不思議な感覚だな・・・)

たったそれだけのこと、日常でありふれた出来事の一つ、だけどエテルが納得した結末に辿り着いた。
エテルの意識は球体から離れる。

・・・・・・
エテルが眼を開けると、その球体には色がついていた、鮮やかな記憶。
エテルは再度球体に触れる、すると先ほどまで感じていた温かい気持ちがあふれてくる。

エテル「凄い、私は嫌な出来事を殺したんだ、そして新たな出来事を誕生させた、これが私の死と生の世界」

エテルは走る、最初に触れた球体、パトが苦しんだ記録。

エテルは触れる、だがその球体に入る事が出来ない、するとそこにはパズルのような景色が広がる。

エテル「そっか、この記憶に触れるためには条件が必要なんだ、それがパズルとなって存在する、きっと全てのピースを埋めればこの記憶にも干渉出来る・・・」

エテルはシオの記録に触れる、同じくパズルが現れる、エテルの記憶に触れる、同様にパズルが現れる。

エテル「きっとこの記録に触れるためには私の知っている事だけではダメなんだ、私の知らないピースを知って、得る必要があるんだ、そして全てのパーツが揃う事でやっと干渉して美魅との思い出みたいに変える事が出来る、私が不都合な出来事を殺して生まれ変わらせる事が出来る」

それは誰かにとって幸せでも誰かにとっては不幸になる出来事かもしれない。
そのことで未来が大きく変わるような修復はきっと出来ない、だけど思い出を変える事は出来る。

でもそれで充分だ、悪い思い出が良い思い出になる、それだけで人は前に進める。
前に進めるだけの改変が出来ればきっと・・・パトもシオも前を向ける。

エテル「もっと先に行こう!」

エテルは歩く、そして沢山の球体を目にする。
そして大事な球体を管理する事が出来る事を知ったエテルは思い描く建物を構築する、するとエテルが望んだ理想の建物が現れる、そこにエテルは球体をしまっていく。

無くさないように、忘れないように、

まるでパソコンのフォルダ分けのように球体を仕分けていくエテル。それは凄く希望に満ち溢れていた。

エテルの居る崩園、破壊のためだけに使おうと考えていたらきっとこのような球体は現れなかっただろう、エテルが望んだから才能が開花し、エテルが望んだ世界が生まれた。

エテルは仕分けを終えた。
全ての球体を仕訳けたわけではない、これから生きていけばきっと球体は増え続けるだろう、
だから全てを拾わない、それでいい、全てを救う事は出来ないのだから。

エテルは自分が大事だと思える人達のためにこの力を使う。
エテルが得た力はパトのために使う、誰かを無差別に傷つけるための力ではなく、
パトという存在、肉体的にも精神的にも支えられる、パトがエテルにやってきた事を次はエテルがパトに恩返しをする。

エテル「よし、戻ろう!」

エテルは崩園から抜け出す、その時にエテルは自身の姿を球体越しで見る。

エテルの姿が変わっていた、緑の髪と青い髪、そして今の今まで気付かなかった長い髪。

エテル(これが今の私、だけどきっと私が変わっちゃうと主様は寂しくなるよね、だからこの身体は大事な時に、普段はいつも通りの私でいよう、今まで通り・・・)

エテルは元の姿に戻る、そしてパトの元に戻る。
それがエテルの成長、進化のお話しである。

2025年10月09日

No.182 エテルの進化episode5

エテルはミールの世界から出た。

その場にはミールしか居なかった。

ミール「変わったね、シオから力が失った、もう彼女は女帝の器じゃない、そうか、それが御神体の正体だったってわけだ・・・ホープ・ダイヤモンド、現実世界に存在するブルーダイヤモンド、まさかそのままの形状をしていたなんてね、私の予想は外れたけど結果的にエテルが御神体になったわけだ」

ミールは少し笑いながらエテルに話しかける。

ミール「それでシオから御神体の力を得て何か答えを得られた?君が一人の才能を奪ってまで得た答えは?」

エテルはミールの問いに答える。

エテル「悩む事なんてなかった、私は主様を無条件で助けるよ、そのためなら何者にだってなる、手段だって選ばない、例えこの才能がどこまでも成長出来たとしても私はこの力を主様のためだけに使う、それが私を助けてくれた恩返しだよ」

ミール「言葉でわかる、以前のエテルじゃないね、機械族とは思えない程の力強い意志を感じる、でもまだ君は御神体に乗っ取られた身体に過ぎないよね?私としては誰かに取り付かないと御神体としての力も発揮出来ない同僚に少し、いや、かなり落胆してるわけだけどさ、どうするの?このまま主様の所に戻るの?」

ミールはエテルに近づく。

エテル「うん、だってこのままだと主様はきっと私達と心の距離を空けるよ、それはもう二度と戻らないかもしれない、そうなる前に私が繋ぎとめる、主様のトラウマなんて殺してやる」

ミール「過剰戦力・・・そう言わざるを得ないわね、エテル、第二園に所属し、究極系として主様を守りなさい」

ミールは今のエテルの力はパトが扱っていい次元のものではないと考え、今後開花するであろう才能を見越して第二園へ所属させてしまおうと考えた、そうすれば第二園のルール上、帝オーラを都度提供しなければ力を発揮出来ない、それでバランスをとる事が出来る。

エテル「断るよ、それだと主様は救えない、私は今の私のまま現実世界に戻るよ」

ミール「逆らうと・・・では力づくで・・・いくしかないですね」

ミールはエテルに対して世界そのものをぶつける!!

エテルはミールの世界に飲み込まれる。

そこはマントル世界、無限に続くマントルの世界。その中にエテルは入っていた。
だがエテルはそのような世界で傷つく事もなく平然と漂う。

そしてエテルは自身の手でタナトスハンドを出し、ミールの世界を殺す。

ミールは次々とエテルに世界をぶつける、エテルはミールの作る世界を次々とタナトスハンドで相殺する。無限に近い数の世界を、次々とエテルはタナトスハンドで壊し続ける。

世界を殺し続ける、そのエネルギーがどんどんエテルの身体に蓄えられる。
そしてエテルの姿が変わっていく。

エテルの髪下半分が青く染まっていく、そして後ろ髪がどんどん伸びていく。
御神体の力がエテルの中に溶け込んでいく。

シオのように御神体の力をただ借りていただけとは違い、エテルが御神体を吸収し、エテル自身が御神体となっていった。

そしてミールの膨大な力を殺し続ける事でエテルは急速に成長し、御神体エテルはさらに進化を果たす。世界王として覚醒する。

ミール(まずい!!こいつ!私と相性最悪だ!!世界を次々と殺される!!)

ミールは焦る、今この時点で帝園に二人の世界王が現れた、ミールとエテル。

エテルのタナトスハンドは見た目が変わり禍々しい手から青く何処かプログラムのような手に変わっていた。

エテル(これが私の真のタナトスハンド・・・)

エテルは身体から無数の青いタナトスハンドをミールに向けて飛ばす!!

今まではエテルが触れなければ効果がなかったタナトスハンドだったが、世界王と覚醒した今、触れなくてもタナトスハンドが自我を持ち、無数に現れては敵と認識した相手に向って飛んでいく!

帝園産の世界王、それはまさに化物だった。

エテルの留まらない猛攻にミールは押される!
ミールの表情には今までにない程の焦りが現れる!

ミール(私が押されてる?!私が負ける?!こんな一従属だった子に?!!)

ミールは必死に理不尽な世界を創ってはエテルにぶつける、だがエテルはその世界を涼し気にただただ殺し続ける、そしてダメージを負わないエテルはただただミールの喉元だけを狙う。

エテル「私を現実に返して、それだけでこの戦いは終わる、もしこのまま返さないなら・・・殺す!!!!!」

エテルに殺意が芽生える、それに同調するかのようにエテルのタナトスハンドは勢いを増す!
そしてとうとう1本の手がミールの頭を捕える!!!!

ミール「うが???!!!!」

ミールは飛ばされた、ミールに初めて外傷を与えた存在となったエテル。

ミールが吹き飛ばされた事で世界生成が遅れる、そしてエテルは勢いのままミールの対して無数のタナトスハンドをぶつけ始めた!!

ミールはどんどん跡形もなく朽ちていった。
それはどんどんミールだったものとなっていく、いやタナトスハンドに触れた段階でミールだったものは既に絶命していた。

そしてエテルの感情が治まり、ミールへの猛攻が止む。
そこには血すら残らない黒い後だけが残っていた。

エテル「勝った・・・私があのミール様に・・・」

エテルは立ち尽くしていた、自分自身が世界王に進化し、姿が変わっている事も気付かずに。
だが疲れで立ち尽くしているとエテルは世界に包み込まれ眠りについてしまう、そして元に姿に戻ってしまった。

・・・・・・
エテルが眠った。

そのエテルの前に立っていたのはミールだった者。
いや、それは本来のミールだった。

???「まさかミールの人格が負けるなんて・・・想像しませんでしたね、私が最も【未熟】な時代の姿では流石に完璧には程遠いですか・・・」

その姿はミールであってミールではない、ミールの髪は短かったが彼女の髪は地面につく程の長い髪、そして少し前髪は眼を覆っていた、だがその立ち振る舞いはまさに高みの存在。

界羅「私がこの姿に戻ったのは万園では数百年ぶり・・・帝園では・・・何万年ぶりでしょうか・・・」

万園 円卓の王 第一席 界羅(かいら)

その正体は本来のミール。
本来のミールは帝園のミールの髪飾り5つの宝石で封印しており、
本来ミールは5段階の強化があり、その最終形態として界羅の姿が待っていた。

だが今回はタナトスハンドがミールの封印の髪飾りを取った事で段階を飛ばして界羅が現れた。

界羅は万園含む全世界でストレリチアが作った世界王で最強を誇る存在。
それはパトの全てを凝縮した存在、パトの全てであり、現時点で界羅に勝てる存在はどの世界含めても存在しない。そのような圧倒的存在だった。

界羅「ミールももう少し改良が必要ですね、せめてタナトスハンドで世界が壊されないくらいの強度がある世界を作って貰わないと・・・」

界羅はまだ壊れていない状態の封印の髪飾りを見つけ、自身の頭に身に着ける。

界羅「キング、クイーン、ルーク、ビショップ、ナイト、お騒がせしました、ポーンであるミールが敗れたのですが、その拍子に髪飾りを飛ばしてしまったみたいでして、即座に私が対応する事になってしまいました、本来ならこれほどの事象であればナイトで充分でしたのですがね、ポーンはまだ意識を失っていますので、ナイトの人格のミール、ポーンの人格のミールのデスペナルティーが終えるまでの間、よろしく頼みますね、私はまた眠りにつきます・・・」

界羅の姿が変わり、徐々に以前のミールの姿に戻る、だが以前のミールに比べ身長が少し高く、身体全体がある程度発育している状態のミールだった。

ミール(ナイト)「まさか我の人格が出る時がこの帝園で来るとは、この少女は末恐ろしい潜在能力を持っていますね」

ミールは賞賛に値すると、第二園への移籍はなしにし、そのまま帝園に在籍のまま外に出してしまった。

ミール(ナイト)(世界王に進化した事で【崩園】という世界を解放していましたね、中身は見ていませんでしたが、万園産とは違う方式で生まれた世界、果たしてそれはどんな世界なのか・・・帝王様にだけに力を使う、才能を使うと豪語した子ですからね、きっと帝王様にとって都合の良い世界である事を望みますよ」

ミールはその場を後にする。
そしてエテルは現実世界で目を覚ます。

No.181 エテルの進化episode4

ミールはエテルが第八園の御神体ではないかと頭によぎる。

ミール(帝園のは12体の御神体が存在する、それは各園事に存在する、だがその中には今だに姿を現さない者も居る、この世界はそもそも月花様の帝園をパト様が上塗りした世界、そして12体の御神体はパト様経由で生まれた準世界王のような立ち位置、もちろんその中には世界王として覚醒している者も居る、といってもそれは私だけ、そしてこの帝園には私ですら把握していない第玲園という領地が存在する事も知っている、だがどこに存在しているかわからない、そのように実在するのは知っているがどこにあるかわからない、そのような存在が帝園の王ミールですら存在する)

第一園 神族 御神体エステル
第二園 究極 御神体カル
第三園 獣族 御神体フェア
第四園 天使族 御神体ティエル
第五園 精霊族 御神体ミール
第六園 龍族 御神体リル
第七園 聖人族 御神体フラ
第八園 機械族 御神体ホープ
第九園 魔族 御神体ワルプルギス
第十園 妖族 御神体ティス
第十一園 鬼族 御神体鬼媛 漸(おにひめ やや)
第十二園 邪人族 御神体 闇(アン)

その中でも現時点で実物を今だに見せていない者が存在するそれが
第二園・第八園・第九園・第十園・第十二園

どこで何をしているのか、どのような存在なのか、全てを把握しているはずのミールですら把握出来ない御神体、それは一部の分野でもミールを超える何かを持つという意味なのか、それすらも把握出来ない存在。

ミール(その不明の御神体の一角第八園の御神体ホープ、それがもしこのエテルなら・・・私は彼女を同格の存在として警戒しなければならない・・・)

ミールは確かめたくなった、今までにない存在であるエテルだからこそ彼女がミールが把握していない御神体なのではないかと、そのためにミールはエテルにとある提案をする。

ミール「エテル、いいでしょう、私も意地悪をしたいわけではありません、そこまでエテルが帝王様の事を考えているのなら、私もそれなりに協力しましょう、まずはそうですね、望み通りシオに合わせましょう、それでどうですか?私としてはこれ以上の物をエテルに提供は出来ませんが」

シンは驚く、あのミールがたかだか一従属の話を聞き条件を飲んだ、普段なら絶対にあり得ない、何故ならミールは基本帝園の従属をパトを強化するための道具でしか見ていない、だから帝園の従属が最低限の生活が出来ているならそれ以外はどうでもいい、興味がなく、パトの都合でその従属が邪魔なら容赦なく消す事だって厭わない、きっとパトがミールに「あの従属を殺せ」と言えばミールは擁護する事なくその従属を邪魔だと切り捨て殺すだろう。それがシンやネルが把握しているミールである。

自分が全て、それ以外はミールの傀儡、操り人形、所詮この帝園もミールにとっては小さな箱庭、おままごとの駒程度の存在が帝園の従属。

シン(何か思惑が?でもここでもし私が反論してミールの機嫌を損ねたら折角のチャンスを無駄にする、ネルならきっとこんな場面でも聞いちゃうんだろうな)

シンは経緯を見守るしかなかった。
エテルはミールの提案に対して考える、まさか了承されると思わなかったからだ。

ミール「どうしますか?入るなら今ここで私に触れてください、そうすればシオの居る世界に繋げましょう」

エテルはミールの近くまで歩く。
ミールはエテルに手を伸ばす、そしてエテルはその手を取る。

するとそこから光が発せられエテルは包み込まれる。
そしてエテルはミールの世界に入り、その場から消えた。

ミール「シンは帰っていいですよ、エテルの要件が済めば私が現実世界に送り届けます、大丈夫ですよ、エテルは帝王様の大事な常駐契約の従属、傷物になんかしません、いえ、そもそもこの子は傷物にはならない存在でしたね」

シンはエテルがミールの中に入った事でやっと疑問をぶつけた

シン「どうして了承したのですか・・・」

ミール「んん、気分です、いえ、正直言うと興味が湧きました、シン、今のエテルを見てどう思いました?私は異様に見えました、「なんだこいつ?これが機械族か?」と、あまりにも異質過ぎる、そもそも彼女は生まれから異質過ぎる、機械族は元々守りに特化した種族、なのにエテルは守りは勿論、攻撃力もずば抜けて高い、タナトスハンドなんて代物をあの機械族が持つ意味は?生まれてからずっと叡天眼所持のエテル、私は彼女がもしかすると行方不明の御神体ではないかと・・・考えました」

シン「行方不明の御神体・・・」

シンの御神体の件は把握していた。

ミール「もしエテルが私の力だけでただ名前だけ知っているだけの御神体の正体ならば・・・十三天の心のメンバーに加える必要がありますね、ただ覚醒していないだけで・・・ふふふ」

シン「エテルが御神体・・・そんな事、あるはずがない・・・」

・・・・・・
エテルは真っ白な世界の真ん中に立っていた。

エテル「ここはどこ・・・こんなところにシオが居るの?」

シオ「エテル・・・?」

エテルは声の方向を振り向く、そこには驚いた表情でエテルを見るシオの姿があった。

シオ「ど、どうしたの?こんなところで・・・もしかしてエテルもミール様の逆鱗に触れたの?」

シオは今にも泣きそうな顔をする、だがエテルは応える

エテル「違うよ、私は自分の意志でここまで来たの、シオに会いたいからシンに頼んで、ミール様に頼んで、ここまで来たんだよ」

シオはその言葉で泣き崩れる。

シオ「強くなったんだね、自分の意志でここまで来れる程にエテルは強くなったんだね・・・」

エテルは泣いているシオの元に行こうとするがシオがそれを止める。

シオ「来ちゃダメ、私は貴女に会わせる顔がないの、今のエテルは私には眩しすぎるの」

シオはそう言うと自らエテルと距離を取る。
エテルはシオの行動に対して強い動揺を覚える。

エテル「なんで、会わせる顔ならあるよ、だって私はシオを頼りにここまで来たんだよ、教えて欲しい、主様が今凄く辛い思いをしてる、皆はそれを主様自身の問題だから、時間がきっと解決してくれるからって見守ってる、でも私はね、近くで主様を見てきっとそんな悠長な事を言ってられないんじゃないかなって思ってる、でも主様が誰も頼らない、自分自身の力で克服したがってるからって見守ろうって・・・皆そう考えてるのに私は主様の力になりたい、そう思うのは私がおかしいからなのかな・・・」

エテルはシオに語る、だが話していくうちにエテルの表情は曇っていき、最終的には俯いてしまう。

エテル「ねえ、機械族はこんな感情を持たないんだよね、教えて、これはどの回路のどの部分から来てる信号なの?私は壊れちゃったのかな?今までこんなに誰かのために力を使いたいって考えた事もなかった、だけど今は凄く主様のために力になりたい、ねえ、シオならどうしたらいいと思う?」

シオ「それをなんで私に・・・」

シオはエテルに尋ねる、エテルは少しの間をおいて答える。

エテル「私が知ってる機械族の中で一番感情が豊かだからだよ、私にはわからない機械族特融の感情をきっとシオなら知ってる、同じ機械族のシオじゃないときっと私のこの現状を理解出来ない、そう考えたから私はシオを頼ったの・・・」

エテルは前を向く、そしてずっと泣いているシオを見る。
シオはそんな真っ直ぐな目をしているエテルの顔を見て感じていた。

シオ(この子は・・・到達したんだ、私ですら辿り着けなかった領域に)

シオはエテルを見つめる。

シオ(気付いてる?今の貴女、凄く人間らしい顔になってるよ)

シオから見たエテルは何処か苦しそうで、でも真っ直ぐと強い意志でシオを見つめていた、
ただボーっと見つめていただけのエテルとは違う、目にはしっかりと意志が宿っていた。

シオ(気付いてる?今の貴女、私よりも立派だよ)

シオから見たエテルの佇まいは今にも倒れそうで何かの支えがないと立っていられないシオとは違い
堂々と立派に立っていた、それは誰にも揺るがせない強い意志が見て取れた。

シオ(気付いてる?今の貴女、どの機械族よりも・・・)

シオはエテルを見つめる、そして決断する。

【【私はもういいかな】】

シオはエテルに声を掛ける、「こっちに来て」とただその一言を、そしてエテルは真っ直ぐとシオの所まで歩く。

シオ「私がエテルに教えられる事は何もない、それは私も知らない感情だから、きっと機械族の誰もそれを知らない、貴女は今機械族の誰よりも前に居る、それは誰よりも感情豊かな環境で育って来たから、主様から沢山の愛情を頂いたから得られた物、それは私ですら持ち合わせない、エテルだけの唯一無二だよ・・・それに」

シオは自身の頭についている宝石を取る。

シオ「私は偽物だよ、私はね、この宝石のおかげで誰よりも感情を持っていたの、きっとこの宝石を無くせば私は他の構成員の子達と変わらない、ただの機械族に戻っちゃうの」

エテル「そうなの?でもその宝石はシオのメインデバイスじゃないの?」

機械族には身体の一部にメインデバイス、その人物の情報を管理するために機械がついている、エテルは頭についている二つの機械、そしてシオは宝石のような機械と花のような機械。

シオ「ううん、この宝石はね、私のじゃないの、この宝石は【第八園の御神体】この宝石が御神体そのものなの、実在する人物じゃない、このメインデバイスが御神体なの、その力で私は力を覚醒させ候補生までなった、機械族の力を飛躍的に上げる事が出来る上に本来の感情がより豊かになるの、私はただ継承してただけ、本来なら機械族の最高責任者に代々継がれるもの、だけど私はこの力も含めて第二園に選ばれた、だからずっと身に着けてたの」

シオはエテルの頭に宝石を乗せる。

シオ「だけどもう要らない、これはエテルにあげる、きっと私は才能を失う、多分神羅万象を失って第八園に戻るでしょうね、そして今の最高責任者がよければきっと私は元の席に戻るでしょう、それでいい、私には有り余る席だったのよ、だからこうやっていつまでも十三天の心のメンバーにもなれずにここで閉じこもってた、ずっと間違い続けた、だからね、最後くらいは間違えたくないの」

エテルはシオの言葉に涙を流す。
エテルは感じてしまった、「きっとここで自分が知っているシオと二度と会えなくなる」と
それは実質シオという人格の死を意味する。
そして第二園に選ばれる程、候補生とまでなったシオの物語の終わりを迎えようとしている事を。

エテル「教えてよ・・・ただ託されただけだと私、ここに来た意味がないよ」

シオ「それはきっとこの宝石が答えてくれる、だって私より詳しいもん、私はその感情を知らない」

エテルは泣き続ける、でもそれは何故?目的を達成できなかったから?違う。

エテル「シオはもう・・・帰ってこないの?」

シオ「ううん、私は帰るよ、エテルがもう帰ってこないの、別の所に行っちゃうんだよ、私達が心の底から望んだ存在、どの生物よりも高みに上り詰めた存在、その世界に」

エテル「私はそんな事望んでないよ・・・」

シオ「ううん、きっと望むよ、だってそこでしか今のエテルが抱える問題を解決出来る策はないんだよ、だからエテルはそのまま前に進んで、そして御神体と一体化したらもう一度ミール様の前で考えてみて、そこでもし答えが出たなら、それがエテルの望む答えだと・・・私は思うから」

エテル「うん・・・ごめんなさい、シオに何もあげられなくて・・・」

シオ「ううん、最後にこんなにも成長したエテルを見られて凄く嬉しかったよ、ありがとう、ここまで来てくれて。もしエテルが一人でここまで来てくれなかったら私はきっと気付けなかった、また間違ってたかもしれないから」

エテルは涙を拭く。そんな姿を愛おしく見つめるシオ、だがシオの中で心境の変化が明らかに出て来ていた。

シオ(あ・・・ダメだ、エテルを見ても何も感じなくなってきてる、さっきまで凄く感情で溢れてたのに、その感情が枯渇していってる・・・本来の私に戻ろうとしてる・・・)

シオ「エテル、笑って・・・」

シオは感情が消える中、エテルに伝える。
エテルはその言葉を聞き、最後だからと満面の笑みでその言葉に応える

エテル「にこ~~~!シオ!大好きだよ!!!!」

シオ「・・・・・・すっごく可愛い・・・最高の笑顔だよ、エテル、ロリコンで本当に良かった~~」

シオはもう以前のように笑えない、シオはもう以前のように泣けない、だけど最後の最後に温かい気持ちになれた、心が揺さぶられるような幸福感溢れる気持ちを得た。

シオ(良かった、私はきっと今までの得て来た感情を忘れない、この気持ちも、きっと最後まで忘れないよ)

ここからのシオはただ記憶にある感情を演じるだけの機械族となった、
エテルはシオと話しているとそれがわかり、次第に心が辛くなった。

エテル(シオは以前ように感情が溢れてこない、ただこの時はこういうリアクションを取ればいい、そういう記憶を遡ってなんとか違和感を出さないように話してくれてる・・・けどわかるよ、だってもうシオの声からイキイキとした言い表せない力みたいなものが感じられないから・・・)

エテルは次第に感情を得ていく、そして相手の言葉から感情を理解したり、空気から多くの情報を得る事が出来るようになった。

それがきっとエテルにとっての御神体への進化だった。



2025年10月08日

No.180 エテルの進化episode3

帝園第三園

エテル「そっか、私あの時から帝園には戻ってなかったんだね」

エテルが居た場所、それは約2年前パトと初めてあった場所から少し進んだ場所だった。

エテル「私が召喚された場所から変わってない、でもいいよ、私の目的ははっきりしてるから」

エテルは眼を瞑る、そして第二園へ電脳化で実体を電脳世界に移し移動する。

・・・・・・
エテルは第二園へ到着した、場所は【叡智の羅針盤】十三天の心のメンバーしか立ち入る事が出来ない建物だ。

エテル(う~ん、ネルに会いたかったけどどうすればいいんだろう?チャイムとかないのかな?)

エテルは入り口で困ったように立っていた。
すると扉が開き中からシンが現れた。

シン「エテル、珍しくお客さんかと思ったら、中には入れないから・・・っと」パチン!

シンが指を慣らすと即座に空間が変わり、広い室内になる。

シン「次元支配で部屋を生成してみました、これで問題ないでしょ、それで誰に用事があってここまで?」

エテル「う~ん、ネルに聞こうと思ったけどシンの方が詳しそう、ねえ、主様の心の傷をどうやったら治せる?」

シンはエテルの言葉に驚く、それはエテルがパトのためにここまでの行動を起こしたからだ。

シン「エテルはどうやったら主様の心の傷を癒せると思う?」

エテル「質問を質問で返すなんて・・・でもどうだろう、私は機械族だから・・・ちょっと嫌な事があってもすぐにどうでもよくなる気がする」

シン「じゃあエテルが今主様に感じてる感情、それは時間が経てばどうでもよくなる?」

エテル「・・・わからない、でも主様はずっと私を面倒見てくれた、こんな私を嫌な顔一つせずにずっと美魅と一緒に傍に居させてくれた、私が甘えても絶対に応えてくれる、今も私の好きなようにさせてくれる、のびのびと過ごさせてくれる、それを時間が経ったからと言ってどうでもよくなるなんて・・・」

シン「そう言う事です、もしかするとエテルも主様と100年程関係を絶てば先ほど言った通りどうでもよくなるかもしれない、それを私達は【時間が解決してくれる】って言うの、だけど今すぐとなるとどうしても色々考えてしまうから忘れたくても忘れられない、心の傷ってそういうものだと思うの」

エテル「だからミーエルの治療でも治らないんだね」

シン「ええ、感情の浮き沈みを和らげるくらいなら私でも出来る、それはどちらかと言えば脳を騙すという行為に近くてね、でも本当の心の傷は治せない、要因を廃除するか、克服するか、それくらいしかないの」

シンは椅子に座り、真剣な眼差しでエテルに応える
エテルも椅子に座り、空間が出来たと同時に机に置かれている飲み物に手を出し、口に含む。

エテル「じゃあ今の所誰も主様を治す事は出来ない、だけど主様、凄く苦しそう、いや悲しそうなんだ、だからどうにかしてあげたくて」

シン「見守るしかない・・・って言いたいけど納得しないんでしょうね、だからここまで来た、帝園で心の傷を癒す能力を持つ従属を見つけてでも、そう考えてる?」

エテル「うん・・・だから最初にネルに話して協力してもらおうって思ったの、ネルは主様の事になると協力的だから、でも甘やかしたらダメだって断られる可能性も勿論考えてた、だから少し悩んでた」

シン「流石ね、私も半分半分って感じるわ、むしろネル本人が「他の女の事も政治の事も全部忘れさせてやる!さあ抱け!主様よ!!!」って言いかねないわね」呆れ

シンはネルの物まねをするが溜息をつき、ネルの物まねをした事を少し後悔する。

シン「私から言える事は心の傷のみを治す能力者は居るわ、勿論私含めて多くね」

エテル「そうなの!でもどうやって!」

シン「忘却支配、消滅支配、破壊支配、幻惑支配、幻想支配、精神支配、色々な能力で対応可能よ、でも共通して言えるのは強制的に忘れさせる、そして忘れても尚身体が覚えているのは別の事が原因と上塗りする」

シンは指を立てる、そして立てた指が光、映像が映し出される。

シン「今主様の身体で最も影響が出ているのはおちんちんです!」

エテル「んん?」

シン「これは保健体育だと思ってください、結構大真面目なので、今の主様はどれだけ女性からアプローチを受けても全然おちんちんが反応しません!それは心の傷が間違いなく影響しています」

エテル「んん・・・」?

シン「色々な理由を言ってますが間違いなく性交渉、つまりセックスが原因です!ただでさえ複数の人と関係を持つのは疲れる、なのに主様が心に傷を負う出来事が何度も起きた、帝国従属全員とキスをし、強制的に覚醒させた事件から始まり、専属従属の3名、メルリア、エイリ、フルールの3人と4Pセックスをキメて、セックス価値観が瓦解した、そしてそんな時にギリギリ全員を平等に愛してるからセーフ!!っていうセーフティーラインをメルリアが壊した、独占事件だね!「私とだけセックスして!私以外とセックスする気が起きないくらい朝と夜でしっかり性処理します!!」って数日逆レイプまがいな事をずっとされてとうとう主様の最後のラインも壊れ、最終的に性的な事が怖くなった。」

シンは顔を真っ赤にしながらも事の経緯を大袈裟に話す。

シン「つまり、簡単に言えば女性が怖いんです、今の主様は、だからおちんちんが立たない!そりゃあ女性からアプローチされても立ちませんよ、だってエロじゃなくて恐怖の対象なんですから!でも顔見知りは信頼出来るからなんとか平然と居られる、だけど多分知らない女性相手だと警戒して心も開けない、これが今の主様の現状、それを書き換えればいいの」

エテル「ああ、元々の話を忘れてたよ、途中から主様のトラウマの話ばかりしてたから」

シン「今の出来事の記憶を別の記憶に書き換えればいい、そしてトラウマとして反応してしまう現象に関しては別の理由に置き換えてしまえば多少はマシになります。例えば【メルリアから毎日逆レイプをされた、だけどメルリアから距離を取る事で現実的な問題は解決、トラウマはメルリアの逆レイプが原因だからメルリアが居ない今の環境は大丈夫!】ってやったらどう?つまり全部メルリアの責任にしちゃう形ね、それならメルリアだけを悪者にして原因とトラウマを簡単にして克服に持っていく事が出来る」

エテル「成程、全部騙すんだね」

シン「そうそう、だけどそれをやらないのは今回の件は主様にとってもかなり大きく考えてるから、今の主様の中では間違いなく好意の序列がついてる、専属神内でもね、今こうやって地球に連れてきてる専属神が比較的に高かった子じゃないかな、勿論アリシア、ソルテやラルみたいにどうしても帝国に置いておかないといけない人達も居るけどね」

シンは立ち上がる。

シン「エテル、何かをしてあげたい、その気持ちは凄く大事、そして別にエテルが治したいと思うなら誰も止めない、それで主様が悪化したとしても私達がフォローする、だから好きに動くといいわ、貴女も主様に認められた従属なのだから、羨ましいわよ、常駐契約は。本来なら従属全員が喉から手が出る程羨む席、リルから情報は得てるけど今回の件で席が一つ空いた、座れるなら私が座りたい、最高責任者なんてベルでもノラにでも渡して私も一人の女性として、ネルみたいに自由に主様の隣に居たい、私は諦めてないわ、なにせ最近私と主様の適正率が上がって来てるみたいだからね!」

シンは嬉しそうに話す、まるで自慢する子供のように。

シン「エテル、ネルの代わりに私が協力してあげる、何かいい案があったらまたここに」

シンがエテルに手を差し出そうとした時、エテルは即答で答える。

エテル「シオに会いたい、シオは今どこにいるの?」

・・・・・・
あれから1時間後

シンとエテルはミールの間に来ていた。

それはエテルがシオの所在をシンに確認したところから戻る。

シン「シオ・・・幻想の究極系候補生か、今も尚ミール様の謹慎処分中とは聞いてるけど今どこで何をしてるかと言われると・・・気にした事もなかったわね」

エテル「シオからも意見が聞きたい、私、いつも分からない事はシオから聞いてた、シンからさっき私の好きなように動けばいいって聞いて真っ先に思いついたのが【トラウマという現象自体の死】私のタナトスハンドでそもそもトラウマ事殺せたなら後は主様の気持ちの問題だけで済むのにトラウマがそれを邪魔してるように感じた、トラウマっていうのがどんな存在かわからないけど、もし私にそんな事が出来るなら、やってもいいなら・・・でもわからない、だからこういう時シオなら、同じ機械族ならどう答えるか気になった」

シン「成程ね、面白い発想だな、タナトスハンドは命を刈り取る手だとばかり思ってたけど現象そのものの命も奪いとれる、能力への理解度を高めるにしてはありね、でも私とエテルでは種族が違うからどうしても納得できない所があって不安と、なら私がどうこう言う筋合いはないわね」

シンは少しため息を吐き、エテルの言われた通り、シオの所在を能力で調べた。
だがまったく反応する事がなかった、シオは今帝園に居ない。

シン「シオは今帝園に居ないわね、もしかするとミール様が作った独自の世界の中かも、今からミール様に聞きに行くけどどうする?エテルもついて来る?」

エテル「うん・・・行く」

そういう経緯で二人はミールの居る空間に訪れた。
そこにはミールが立っていた。

ミール「どうしました?シン?エテル?珍しい組み合わせですね」

シン「ミール様、一つ伺いたい事があります、第二園 幻想の究極系候補生 シオの現在の所在地を教えて頂いてもよろしいでしょうか」

シンはミールに質問する。
するとミールは特に溜める事なく普通に答える

ミール「今私の作った世界で罪を償ってますよ、罰を受けているので貴女達の都合で合わせることは出来ませんね、ちなみにどのような要件でシオに会いたいと?」

エテル「シオと少しだけお話出来ればそれでいい、教えて欲しい事があるから聞きたい、それだけ、その後は罰の続きをしてもらっていいから」

ミール「成程、まあ先ほどのシンとエテルの話は勿論、現実でも帝王様の現状は全て把握してますのでわざとらしく聞きはしましたが全て把握しています、結論から言わせていただくと辞めた方がいい」

ミールはエテルに対して拒絶する。

ミール「エテルがここまで帝王様のために動いてくれる、それはあの機械族からは考えられない程の進歩です、むしろここまで好意という感情が芽生えるのかと驚いているくらいです、ですが余計な事はしなくていい、それは私が考える事です、私が今回の件で帝王様が帝園を求める場合最善の答えを用意する、私が何も考えてないとでも思いましたか?勿論常日頃から帝王様を見ているので望む物は全て理解しています。」

シンはミールの圧に臆しながらも会話を続ける。

シン「では知ってて助けなかったと?」

ミール「はい、ですが帝王様が帝園に助けを求めたら即座に助けました、私から帝王様にお節介をするのは違います、それはメリアと同じ、いずれ帝王様の心を壊すとわかっていました。帝王様は自分自身で何かを成し遂げられることで自信を得たかったのは知っていましたから、勿論そこにはプライドもあった、だから私は知ってても尚手を差し伸べなかった」

シンはその言葉を聞き怒りを向ける

シン「あの人は確かに助けられる事でプライドに傷をつけるかもしれません!ですがそれで彼が壊れてしまったら意味がないでしょう!貴女は未来のハクの件から何も学ばなかったのですか!!」

シンは自身が立っていた場所から3歩程無意識にミールに向って足を運ぶ、それは強い異議による自然の行動だった。

ミール「難しい事を言いますね、でも現状帝王様は私達従属を求めていない、それが全てじゃないかしら?求めてない、指示も使命も貰っていない一従属風情が感情を持って、帝王様の考えを身勝手に代弁して動く、それは失礼いえ、無礼極まりない行為だと思いませんか?そうですね、現実世界ではそういう人を【勘違い野郎】とでも言うのでしょうかね」

エテル「二人の言い分はわかるよ、私達が勝手に主様の気持ちや考えを代弁しても意味がない「主様はきっとこう考えてる、主様はきっとこうしてほしい」でもそれは私達の憶測であって、直接そうしてほしいって言われたわけじゃない、だからこれは一方的な思い込み、私もそう思う」

ミール「流石は機械族、冷静ですね」

エテル「でも思い込みでも主様のために力になりたい、そう考えるのはおこがましい事?本当に無礼なのかな?わからない、こんなに私以外の事で考えた事がないからわからない、でもあんなに寂しそうな主様を間近で見て見て見ぬふりは出来ない、主様が私に助けを求める事は絶対にない、だって今も私は主様に助けられてるから、助けられてる存在の私が主様を助けるなんておかしな話ってわかってる、だけどそんな理屈じゃない、合理的じゃない考え方が今もずっと私の頭で回ってる、だからわからないんだよ・・・」

エテルの顔には今までにない程の強い動揺が現れていた、今までこんな気持ちになった事がない、こんな自分を知らない、そんな困惑の中でなんとか捻りだしたエテルの今の悩みだった。

シン「エテル・・・」

ミール「機械族・・・いや、もしかしてエテル貴女・・・」

ミールはエテルの異様な態度に困惑を見せる

ミール(ここまで感情をむき出しにした機械族が今まで居たか?いや存在しない、これも帝王様のおかげ?でもここまで感情を持つ事なんてあるの?もしかして機械族という枠を今超えようとしている?)

元々機械族は生物が辿り着けない領域に辿り着くために生まれた種族、
生物は本能があり、生まれ持っての価値観や感性がある、だが機械族にはそれが存在しない、無から全てが生成される、故に多くの事が欠如しており、とても生き物として欠陥品と見られることが多かった。

もちろんミールもその一人であり、機械族に何を期待しても無駄。何故なら彼女達には感情も無ければ全て合理的に判断し、情なんてものは永遠に持ち合わせないから。だから生き物として信用出来なかった。

だがミールの目の前に居るエテルはどうだ、感情があり、合理性等一切なく、自分自身の考えを述べ、それに対しておかしいと思ってもその考えを信じたいという人間のような不条理な思考回路。

ミール(まさか・・・この子、御神体の適正があるの・・・)


No.179 エテルの進化episode2

パトと月花、エテルの3人は建設会社に足を運んでいた。

エテル「なんでわざわざ人間の建設会社を使うの?帝園から従属契約して呼んだ方が早いよね?」

パト「違法建築になるからだよ、一応日本のルールに則った建物を建てないといけないからな、書類申請も業者なら大体やってくれるし、こっちの方が手っ取り早いんだよ、アリシアみたいに国を作ってそこを拠点にアリシアコーポレーションを建てるなんて力技は出来ないって事だ」

月花「そうそう、一部だけ任せるとかしちゃうと相手も稼げないからって仕事自体を請け負ってくれないとかあるし、ここは一から十全部任せてしまうのがいいのよ」

エテル「そうなんだね、なんか面倒臭いね、ただ生きるだけじゃダメなんて」

パト「この世界は中々その日暮らしが難しいからな、ある程度安定してないと生活がままならないんだ」

パトは考える

パト(よく考えたらエテルが地球人の生活をするのは初めてなんだな、エテルにとっては色々面倒臭いルールがいっぱいあるけど、連れて来た以上はしっかり覚えてもらわないとな)

そして3人は建設会社に入る。

・・・・・・
パト「今ので5社目か、次はどこを当たるんだ?」

月花「バンバン建設かしらね、実績はそこそこだし、それなりにデザイン性を拘る会社みたいね、ほかの所は機能性重視だったり、安さ重視、高級感重視と分野に特化した建設会社を当たったからね、私的にはデザイン性と機能性が高い会社が良いんだけどね」

月花はそう話しながらエテルにも声をかける。

月花「エテルは聞いててどう思った?」

エテル「ちょっとしたら壊れそうな構造ばっかり、能力者の襲撃とか防げないね」

月花「そこは想定してないから仕方ないわね、でも自然災害はかなり意識してるから耐震構造とか耐熱防水性能はかなりのものよ、帝園や帝国の技術に慣れられてたらどうしようもないけどね」

エテル「別に私ずっと帝園では野宿だったし、雨風凌げたらどうだっていいかな、帝国は確かに豪華だったと思うけど、わざわざあそこまでの設備で過ごしたいとも思ってないし」

パト「エテルは拘りがないんだな、住めればOK!みたいな感じか?」

エテル「そうだね、実際そうだから、だから私はどんな建物でもいいよ、野宿でも生きていける事を知ってたら基本何も怖くないね」

パト(強いなぁ、エテルは)

・・・・・・
そして5社目にして本日の活動は終えた。

月花「お疲れ様~!とりあえず数日はフリーね!今日パトとエテルちゃんの部屋遊びに行っていい?雪花にはもちろん内緒ね!」

パト「また雪花と喧嘩になるぞ、俺は別にいいけど、エテルもいいよな?」

エテル「うん、私は全然気にしない」

月花「それじゃあ外食してホテルに戻りましょう♪」

・・・・・・
3人はホテルに戻る、そしてそのままパトの部屋に入る。

パト「疲れた~~~~」

パトはベッドの上に勢いよく寝転がる
エテルはそんなパトの横にひょこっと座り、エテルの荷物から本を出し、読み始める。

月花「なんか様になってるわよね、家族みたい」

月花は洗面台で手を洗い、うがいをしながら部屋に足を運ぶ、そしてそのままパトの上にダイブする

月花「きゃ♪」

パト「おいおい、もう少しで顔と頭がぶつかる所だったぞ」

月花「いいの~、こうやってイチャイチャ出来るなんて久しぶりだもの、この際エテルちゃんは気にしないわ~」

エテルは二人の行動に対して意識を向ける事なくただただ本を読んでいた。

パト「ダメだ、エテルの教育に悪い、エテルが変な事覚えたらどうするんだ」

月花「え~~、キスもダメなの~?」

パト「ダメ!」

月花「上脱がすのは?」

パト「ダメ!」

月花「下を脱がすのは?」

パト「悪化してんじゃねえか!!」

月花「仕方ないわね、じゃあ私が脱ぐしかないか」

月花はそう言いながら服を脱ぎだす。

月花「下心なしでそもそも私は部屋では薄着の方がいいのよね、出来れば下着でウロウロしたいタイプなのよね」

パト「それは知ってるけどわざわざ同じ服着直すの面倒じゃないか?」

月花「確かに!でもこのホテルはホテル服があるからお風呂入ってとりあえずホテルの服着て部屋に帰ればいいし、そこまで問題じゃないわ!」

パト「その部屋の服は俺とエテルのどちらかの物だってことは忘れるなよ」

月花「どうせパトはシャツでしょ!エテルちゃんはどうなの?」

パト「ちゃんと服着てるぞ、今は帝国でちゃんと教わったのかお風呂もしっかり入れてるし俺が気にすることもなし!いや~、いい子に育ってくれてよかったよ」

月花「たまには一緒にお風呂入ったら?」

パト「エテルはお年頃だぞ?エテルの方が嫌だろ」

エテルはそういう話をしている間も特に意識を向ける事なく本を読み続ける。

月花「エテルちゃんは何の本を読んでるの?」

エテル「感情を上手く表現する本、人間の感情を理解しないと今後大変だと思って」

パト「実際どうなんだ?」

エテル「わからない、そもそも私は機械族だから相手の感情というか・・・感情そのものがわからない、私にも嬉しいって気持ちはある、でもなんか私の嬉しいって気持ちは他に人に比べたら弱い気がする、強い感情っていうのがわからない、だから理解したい」

エテルはパトを見る

エテル「主様が最近笑顔なのにどこか虚ろに感じるのは私の気のせい?それも感情?だけどそれはどんな感情?私わからないからどう主様に歩み寄ればいいかわからない、だから今こうやって勉強してるの、この違和感を払拭出来ればきっと・・・」

パトと月花はエテルを優しい目で見る。

月花(そうか、エテルちゃんもエテルちゃんなりにパトの事を気にしてるのね、パトはあれから本当に苦しんでる、私達がどうにか出来る問題でもない、時間が解決してくれるのを願うしかない)

パト「エテル、ありがとう、でも気にするな、これは俺自身の問題なんだ、だからエテルも月花も他の皆も気にする必要なんてない、俺がどうしようもなく心が弱い、肉体的に強くなっても結局心は中々強くなれないんだ」

月花「そうね、私だって色々あった頃から完全に心が完治したかと言われたらそんな事ないわ、少しでも業務で疲労を感じるとトラウマが蘇ってしまう、過呼吸になる事だってあるわ、人って年を重ねる事に多くの経験をする、良い経験も悪い経験も含めて、きっと大人って平然としてるけど私達が考えられないような苦しい経験を沢山してそれだけ心にトラウマを植え付けて来てるのよね」

パト「そうだな、歳をとって色々な景色を見ればみるほど抱えるものが増えて来る、楽なもんじゃないよな、きっとこの行動も良い思い出として残るんだろうけど、そこには少なからず嫌な思い出も残る、でも嫌な事から逃げてばかりだと何も出来ないからな、だからこそ前に進むし、心が壊れても立ち止まってられないんだ」

エテル「心が壊れる・・・苦しくないの?」

パト「死ぬ程苦しいよ、エテルに言う事じゃないけどさ、俺の場合股間が反応しないんだ、それは女性関係にトラウマを持ってるって事も勿論ある、だけどそれ以上に自分に自信がないんだ、強くなっても地位を得ても結局俺は大きく変わってない、でも俺が変わらなくても周りは変わり続ける、成長し続ける、変化し続ける、それに適応出来ない自分と適応しようと頑張ろうとする自分、そこに差があってそれが大きくなれば成程その苦しみはきっと癒える事はないんだよ」

エテル「じゃあ・・・私は主様の心を癒してあげる」

エテルは本を置き、パトの頭を優しく抱きしめる。

エテル「いつも主様からやってくれて凄く落ち着いた、こうやって包み込まれてる時は嫌な記憶も忘れられた、だから同じことしてあげる」

パト「ありがとうエテル、本当エテルは優しいな・・・」

パトは笑う、だけどその笑顔はどこか悲しみが浮かんでいた。

・・・・・・
月花「それじゃあ私は帰るわね~、久しぶりに一緒のお風呂、楽しんだわ♪」

エテル「んん」

月花はエテルと一緒にお風呂に入り、髪を乾かした後自室に戻った。
ホテルの部屋服で帰ったため即座に雪花にバレたがそれは別のお話し。

パトは一人でお風呂に入った後エテルと一緒に布団の中に入る、そして互いに向き合い、エテルを包み込むように抱きしめながら眠る。

そうすればエテルは落ち着くらしく、パトもエテルの体温と微かにかおる髪からシャンプーの香り。

パト(不思議だな、どう考えても機械族にも見えない、生身の人間にしか見えないんだけどな)

パトはそう考えているとエテルがパトに話しかける。

エテル「私、一度帝園に戻りたい、ちょっと用事を思い出したの」

パト「用事?」

エテルに用事があるのか?そう疑問に感じるパトだが、意図は聞かない事にした、
何故なら珍しくエテルがパトにお願いをしてきたから。

パト「どれくらいで戻ってくるんだ?」

エテル「う~んどうだろう、無理そうならすぐ、でも可能性がありそうならちょっと時間が掛かるかも?」

パト「なんで疑問形なんだよ、いいよ、なら帝園に戻るといい、数日はフリーだしな、エテルも折角だし好きに行動したらいい」

エテル「うん、ちゃんと帰って来るからね」

エテルはそう言うと光に包まれ、パトの中に消えた。

パト(エテル・・・)

パトは一人、そのまま夢の世界に入った・・・。




2025年10月01日

No.178 エテルの進化episode1

パトの精神は壊れていた。

それは多くの挫折もあっただろう。
今のパトは帝国に行く前のパトに比べて笑わなくなった。
ふざけたりもしなくなった。

だがそんなパトの変化を最も身近で見て来たエテルはその変化も「当然」という形で受け入れて来た。
何故ならエテルは感情の変化が少なく、時に楽しい事があれば笑い、嫌な事があれば顔をしかめる、それだけの事しか出来ていなかった。

だからパトの変化の異常性に気付けなかった。

・・・・・・
これはパト達が帝国から旅立ち、地球に降り立ってすぐの頃のお話し。

パト「さてと、まずは資金だな、会社を起ち上げるためにはまずはお金だ!、とりあえずバイトでもするか?」


パトは雪花達に話しかける。

雪花「普通に防衛軍から仕事を貰えば良いんじゃない?大体いくらくらい資金が居るの?」

琴歌「そうですね、株を買ってもらって資金を集める手段もありますが、実は私もそこまで詳しくないんです、だからまずはある程度の資金を集めたいですね、おおよそ8000万園くらいですかね?商業オフィスを借りるならテナント料金を意識すればいいですが・・・私達がやろうとしている仕事内容を考えたらあまり他社との合同施設を使うのはお勧めできませんね、襲撃を受けた時責任を取りかねますし」

月花「じゃあ会社を一から作る方が良いってわけね!なら業者に声掛けて見積もりをしてみるわ!会社起ち上げの申請も私がしておくから他の皆は仕事をして資金を集めてくれない?そうね、目標はこの一ヵ月で合計1憶!!」

ソフィア「おっけ!じゃあアリシアから貰ってくるね!!」

パト「待て待て!俺達だけの力でやるって言っただろ!でも月花、一ヵ月で1憶なんて無茶苦茶だぞ、どう頑張っても1千万が・・・」

月花「っと言いたいところだけど、実は私達、お金、あるのよね」

パト「え?あったっけ?」

雪花「忘れたの?私達がWCBTの時に悪信教の司教倒してかなりのお金貰ったでしょ、あのお金まだ口座に入れっぱなしだからまだまだ使えるわよ!もちろん1憶なんて楽勝なくらいね!」

パト「まあ、あれは俺達のお金だからな、セーフなのかな」

雪花「使えるお金は使わないと!そもそも株とかよくわからないものに手を出して外部から口出しされるくらいなら自分でどうにかした方が絶対にいいって!ね!もう使っちゃおう!」

月花「そうね、じゃあマイホームも含めて建てちゃう?」

パト「マイホーム?家建てるのか?」

月花「当然、アパートでも良いけどこの人数どうやって住むの?って話じゃない?」

パト「待て!全員が同じ屋根の下で暮らす前提なのか?!」

月花「当然でしょ!まだパトや琴歌ちゃん、雪花や私なら良いけど、ソフィアちゃんとか帝園の従属、帝国の従属達はどうするのよ、生活出来ないわよ」

パト「別に帝国で過ごしてたんだし・・・でも買い物とか料理とか出来ないか・・・」

それにまだソフィアやエテル、美魅、リルは未成年の年齢、ソフィアはまだ良いとしてもエテルと美魅、リルは幼過ぎて生活スキルがあるとは思えない。

パト「仕方ない、じゃあ俺、雪花、月花、琴歌、ソフィア、エテル、美魅、スティア、リル、フルール、エイリの11人が住める家を建てるしかないな、凄い豪邸になるんじゃないか・・・」

月花「最悪従属を減らすって案もあるわね、私はもう帝国に居ないんだからリルちゃんを帝園に戻してもいいと思うわ、後はスティアちゃんは家を守る番犬的な役割がいいわね、仕事を任せてもいいけど本能的に動く子が探偵はちょっと・・・」

こう話している間専属神以外の従属達は買い出しに行っていた。
フルールが地球にある程度馴染んでいたため、買い出し等を頼めるようになっていたのだ。

パト「それも仕方ないか、今は少しでも負担を減らしておきたいしな」

こうして話がまとまり、フルール達が帰って来るのを待っていた。

・・・・・・
リル「常駐契約を破棄?!私が何をしたっていうの?!」

パト「リルは帝国で教育をさせるって事でこっちに居たんだ、だからリルは帝園に戻って貰って十三天の心としての業務に戻って貰おうって思ってね、少なくとも今から行うこっちの生活に比べたら充実しているし、俺としてもリルを万全の状態にして呼ぶ方がいいんだ、ダメかな?」

リル「・・・まあ主様がそういうなら、別に私が嫌になったってわけじゃないんでしょ?」

パト「当然!エテルや美魅と仲良くしてたからこの場面でリルだけ話すのは凄く心苦しい、けどエテルは帝園の居場所はないし、美魅も帝園に戻れば命の保証がない、俺が保護してあげないとこの二人の立場は危ういんだ、わかってくれる?」

リル「そうだね、その事情は把握してるから納得したよ、それじゃあ私は常駐契約解除という事で」

パトは言葉を選び、リルが落ち込まないように説得し、リルとの常駐契約を終わらせ、リルに帰って貰った。

パト「エテルと美魅も寂しくなると思うけど我慢してくれよな」

エテル「?私は別に?」
美魅「?いや全然?」

パト(こいつら、薄情にも程があるだろ・・・)

・・・・・・

リルが減ったとは言え、残り10名、このままでは生活がままならない、家が建つには半年の時間が掛かる、会社を建てるにも同じく時間が掛かる。この期間をどうやって補うか、それを考えていた。

そして今日はとりあえずとビジネスホテルを取り、二人一組で部屋を取った。
パトとエテル
雪花と月花
ソフィアと琴歌
美魅とフルール
スティアとエイリ

そしてパト含む専属神の6名がパトとエテルの部屋で今後について話していた。

パト「とりあえずアパートを探そうと思う、そうだな、1LDKで5人、つまり二部屋を借りる、というのはどうだろう?」

雪花「相当狭いわね、私結構私物あるけど」

月花「それは各自キャリーバックに収まる程度だし、家が出来るまでの我慢としましょう、でも家電は妥協できないわよ、だって5人が住むんでしょ?」

琴歌「そうですね、しかもお布団とバック、食事用の机、これだけでもう一杯ですね」

ソフィア「テレビは絶対に置けないね~、でも仕方ないか」

パト「どうしてもって話なら2LDKの部屋を探したらいいと思う、少し大きめのアパートならそれくらいの部屋はあるだろうし、部屋があれば荷物置き場に出来るし、寝室として使える、便利な場面は多いしね、リビングがごちゃごちゃしないってだけでも充分ストレスフリーだとは思うな」

月花「ここらで2LDKといえば大体12万くらいか、それを半年、しかも二部屋となると・・・120万」

パト「半年で済むならいいけどな、でも拠点は必要だ、それに仕事をするにしてもまずは住所が必要だしな・・・おい今気づいたけど地球出身じゃない奴ってどうやって戸籍手に入れるんだ?」

月花「それは大丈夫、帝国時代に今ここに居る子達は全員アリシアコーポレーション関係でしっかり戸籍を持ってるわ、アリシアコーポレーションは各国に住所を何点か持ってるの、日本だと30階建ての高層ビルね、それが日本で戸籍が必要になった時用の家で住所を持てるから色々便利なのよ」

パト「あくどい事してるな、でもそのおかげで市役所に申請するだけでとりあえずは済みそうだな、琴歌、お願いできるか?」

琴歌「任せてください!」

ソフィア「私達はどうするの?」

パト「俺と月花で会社建設と住宅建設の打ち合わせをしていくしかないな、それで当分はそっちに付きっきりになる、雪花とソフィアはバイトするなり、自由に過ごしててくれ、今の所やってもらう事がないからね」

こう話している間、エテルは座っているパトの膝の上に居た。そしてパトはエテルの頭を撫でながら話す。

ソフィア「そういえば見ない内にエテルちゃんパトに凄く懐いたね!」

パト「そうかな?でもエテルはここが落ち着くみたいだし俺もこうやって話してる時にエテルの頭を撫でてると落ち着くんだ」

エテルは特に表情を出す事なく、パトを見上げるように表情を確認する。

エテル「私こうやって頭撫でてもらうの嫌いじゃないんだ」

琴歌「本当可愛いですよね、羨ましいです、私もパトさんのような力があれば自身の従属をそうやってめでたいですね」

月花「ソラリアさんが居るじゃないww」

琴歌「うう、あの人は一応メリアさんに言ってアリシアコーポレーション側で金銭面は面倒を見るって言ってくれたので・・・もしこっちが面倒を見るとなると・・・禁酒は確実ですね、それか何かしら働いてもらうしかないですね」

月花「琴歌ちゃん、なんか怖いわよ・・・」

・・・・・・
このビジネスホテルはセミダブルサイズのベッドに枕が二つあるタイプの部屋だった。
そのためパトとエテルは一つのベッドで身を寄せ合う形で眠っていた。

パト「エテル、確か睡眠を必要としないんだっけ、大丈夫か?」

エテル「うん、スリープモードがあるし、どうしても暇ならそれで意識を飛ばすよ、気にしないで」

パト「たまにロボ要素出て来るな・・・エテルはこうやって一緒に寝るの嫌じゃないのか?」

エテル「え?なんで?全然嫌じゃないよ?むしろ落ち着く・・・」

パト(本当エテルって年の離れた妹って感じなんだよな、普段中々表情には出さないけどでもやっぱり心を許してくれてるんだなってわかる、なんかいいな、こういうの)

パトは帝国では肉体関係を求められる日常が普通だった。
きっかけはメルリアだったかもしれない、だがパトはメルリアを恨んではいなかった。
今でもメルリアを愛しているし、今回の件で距離を置いてしまった事に罪悪感もあった。

エイリやフルールとも健全な関係かと言えばそうじゃない、時間がある時はエイリとも関係を持っていた。

肉体関係で言えば専属神なんて当然のようにあった。

専属神以外で言えば天野江奏星とも肉体関係があった。
勢いでバハートとも肉体関係を持った事もある。

そのように男女の仲になってしまう、それが当たり前となっていたパトにとってエテルという存在はとても心地よかった。

パト(今は俺の息子も機能してないし、どう足掻いても欲情しないし、それが今は凄く心地いいや・・・)

パトは眠りにつく・・・

エテルは起きていた。
そしてエテルはパトが睡眠に入った事を確認した後、パトを眺める。

エテル(主、ずっと平然としてるけど違和感を感じる、でも何がこんなにも違和感なんだろう、普通の人ならわかるのかな?)

エテルはそう思いながらパトの胸の中に顔をうずめる。

エテル(心拍数は普通だ、特に体調が悪いとかの反応もない、だけど今まで主とは違う、何が違うんだろう・・・)

エテルはそうこう考えていると寝ているパトに抱きしめられた。
それはまるで近くに心地いい抱き枕があったかのように。

エテル(起きて・・・ない、ただ寝ぼけてるだけか、でも良かった、苦しくない、むしろ優しく抱きしめてくれるから落ち着く・・・)

エテルは心地よさに身を委ねようとする。
そこでエテルは違和感の正体に気付く。

エテル(そうだ、私は今主に抱きしめられて落ち着いていた、例え私が機械族でも心拍や発汗、脳内から出て来る分泌物作用で身体の反応が変わる、だけど今の主にはそれがないんだ、落ち着いてるから?でも本当にそれだけ?)

エテルはそう考えると自身の手をパトの股間部分に手を伸ばす。
エテルは知識として生殖器は相手の感情を高ぶらせる効果を持つと知っていたため、確認のために触れた、そこには下心は一切なかった。

ムニムニ

エテル(・・・うん?)

だがまったく変化が見られないパトの生殖器、だがそもそもエテルはその生殖器に触れたところでどう変化するかも知らない、何がどうなるのかもわからない、どう感情が高ぶるのかも知らない、故に確かめたものの結果を得られる方法として正しかったのか考える。

エテル(わかんない、そもそも寝てる時に触れても意味がない?じゃあ今度起きてる時にもう一度試そうかな、何かわかればいいんだけど)

エテルはそう考えながらじっとパトの体温に身を委ね時間を過ごしていた。