零園(オリジンエデン)シリーズ

2025年12月21日

No.199 ユミルの価値観

雪花は自分の世界に入るのが億劫だった。

理由は明確で雪花の世界王、ユミルの会話が長いそれに尽きるからだ。

雪花「自分を強くするためには零園を有効活用しないといけないのは充分理解しているんだけど、やっぱり面倒臭いのよね、ユミルが話しかけてこないなら楽なんだけど・・・はぁ」

雪花はそう言いながらも自分の世界に入る。

・・・・・・
ユミル「あら雪花様、今日は何処の色を塗るのですか?殆ど間違った価値観で埋め尽くしているので独裁の力がドンドン上がっていってますね、私としては凄く良いと思います、このまま独裁の道を歩んでいけばきっと貴女はもっと強くなれる、さあ今日も塗りましょう!いえ!全てを雪花様の色に染め上げてしまいましょう!私はそれを求めてる!誰かが決めた法を辿っても何も面白くない!むしろ誰かが作った法に従っている以上作った人以上の存在になれない!そんなの屈辱的!!私達はそれではいけない!私達は常に道なき道に自分の道だとマーキングしながら進まないといけないのです!誰かが開拓した道なんて無価値!!」

雪花が入って来たとたん、雪花を出迎えたユミルの長い話が始まった。

雪花は相手にせずに自分の空間で最も認識している【実家】の色塗りを続けていた。

雪花(確かここの色は・・・材質は・・・私の感覚では・・・)

雪花はまずはと自分の自室の色を当てはめていった。

独裁の力は強い、きっと独裁を極めれば極端に強くなれるだろう、だがそれを極める程仲間という存在が邪魔になる。

仲間の邪魔をし、仲間が邪魔になる、それは今の自分にとっては大問題、帝国の仕事は基本自分よりも格上相手が通常、自分だけで勝てる相手なんて多くない、いつも部隊の隊員達に助けられているのが現実である。

そんな雪花が自分一人で戦う道を今選んでも自分を追い込むだけだと考えていた。

雪花(まずは周りに適応する力を身に着けるんだ、誰かのレールに収まらないと私は一人で戦う力を身に付けられない・・・今はその時ではないのだから)

雪花の手が触れている場所から色がついていく、雪花のイメージ通り、鮮明に現実での自室を再現されていた。

それを少し離れた所から眺めているユミル。

ユミル「適応を選ぶんだね、でもそれも雪花様の選んだ道、無価値は時に価値を生み出すための養分になり得るってことかな、そうだよね、創作だって多くの作品に触れてセオリーを知ってやっと自作創作ってなるもんね、研究するためには結局誰かの作った道を見ておかないと綺麗な道は自分では作れない、歪なものになる・・・歴史に学べとはよく言った物だよ、流石は雪花様だね」

雪花(さっきと言ってる事逆じゃない、でも事実そう、歴史に学ぶ、先人達の成果を見て新たな構想を得る、普段皆が使っている道路だって、それが【綺麗な道路】というお手本を常に見ているから誰でも見た目だけなら綺麗な道路を再現できる、それは日頃からお手本を見ているから、でも私は建設の人から聞いたことがある、道路のは見た目以上に難しい構造をしている、目に見えているアスファルト、だけどその表面に辿り着くまでの間に多くの材質の土が入っては何度も転圧して押し固める、しかもそれだって適当じゃない、決まった深さに合わせてだ、そうやって強度を得たうえで【綺麗な道路】は完成される、道路のアスファルトだって配合が決まってるけど見ただけじゃ絶対に分からないように、知らなければ【完全な再現】なんて不可能、だからこそ誰かから学ぶことは絶対に怠ってはならない)

雪花は自室の一部に色を塗り終えると移動を始める。

・・・・・・
実家のリビングに置いてあるテレビの電源を入れる、するとそこには数字が表示される。

第零都市 染色率 99% 正0.2% 歪0.8%

雪花「まあ、0.2でも正解があっただけマシか、それにしても本当シビアな世界ね、どこまで細かく判断してくるのよ」

雪花は確認し終えるとテレビを消す、そしてユミルに話しかける。

雪花「ねえ、第零都市って書いてるけどまだここ以外に場所があるの?」

ユミル「勿論ですとも、ここは雪花様の原点だからこそ第零都市、そして私はこの第零都市の王、
ユミル・ゼロです」

雪花「他の都市にも行ってみたいんだけどどうやったらいけるの?」

ユミル「他の都市に顔を出すのですか、それはそれは、ではどの都市に行きますか?今の所第壱都市が解放されてますね、そちらの王、ユミル・バースにコンタクトをとってこちらの都市とあちらの都市を繋ぐ必要があります」

雪花はユミルの言葉から聞きなれない言葉を聞いた、それに対してユミルに質問する。

雪花「ユミル・バース?貴女とは違うユミルが存在するってこと?」

ユミル「勿論、私は所詮この都市の王に過ぎませんので、もっと言いますとこの零園の世界王は私達であって私達ではない、本来のユミルが世界王となります、難しいですよね?意味が理解出来ないですよね?そうですね~~、ならこう例えるのはどうでしょう!」

ユミルはさっき雪花が消したテレビを付ける。

ユミル「もし雪花様が主パトと出会わなかった世界線があったなら・・・そしてその世界線の雪花様が18歳を迎えた時、どんな雪花様なんでしょうかね?」

雪花「それは・・・きっと落ちこぼれのままだったでしょうね、普通に高校を卒業して大学か専門学校に入って、って所かしら」

ユミル「うんうん、そのもしもの世界線の雪花が言わば私達みたいなもの!つまりは原点となるユミルのあらゆる可能性から生まれたユミル、それが私達、私の場合はこの第零都市の王として生きていくと決めた世界線のユミルってところかな、でも第壱都市のユミルは環境も考え方も違う人生を歩んだ別世界線のユミル、だから同じユミルって名前でも全然別人、見た目も全然違うしね」

雪花「そ、そうなんだ・・・それはちょっと安心かも、第壱都市のユミルも貴女みたいにおしゃべり好きだったらどうしようかと思ったわ」

ユミル「ちなみにこの第零都市では雪花が一番大事だと感じていた双子の妹四季桜花がモデルとなった、だけど第壱都市ではその環境で最も大事だと感じている存在の姿でユミルは存在する、勿論変わればイメチェンしてその姿に変えるかもだけど・・・まあそれは気にしても仕方ない事だね!」

雪花「いい加減家族を使われるのは辞めて欲しいんだけどね、十中八九月花お姉ちゃんの見た目してそうじゃない」

雪花はため息をついた、だがユミルはそれを否定した。

ユミル「月花とパト様はダメ、その二人の真似すると色々圧力を受けちゃう、ぶっちゃけどの世界でもパト様の姿で全部通用する話なんだけどそれをしたら万園から圧力が掛かっちゃって・・・月花に関しては帝園から圧力が掛かっちゃうんだよね、あそこの世界王は敵に回したくないからさ・・・帝園と零園は一切繋がりがないけど、私がその世界の主を模倣してしまえば干渉出来てしまう、干渉するのはいいけど格上相手の世界や世界王が居たらもう大変、だからあの二人の姿で出て来る事は絶対にないね」

雪花「理由がちょっと小物臭いんじゃない?」

ユミル「独裁だって触れてはいけない禁忌は存在するって事だよ、簡単な話で自分の考えを押し付けるとなれば必ず喧嘩になるよね、勿論弱ければ力で簡単にねじ伏せられるけど強いとそうはいかない、むしろ負けを認めてしまえば色々と独裁に亀裂が入っちゃう、この独裁で最もやってはいけないのが負けを認めない事、自身の独裁が一番である事を常に信じないといけないってことなんだよ」

雪花「ふ~ん、それは参考にしておくわ、それで第壱都市のユミルとは連絡は取れたの?」

ユミル「問題ないですよ、むしろ相手も凄く喜んでいます、向かいます?」

雪花「ええ、お願いするわ」

雪花がそういうとユミルの手が光だし、手を祈るように合わせる、そしてユミルが「私の光に触れて」と言うと雪花はユミルの光に触れる、するとその光が雪花を包み込み、あまりの眩しさに雪花は目を瞑ってしまった。

・・・・・・
雪花はまぶた越しから光が弱まった事を確認して目をゆっくりあける。

そこは帝国、雪花の自室だった。

雪花「第壱都市は帝国なのね、関わりが深い土地が都市として選ばれるって事なのね、でも月花お姉ちゃんじゃないとすると誰が・・・」

バース「雪花様♪いらっしゃいませ♪」

雪花はおどろきを隠せなかった。

ユミル・バース、その姿はなんと天野江 奏星だったのだ。

雪花「奏星さん?!私奏星さんが帝国内で一番大事だと思ってたの?!」

雪花は動揺する、あの問題児筆頭で常に迷惑を掛けて来るあの天野江奏星が一番大事だと考えている自分に。

バース「雪花様はこの姿の子の事を一番気に掛けていましたからね!後は私の好みです♪だって可愛いじゃないですか~♪」

ユミル・バースは照れながら顔を隠す、ハッキリ言って第零都市のユミルとは大違いだった。
愛着が湧く雰囲気があった。

バース「この第壱都市は帝国、範囲としましては帝国城下町にエウレカ城内がエリアとなっています、第二の故郷としてぜひ色を塗って行ってください!私は勿論雪花様のアシストをしていきますよ!」

雪花(帝国か・・・まだ日本ならわかるけど帝国が使っている材質とか全然理解出来ないわよ、色はまだシンプルだけど・・・う~~ん、まだ簡単なのかな?)

バース「あ!一つ伝えていない事がありますのでぜひ聞いてください、お時間は取らせません」

雪花「どうぞ、結構重要な事だったりするのかしら?」

バース「恐らく第零都市ではこう聞かされてなかったですか?独裁の力を高めるためにと」

雪花「ええ、私はそう聞いて色を塗っていたわ」

バース「色を塗るまでは一緒なのですが、ここの場合独裁の力は高まりません、ここでは【壊滅の力】が高まります、要は色を外せば外す程現実を壊滅させる、そして壊滅の力が強まるという概念ですね」

雪花「独裁の力とは無関係?でも壊滅の力って何?それも原始支配なの?」

バース「そうですね~、ちょっと違いますね、独裁はあくまで雪花様の原始支配の力を高めるための力です、ここの壊滅支配は雪花様が持つ原始支配とは別の能力を強化するための世界です」

雪花「原始支配以外の能力?私原始支配以外ちゃんと使った事ないわよ、何が解放されたのよ」

バース「壊滅支配ですね、壊す事に特化した破壊神的な力です!どこまでも雪花様武力に長けた方ですからね!きっとこれからも武力に貢献出来る力を得ていくでしょう!」

雪花「物騒な能力ね、でも戦闘センスで評価されている私からすれば良い報告って所なのかしらね、それで例えば色を塗って・・・どうなるの?正しいパターンと間違っているパターンでどう変わるの?」

バース「正しいと壊滅の力ではなく修復の力が高まります、壊滅と聞けば壊す事ばかり意識が向きますが、壊すのは物だけではなく原理も常識も全てですから、すなわち【普通はこれで壊れるけど、その常識を壊す事で壊すという動作で治す事も可能】という現象が起きるのです、壊れるのは眼に見える物だけに限らずって事ですね!」

雪花「それで間違えれば文字通り壊滅の力が高まって見境なく壊すって事か・・・第零都市の時もそうだけどどっちに転んでもメリットがあるわね、これって両方50%にした方が両方扱えるから凄くバランスがいいんじゃないの?」

雪花が思いつき、そのまま口にするがバースは首を横に振った。

バース「それももちろんバランスがあっていいですが・・・正直器用貧乏といっていいレベルです、もう一ついいますともしこの都市全ての色を塗り終えると能力が進化します、聞いたことありませんか?4文字能力、それらに進化しますが・・・もし器用貧乏だと半端な能力で覚醒するでしょうね、もちろん気に入らなければ全てリセットして1から塗り直せば再度作り直す事は可能ですが、面倒ではないですか?」

雪花「一度確定すると塗り直しは出来ないの?」

バース「はい、確定しますともう色に関しては干渉出来ません、世界がその色に適応していまうのです、ですから色は偏っている方がいいですね、7:3の割合でもいいですし、偏っている方が扱いやすいですね、私の感覚の話になりますけどね」

バースは一通り説明し終えると頭を深く下げる。

雪花(このユミルは凄く礼儀正しいわね、変な圧が無い分マシかも・・・)

雪花はユミル・バースに対して警戒心を少し解いた、だがその時だった。

バース「雪花様の身の回りは私にお任せください、疲れたならマッサージをします、怪我をしたなら治療もしましょう、もしその・・・性欲が溜まれば私が相手になりましょう///私も乙女ですが・・・頑張りますね!」

雪花(毎度思うけどなんで世界王とか従属って性行為までがデフォルトで考えてるのかしら、あれかしら私達は性的な事は閉鎖的だけど野性的な種族はむしろオープンだって聞いたことがある、それに近いのかしら、まあ確かに生物が生きていく生理現象の一つではあるから・・・)

雪花はバースの言葉に対して頷きながらも頭を悩ませる。

・・・・・・
雪花「本当広いわね・・・第零都市の比じゃないわよこれ・・・」

バース「元々色を塗る時は一気にです!一部屋とかではなく一定のエリアを一気に染めてしまえば移動する手間が省けますよ」

雪花は「それが出来るなら苦労しないわよ」と思いながらもバースの話を聞く。

雪花「そういえばこの世界って世界の住人は居ないの?」

この世界は風景だけで生物が生息していない。

バース「人ですか?必要ですか?私は貴女が一番大事に考えている人の姿になっているのはせめてものってやつですよ?」

雪花「一番以外は価値が無いって言いたいの?」

雪花は少しムッとしたような顔でバースに聞く。

バース「自身に関わりある人達全員を守るなんて無理な話ですよ、それに貴女には向いてません、例えばこの世界の住人を生み出して仲の良い子が出来たとしましょう、それが他の従属に殺された場合、その従属をどうしますか?殺しますか?ですが権利はあるはずです、雪花様に好かれているというだけで雪花様から粛清を会うのは理不尽ではないですか?」

雪花「それはそうだけど・・・でも殺人は禁止ってルールにすればいいじゃない」

バース「それは名案ですね、では無能な人達が溢れかえりますね、では互いに干渉する事も禁止ですか?」

雪花「なんで?そこまで禁止なんてしないわよ」

バース「人を殺すのが直接的な殺人だけだと思ってます?人は心を殺すために言葉も使えます、人間関係だって使えますし、状況を使う事も出来ます、そんな目に見えないものまで管理する事が雪花様には可能ですか?しかも人が増えればその人達の色も塗らないといけません」

バースは今まで笑顔で語っていたが冷たく、そして鋭い眼光で雪花を睨む。

バース「貴女、主パトの忠誠をこの世界の中なら無下にしてもいいって考えてる?相手を理解するには相手の心を理解しないといけない、質感を知るためには触れなくてはならない、じゃあどうやって触れるの?それは勿論性行為も含まれるわね、男性でも女性でも両生類でもいいですが、自分の力のために自分の身体をこの世界に捧げるような考えは捨てた方がよろしいかと」

雪花は自分の考えが甘かった事に対して反省する。

雪花「そこまで考えてなかっただけよ、そんなに怒らないでよ」

バース「そうですね、私も感情的になりました、ですが私達がやらないのは面倒臭いという理由ではなく【そのやり方が最も雪花様に適している】と判断しているからです、貴女は複数人よりも一人で考える、一人で行動する方が楽だと考えるタイプですからそうしているだけです、ですがそれをすると暴走しがちになるので私達が貴女にとって最も大事な人の姿となって助言をするのです、それが私達ユミルとして考えです」

雪花は再認識した、この世界は雪花に最も優しい世界なのだと、誰よりも雪花の事を考え理解して適応してくれる世界。

雪花「なんかそう聞くとこの世界も悪くないって感じてしまうわね」

バース「そうでしょう♪だから雪花様も気兼ねなくここに滞在するといいですよ、現実世界との時間が気になるなら私が止めておきます、そうすればこの世界で何日居ても現実世界では実質0です!」

雪花は驚く。

雪花「そんな事も出来るの?」

バース「修行とかの手段では使えませんよ?この世界では能力は扱えませんし、力が増える事も減る事もありません、肉体は現状維持なので現実で怪我をしてこの世界に逃げても現実での怪我をそのままこの世界に来ることになりますし、治ることも痛みが治まる事もありません、言わばゲームでいうスタートボタンをして画面停止をしている状態です。休まるのはあくまでゲームプレイヤーのみでゲーム内のキャラクターはそのままです」

雪花「わかりやすい例えをどうもありがとう、でもそれでもこの世界は使い所は沢山あることがわかったわ」

雪花はバースに対して笑いながら一通り探索し終えると自室に戻る。
すると雪花は服を全て脱ぎだし、そのまま自分のベッドに入る。

雪花「一度やってみたかったのよね、こうやって全裸でベッドに寝るの、現実だと気が気じゃなくてできなくてさ、でもここなら問題ないわけだよね?」

バース「はい問題ないですよ、あ、飲み物とか要ります?一応現実再現なのでつくれますよ」

雪花「そうなの?でもそれって大丈夫なの?」

バース「私の力です、都合が良い話ですが、私は任意で現実世界をこちらに干渉させる事も出来ます、なのでこの世界での蛇口をひねれば本来であれば何も出てきませんが私が触れれば現実世界の水と繋がり水を出す事が出来ます」

雪花「便利なのね、それじゃあ寝ているから近くに置いといて」

雪花はそういうとそのまま眠ってしまう。
雪花はたまにはこの世界を休息の場として使うのもありだと思いながら・・・。

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2024年09月05日

No.152 ゼロと零と園と世界

雪花は眼を閉じる。

聞こえるのは風の音、そして風の中に混ざる砂が自分自身に当たる音。
雪花は眼を開く。

見慣れた街並み、だけどそこには色がない、自分が生まれた世界、似た世界、だがそこには色もなければ臭いもなく、懐かしむ人達も居ない。

雪花「いつ来ても慣れないわね・・・ここは」

雪花の世界【零園(オリジンエデン)】

この世界は雪花の知る全てを写し出す世界、だがそれはただ似ているだけで別のもの、写し鏡だが、その背景はモノクロ、白と黒だけで表現されている。

雪花「パトから聞く専属神達の世界は楽しそうだなって思う世界が多いんだけど、私はどうやってこの世界に価値観を持つべきか・・・」

雪花の世界には誰かが持つような価値観や世界観が存在しない、雪花の立っている場所から見える世界は雪花が本能で構築している価値観や世界観を具現化しているに過ぎない場所になる、【零都市】と呼ばれる場所になる。

雪花は歩く、お店の中を見るが、自分の興味のあるお店には白黒ではあるが物が置いてある、だが今まで雪花が興味を持つ事もなかったお店に入ってみると何もない、空き部屋のようになっていた。

雪花「これが私の世界、私の価値観の具現化、こう見るとつまらないものね、全部に興味を持てと言われても困るけど、いざ知らないとこう何もない、空白の空間がそこにあるだけ、無知をこうやって目の当たりにするとちょっとだけ虚無感を感じるのがこの世界の嫌いな所ね」

雪花は世界を知るために歩く、そして【自分が知っている事だけが存在する世界】に飽きを感じ、自身の実家に帰る。

・・・・・・
???「どう?新しい価値観は生まれたかな?雪花ちゃん?」

雪花が家に帰るとそこには白髪の少女が話をかけて来た。

雪花「ユミル、いいえ、別に、何も変わってないわ」

ユミル?「それは残念だね、つまり雪花ちゃんの世界は何も成長していないってことだね」

雪花「そうね、でもこの世界に私の新たな価値観が付与されることで何が変わるの?現実世界と同じ世界が出来上がるだけじゃない、貴女達を除いてね」

ユミル?「あは、そうだね、私は何処にでも居るし、私は私だけど私じゃない、私は沢山居るし、私は何処にだっている、この私も私だし、他の私も私、だけど自我は別に共有されてるわけじゃない、混乱してる?」

雪花「つまり全部あんたって事で認識してるわ、その見た目で話しかけられるのはちょっと癪だけど」

ユミルの姿は桜花の姿を瓜二つだった、だがそれだと雪花が区別がつかないからと髪を切り、桜花に似てしまうがなんとか区別出来るようにしている。

ユミル「私はこの世界の王、だけど、この世界に生まれ落ちた新たな価値観の私も同じくこの世界の王、だから王の数だけ【都市】が生まれる、私は原点、原初の王だから【零都市】の世界王、ここは従属は生まれない、だけど新たな価値観を持った世界王が生まれる、それはその価値観と世界の原初、生まれた証として他の私が生まれる、また不思議ちゃんだって話を逸らした?」

ユミルは雪花を見てクスっと笑う、雪花はユミルの喋り方が苦手だ、わざわざ混乱するような言い回しをして、言いたい事をはっきりと伝えない、例えるなら

「今日はお米はいらない、だけどお米が嫌いという訳ではなく、お米を口に含む事に気が乗らない、口の中に入り、お腹の中で満腹感を手軽に与えてくれるお米ではなく、沢山の食材を食べて出来るだけお腹を満たさないようなものを食べたいと思い、その結果、お米はいらないって私は思うの」

っと「お米はいらない」で終わる話に長々と理由と感想を述べて来るため結論が迷走する事もしばしばあった。

ユミルの言葉を簡単にまとめると

・零園にはユミルという個体しか存在しない
・ユミルは雪花が新たな価値観が生まれる事で生まれ、その価値観で構築された【都市】に住む
・都市の価値観がそこに居るユミルの個体を確定している

ユミル「ご飯を食べる?と言っても雪花ちゃんの大好物のものしか存在しないけどね、喉が渇いたら水道水から飲んでね、安心して、雪花ちゃんの好きな飲み物だから、あ、電気は必要ないよね?だって光もなければ闇もないんだから、座って?安心して?雪花ちゃんが一番求めてる柔らかい座布団だから、でもごめんね、テレビには何も映らないの、でも雪花ちゃんが面白いと思っていたものや興味があった作品の劣化版なら映せるよ?だって雪花ちゃんはその場で面白いって感じたり、興味を持ってもすぐに忘れちゃうからね、思い出せる?1年前自分が何に面白いと思ってたか?思い出せる?1年前自分は何に興味を持って居たか?そんな思い出せてもそれは鮮明?今見ても懐かしいとは思わない?記憶って綻びが生まれるからね、余程身体に染み込んでないと全然残らないものだよ、仕方ないね、それが雪花ちゃんの全てだもん、でも安心して?【一都市】のユミルは楽しそうにしてるよ?帝国って楽しそうだもんね?でもいいの?雪花ちゃんの原点である【零都市】のはどんどん綻んできてるよ?興味がなくなった?故郷は楽しくない?」

ユミルは淡々とでも笑顔でずっと一方的に雪花に話しかける、雪花も返事をしてもどうせ話が止まらないからとただただユミルの言葉を聞いていた。

雪花(本当、この世界で何をすればいいのかしら、私は・・・)

自分自身の価値観を見せられても楽しくない、楽しくない事、興味がない事に無理に取り組んでも意味がない。

ユミル「今度ね、現実世界に行ってみたいなぁ、どんな感じかな?雪花ちゃんの価値観と世界観と違って色んな価値観で溢れてるのかな?見るだけで眼がいたくなるような世界が広がってるのかな?」

雪花「出たらいいじゃない、別に悪さをしないなら止めないわよ私は」

ユミル「ううん、ダメだよ、私はこの世界の価値観以外を許せないから、私はこの【零都市】の価値観に塗り固めてしまう、それはやっちゃダメな事だって私でもわかるよ」

ユミルの力は強制的に自分の世界観や価値観を強制する事。
例えばユミルの価値観の中にない能力や特性があった場合、それが全て無力化される。

どんな強力な世界を持って居ても、強い特性、強い能力、素晴らしい頭脳、見惚れる程の技術も、ユミルの価値観に存在しなければ存在出来ない、酷い話、ユミルの価値観の中で存在が認められない場合、存在する事も出来ない、それがユミルの力、恐ろしいのが、ユミルは1人ではなく、複数存在し、その個体数事に違う価値観が存在する。

帝園 ミール・エデンは無限に世界を作る

だが、零園 ユミル・オリジン・ゼロは有限の世界を作る

No.2に位置する強力な世界王である。

その力が表に出れば獄園のノルンですら手も足も出ない、自分の世界で生きる王にとってその価値観と世界観を奪うユミルは世界王の天敵なのだ。

言わば「世界王キラー」とも言える相手が強ければ強い程敵わない世界王なのである。

雪花「私が故郷の価値観を増やしたらユミルは喜ぶの?」

ユミル「うん、雪花ちゃんの価値観は季節みたいなものだからね、変化があればそれは楽しいと思うかな、でも一人で楽しむことだけね、私はこの都市に一人しかいないからね、楽しみにしてるね、雪花ちゃん?」

ユミルは白い髪を揺らしながら笑いかける、きっと悪い子ではない、だがまったく理解出来ない存在。

雪花(私がこの子を理解出来る日が来るのかしら・・・まだ数回程度だから理解出来ないのか、それともこの子に実は自我がないとか・・・馬鹿な事を、賢くないのに哲学的な事を考えても仕方ないでしょうに)

雪花はユミルと過ごした後に、現実世界に帰る。


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