2025年09月

2025年09月14日

No.177  諦められない気持ちepisodefinal

琴歌はフィロンに問う。

琴歌「フィロンさん、どうでしょうか?どうせ今部隊から嫌われているならこのまま嫌われる事をしませんか?どうせ良い事をしても覆らなかったのでしょう?なら嫌われ者のまま成果を出していきませんか?もう貴女の立場はその立ち回りでしか評価を得られません、【誰もフィロンを認めないけど、結果がある以上だれもフィロンに対して文句を言わせない】そんな状況を作りませんか?」

パト(本当上手いな、嫌われ者としての立ち回りとして僕達を使えと、第四部隊で使うのではなくフィロンがエウレカ探偵事務所を使えという流れか)

フィロン「・・・やっぱり無理だよ、だって私は嫌われたくないんだもん、嫌われたくないから頑張って来たんだもん、別に好かれたい訳じゃない、でも誰かから認められて好かれもせず、嫌われもせず、適度な距離感でずっと仕事をしていたかっただけだもん・・・だから琴歌さんの案に賛同は出来ません」

琴歌「なら防衛軍辞めたらどうですか?」

琴歌はきっぱりと言い放つ。

琴歌「無理ですよ、現状が回復するなんて、雪花ちゃんから聞いてます、貴女、兄をまだ探しているのですか?もし探しているのならなんの目的で探しているのですか?」

フィロン「家族が無事かどうか心配するのはおかしいことですか!?」

琴歌「おかしいなんて言ってません、ですが2年も貴女程の情報のスペシャリストが探して一切情報を得られないのはおかしいじゃないですか、なのに何故諦めないのですか?」

フィロン「それは・・・」

フィロンも最近わからなくなっていた事だ、

勿論家族として心配だ、だが最近はファルドラがもし生きており、ファルドラの東京異変が正義によるものだったとすればきっと第四部隊での自分の評価が変わる、フィロンにとってファルドラの存在は希望なのだ。

琴歌は眼の力を使い、フィロンの一瞬の思考を読む、そしてそれを言葉にする。

琴歌「ファルドラさんが希望なんですね、可哀想に・・・こんな目的でもしファルドラさんが見つけられてもきっと心の底から喜べないでしょうね・・・妹が自分を探して言う事が「私の無実を証明して!!!」ですからね」

フィロンの表情は絶望に染まる。

琴歌「ごめんなさい、私思考を読む力があるのですよ、今一瞬フィロンさんは悩みましたよね?その時に考えた疑問を私は見逃しませんでした、わからなくなってるのでしょう?この現状のせいで、ただ家族として安否を気にしていただけなのに、目的が変わってきてる、この現状がフィロン自身一番納得できないのでしょう?ならもう防衛軍辞めたらどうですか?」

パト「悪い事は言わない、僕からも今までの話を聞いてフィロンさんは防衛軍に居るべきではないよ、僕は2年前ファルドラと最後まで戦った、だから言える事だってある、ファルドラは今のフィロンさんに会っても絶対に喜ばない、いや、悲しむだろう、それがわからないか?」

フィロン「うう・・・うう・・・」

フィロンはただその場でうずくまる、全てが真実で、全てがフィロンにとっての現実だったからだ。

月花(どうするの?このままだと契約なんて無理だよ、パト)

パト(契約?ああ、僕は今の第四部隊と一緒に仕事をする気なんてない、そもそもこれが正義だと言えるのか?ふざけるなよ、僕はこのままフィロンを第四部隊に置いていたらきっとファルドラから殴られるだろうな、「何故その環境から妹を救わなかった!!」ってね、だから僕はもう第四部隊と一緒に仕事をする気はない、だけどフィロン、この子は僕が助けるよ)

パト「提案だ、フィロン副隊長、エウレカ探偵事務所に来ないか?」

フィロンは驚くような表情でパトを見る

パト「今現状君が防衛軍に縋っている意味がもしファルドラ捜索であればエウレカ探偵事務所はそれに関して最も適した環境だと言えるだろう、それともしエウレカ探偵事務所に所属してくれるならファルドラの情報を僕は提供出来る、君がこの2年間見つけられなかった情報、僕はそれを大量に持っている、それを条件にうちに来ないか?このままだと僕はきっと君の兄、ファルドラに怒られてしまうんだ、友人としてね。」

フィロンの頭の中は多くの思考でいっぱいだった。

フィロン(私が防衛軍を辞める?ここまで頑張って来たのに?でも何のために私はここまで頑張って来たんだろう?名誉のため?でも私一度も名誉なんて欲してない、なのにそのためにこれからも頑張る理由は何?それにパトはお兄の情報を今も持ってる、もしかして生きてる?でも私はこの2年間何も情報を得られなかった、という事はパトがお兄を匿っているんだ、だから情報を持ってる、だけどお兄もパトのアシストがあって今も生きてる、でもここまで情報を隠しきれるパト側の技術は本物、きっとこれからも防衛軍で私が独自で詮索しても何も出てこない、ここで断ればきっと二度とお兄の情報は得られない、その等価交換が防衛軍第四部隊副隊長の地位を捨てた私自身。)

フィロンは考える、今自分にとって何が一番大事なのかと、そしてそれは防衛軍に入るきっかけとなり、防衛軍内でも支えてくれた兄、ファルドラの存在だと。

フィロン「そうだ、お兄を敵対視する組織に居ても私は一生浮かばれないんだ・・・」

フィロンは立ち上がる。
月花はその様子を見て、立ち上がる。

月花「もし気が向いたらこの電話番号に電話して、これは私の業務用携帯の電話番号だから、もし貴女からこの電話番号に電話がかかってきたら、エウレカ探偵事務所に入る意志があるって判断するからね」

フィロンは月花から渡された紙を握り締める、するとその場で電話を取り出し、月花が渡した電話番号に即座に電話を発信する。

そして月花の胸ポケットに入っていた業務用携帯が鳴る。

琴歌とパトも立ち上がる。

フィロン「こんな私ですが、よろしくお願いします。悩む必要はありません、私はファルドラ・ニートロフを探します、それは家族として、安否を確認したいからです、そこに不純な動機は要りません、だから私は防衛軍を捨てます、お兄を見つけて「見つかったか」って笑ってもらえるように私も「見つけたよ!お兄!!」ってかくれんぼをして鬼が標的を見つけた時みたいな無邪気な気持ちで言ってあげたいんだ・・・」

琴歌「ようこそ、エウレカ探偵事務所へ、私達は貴女を歓迎しますよ」

パト「第四部隊との契約は失敗だな、でもそれ以上の契約は得られた、僕はそう君を評価するよ、ようこそエウレカ探偵事務所へ」

月花と琴歌はフィロンを抱きしめる。

琴歌「この2年間、頑張りましたね、私達が必ず貴女を悲しませないようにしますから」

月花「もう誰も貴女を否定なんかしない、だから安心してうちにおいで」

琴歌も月花も泣いていた。
そしてフィロンも泣いた。

パト(ファルドラ、これで良かったかな、悪いな、お前は妹に正体をバラしたくない、闇側に関与させたくないって言ってたのに、だけど僕はこれ以上この子を放ってはおけなかったよ)

パトは窓からの景色を見つめる。

きっとこの場所はあいつ、ファルドラが守りたかった景色なんだ、
あいつはいつもお調子者だが確かに正義があった。

パト「まだエウレカ探偵事務所は開業したばかりでまだまともな業務が始まってないんだ、だから一ヵ月、それくらいなら待てる、それまでに引継ぎしておいで、そしてそこからは僕達は仲間だ」

フィロン「はい・・・よろしくお願いします。」

それから10分ほど、3人はお互いを抱きしめ合いながら泣き続け、
パトは窓を眺め続けていた。

・・・・・・
一ヵ月後。

フィロン「不束者ですがよろしくお願いします。」

エウレカ探偵事務所にフィロンは来ていた。
それはどこか不安そうな、だけど期待を抱いているような表情だった。

雪花「いらっしゃい!フィロンちゃん!久しぶりだね!今日から仲間としてよろしく!!」

雪花がフィロンを抱きしめる、フィロンは照れ臭そうに笑う。

フィロン(懐かしいな、こうやってわかりやすく好意を向けてくれるの、凄く温かいや)

琴歌「以前は失礼な発言の数々申し訳ありませんでした」

琴歌は自席から立ち、フィロンの前まで行くと深く頭を下げた。

フィロン「ううん、あれで私も目が覚めたから、きっとあれくらい言ってくれなかったらきっと私は今だに防衛軍にしがみついてた、だけどあれだけ言ってくれたから私は防衛軍を手放す事が出来たんだと思う」

琴歌「貴女が所属する部署は【情報管理課】、所属する班はB班、情報推理班です!班長は四季月花、エテル・ノーミールさん、フィロン・ニートロフさんの3名です!あと【情報管理課】の課長はソフィア・ターフェアイトさん、エテル・ノーミールさん、フィロン・ニートロフさんの3名です!待機中は基本的に情報管理課の部署で仕事してもらい、仕事が入ったらB班・情報推理班として行動してもらいます!二人共知能が高く情報に長けているのできっとフィロンさんも馴染めると思いますよ♪」

雪花「むしろソフィアちゃんから凄く懐かれるから疲れるわよ~」

雪花(あの子も一年前に月花お姉ちゃんを病ませた経験があるし、あれから節度を弁えるようになったから今のソフィアちゃんなら安心してフィロンちゃんを任せられるかな)

パト「エテルも見た目は幼いけど、凄く優秀な子だよ、口数は少ないけどそれは性格だから気にしないであげてね、でもフィロンさんも話すのが得意じゃないならむしろ相性がいいかもね、最低限の会話で成り立つ関係って凄くありがたいからね」

フィロン「あの・・・早速ですがエウレカ探偵事務所はどのような仕事をするのですか?」

琴歌「情報推理班は文字通り情報を入手したり、奪ったり、時には殺人等の推理や調査、一応探偵業務のメインをやって貰います、勿論浮気調査も受け付けますし、一般的な探偵業務もやって貰いますよ」

雪花「つまり馬鹿には出来ない仕事ってわけね!私には不向きな課だわ!」

パト「雪花は武力で制圧してくれたら問題なしだよ、一緒に頑張ろうね」

琴歌「本当なら協力組織があったらいいんですが、まだ見つかっていないのでまたこちらで探しておきますね、情報分野なので信用出来る所じゃないと私達も業務委託は難しくて」

フィロン「大丈夫だよ!この私!情報のスペシャリストフィロンがなんでも解決しちゃうんだから!!」


ああ、この言葉を発するのは2年ぶりだな・・・

フィロン「ぶい!!!!」

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No.176 諦められない気持ちepisode2

フィロンはずっと泣いていた。

家に帰るとずっと身体が重かった。

フィロン(なんで、私何も何も悪い事してないのに、どこで狂ったの?何がいけなかったの?私はただこんな私でも役に立てたらって、お父さんや二人の兄さんのように頑張れたらって・・・。)

・・・・・・
フィロンが防衛軍に入隊したのは今から4年前、
ファルドラが東京異変を起こす2年前。

選抜2位合格、1位はレーデ・ラルフッドに負けた。

だがこんな私でも決勝まで進めた、自分に自信が持てた、そして情報という分野では入隊した時点で誰よりも優秀だった。

隊長がファルドラだったこともあり、第四部隊での私の待遇は凄く良かった。

何かあれば私は裏方として情報を提供し、仕事に貢献してきた。
そして将来は第四部隊の副隊長、兄妹揃って隊長、副隊長となり隊長を支える副官として生きる
そんな未来を私は夢見て頑張ろうって・・・ずっと考えていたのに。

・・・・・・
フィロン「私の関係ない所でその夢は壊れちゃった・・・」

・・・・・・
エウレカ探偵事務所が第四部隊に訪れる日、

第四部隊内でも話題になっていた。

パトは女性人気も男性人気も凄く高かった。

女性からはどこか可愛らしい所があるのに凄く男らしい一面もあるのが良い
周りに女性しか居ないという事はそれだけ魅力があるって事、あの中に私も加わりたい。

男性からは間違いなく隊長クラスの実力があるのに謙虚である事。
本来自身に力があり、優秀であればそれを表に出したい、大胆に自慢する事はないが
微かにでも自慢をしたいと思うのが人というもの。
だがパトにはそれがない、それが同じ男として凄いと思う、後女性から沢山好かれて羨ましい死ねばいいのに。

みたいな尊敬と嫉妬が混ざったような評価。

フィロン「パト、正直全然興味がない、確かに東京異変ではお兄の事件を解決してくれた人、だけど、だからといって何かに惹かれるような事はない」

フィロンは少し虚ろな目で会談室に向かう。

・・・・・・
琴歌「今回お話してくれるのはフィロン副隊長、あのファルドラ・ニートロフの妹さんみたいです。」

パト「ファルドラの妹か、雪花から聞いたな、確か僕が2年前帝国に連れて行かれている間にファルドラ捜索を手伝ったって」

月花「今も探してるのかしら、だとしても真実をフィロン副隊長に話すの?」

パト「いや、それはステラとの契約違反だ、黄金卿はステラが管理しているけど組織自体の主導権は僕にある、それだけ黄金卿に投資してあるからね、黄金卿の不利益は僕達の不利益だ、今後エウレカ探偵事務所の仕事を黄金卿にもやらせるつもりだ、もちろん悪信教絡みに限りだけどね、だからこそ部外者に情報を与える事は出来ない、兄妹であろうが組織が違えば他人、部外者だよ」

パトは冷たく言い放つ、今までのパトなら温情で悩んでいただろう、
だがこの2年でパトも変わった、良くも悪くもメリアの影響を受けたのだろう。

そう話していると扉からノックの音がする。

・・・・・・

フィロン「お待たせしてすみません、私が地球防衛軍第四部隊副隊長フィロン・ニートロフです。今回はここまで足を運んで頂きありがとうございます。早速で申し訳ないのですが本題を聞かせて頂いてもよろしいでしょうか?」

フィロンは世間話をする気はないと言わんばかりに即座に本題を話せと言う。
琴歌も臆せず、そのまま本題を話す。

琴歌「地球防衛軍第四部隊はネットワーク情報関係に強いと伺っております。私達エウレカ探偵事務所は第四部隊の業務分野で何かしらのお手伝いが出来ると考え、ここに足を運ばせて頂きました」

フィロン(やっぱり・・・)

ヘルナとフィロンの予想通りだった。

フィロン「私達の部隊は情報を何よりも大事にしている部隊です、部外者に情報を仕事とは言え一時的に渡す事も、それを取り扱わせる事も出来ません、なので仕事で何かしらの依頼をすることは私達からはないと思います。」

琴歌「そうですね、情報はとても大事なものです、部外者に触れさせる事なんてあってはならない、何故ならその情報は物ではないから、物でない以上抑制は困難です、盗んだかどうかなんて相手の脳を見ないとわからない事ですからね」

フィロン「ご理解いただけて幸いです、でしたら」

琴歌「ですが第四部隊の情報管理技術、それはどこまで信用出来る者でしょうか?」

フィロンは怪訝な表情を浮かべる。

琴歌「傷口に塩を塗るような発言ですが、2年前第四部隊隊長ファルドラ・ニートロフが日本東京で大規模テロを起こしたのはまだ記憶に新しいです、あの復興に私達の企業も多く参加しましたからね、そしてその後押しとなったのは第四部隊の情報だと思っております、そうでなくとも既に反逆者が第四部隊内から出た以上その情報管理にどこまでの信頼性があるのでしょうか?」

フィロン「私達だけでは信用に値しないと?」

琴歌「いえいえ、防衛軍の情報ですから私達外野から何かを申すなんて事はありません、ですがそれだけ大事にしてる情報をどこまで厳重に管理しているのかと、私は疑問に思います。」

フィロン「君達には関係ない話でしょ!!!」

フィロンは怒りを抑えられずに声を荒げてしまう、
それは第四部隊を侮辱されたからではない、ファルドラを侮辱されたからだ。

月花(琴歌ちゃんもえげつない切り方をするわね、でもここは琴歌ちゃんの方が優秀、私達は様子を伺うだけ)

パト(上手いな、敢えてファルドラが悪いという話でフィロンを怒らせたか、でもこうなったら業務提携は難しくないか?)

フィロン「お引き取りください、貴方方から信頼もない第四部隊と業務提携を結ぶ必要なんていないでしょう!!私達は忙しいのです!」

フィロンはその場から立ち去ろうとするが琴歌がそれを許さない。

琴歌「第四部隊の情報、全部私達の組織が奪えると言ったらどうしますか?逆にそれを守れるのも私達の組織だけと言ったらどうしますか?」

フィロンは琴歌の言葉に耳を貸そうとしなかった、だが琴歌は歌姫の力を使い無理矢理フィロンの動きを止め、耳に言葉を入れさせる。

琴歌「私達が貴方達に協力出来るのは貴方達の大事にしているデータを防衛することです。もちろん中身は確認しません、ただ現状のまま管理する、それが私達には出来る、貴方達が大事にしている情報なんて私達からすればすぐに全部盗める、いつでも閲覧出来る、今はそうとだけ言っておきます。」

フィロン「へぇ、面白い、じゃあどんな情報を盗んだの?教えてよ、私も第四部隊の情報は全部知ってるから」

琴歌「フィロンさん、貴女が今防衛軍でいじめを受けている件、それについてどうでしょうか?」

パトと月花は琴歌の方に振り向く、それは最後の切り札だったからだ。
そして極力出したくないカードでもあったからだ。

琴歌「調べてますよ、フィロンさん、貴女はずっと部下から迫害を受けていると、そしてそれに苦しんでいると、直接的な暴力はなくても貴女の部下さんはSNSで匿名で貴女へ誹謗中傷をしてますよね、しかもこれ、防衛軍サーバーから、知ってますよね?でもこれを暴けばフィロンさんに向けられる敵意は増すばかり、それどころか防衛軍内でこんなことをしている人が居ると表に情報が出てしまえばとうとう第四部隊が終わりですね」

琴歌はここぞとばかりに足を組む、普段は絶対に琴歌がしない仕草だがここは威圧を与えるためにわざと足を組み、冷たい表情でフィロンに話しかける

琴歌「【こっちを向いて】」

琴歌が言霊を発した、するとフィロンは琴歌の方を無理矢理向いてしまう。
その時のフィロンの表情は先ほどの怒りを失い動揺を隠せていなかった。

琴歌「フィロンさん、情報のスペシャリストならそれくらい把握してますよね、ですがフィロンさんは何も出来なかった、動けば全ヘイトはフィロンさんに向くから、「エゴサして処罰とかキモ」「部下の処罰の前に仕事しろよ」「兄弟そろって第四部隊の面を汚しやがって」情報から導き出せる評価ですね、それがフィロンさんもわかっていたから怖くて何も言えなかった、そしてそれはどんどん部隊内でエスカレート、フィロンさんは強い、だけどその力を部下に使えば間違いなく批判を喰らう、フィロンさんは何も悪くない、だけど部下は間違いなくフィロンさんを悪者にする、だけどフィロンさんはきっと情報を全て提示して部下が悪いと・・・断罪出来る」

琴歌が今喋っているのはもしもの話だ、実際に起きた話ではない、だがフィロンはその言葉に心当たりがあるのか涙目のまま、唇を震わせながら琴歌の言葉を聞く。聞くしか出来ない。

琴歌「部下と溝が深まるばかり、結果的に今の立場も無くす可能性が高い・・・ヘルナ隊長は優しい方ですからね、きっとフィロン副隊長を守るという意味で副隊長の座を剥奪するでしょう、ですがフィロン副隊長にとってその席は手放したくない大事な物、だから自身が耐えていれば、将来ヘルナ隊長が出世して官長になるか、何かの事件で死亡するかすれば、その時が来るまでこの苦しみを耐えていればいつかはって・・・」

フィロン「もうやめて!!!!!!!!!!」

フィロンは泣きだした、琴歌は言霊を解いた、するとフィロンはその場に座り込んでしまう。

琴歌「今話したのは全て憶測です、根拠も無ければ証拠もない、だけどイジメがあった現状、SNSで誹謗中傷をされている現状、なのになにも対処しない現状からフィロンさんの心境を勝手に代弁したまでです、ですがその表情からするに間違ってはいなかったみたいですね」

フィロン「だって・・・私、何も悪くないもん・・・私は皆のために頑張ってるだけなのに・・・なんで皆私を悪者だって言うの・・・」

琴歌「そうですね、フィロンさんは何も悪くありません、悪いのはファルドラです、後は第四部隊という組織そのもの、閉鎖的な環境ですからね、集団行動では誰かが悪者なっている方が組織は上手くいくものです、きっと今の第四部隊はフィロンさんを悪者にすることで一致団結出来ているのでしょう、汚い話ですが、それもまた事実です。」

国という組織でも政治家がヘイトを買いやすいように
学校のクラスでは大人しい子がイジメの対象になりやすいように
会社では仕事が出来ない上司が陰口の対象になったりと

組織である以上標的は生まれるものだ。

エウレカ帝国ではメリアがその役割を全て担っていた。
全員が円満で居られるようにとメリアが悪役を徹していた。

琴歌はそれを知っていた、誰もやりたがらない、手を汚す仕事をメリアは率先して行っていた。
琴歌は勿論大反発した、今でも納得していない、だがそれが必要な行為である事は理解している。

組織でも作品でも光と影がある。

誰かが凄く好かれるなら逆に誰かは凄く嫌われる。

専属神内で言えば光は雪花、影はメリアだろう。

専属神内で雪花は誰からも好かれる存在だ、誰かと喧嘩した話も聞いたことないし、
雪花の陰口を聞いたこともない。

だがメリアは専属神内でもそれなりに陰口は聞く、だがその反面納得している部分はある。

琴歌は組織である以上どうしようもない現状を理解していた。
だからこそ現在悪者役となっているフィロンに突きつける事でしかこの場の話を進めることは出来なかった。

琴歌(嫌われ者は嫌われ者の立ち回りがあります、きっと第四部隊の総意は【部外者を介入させてはならない】なのでしょうね、ですがフィロンさん、貴女だけはその創意から外れる事が出来る、【部外者を使って組織を安定させる】その方法が取れるのはフィロンさんだけ、今回の会談でフィロンさんだけ来てくれたのは好都合、絶対に私はこの路線でフィロンさんを納得させてみせます!!)





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2025年09月13日

No.175 諦められない気持ちepisode1

その場所では一人に向けて複数の人達がギリギリ聞こえるくらいの声で話す。

「見ろよ、あいつの兄貴あんな事したのによく平気で防衛軍に居られるな」
「あれで副隊長なんてありえない、もっと他にいい人いるだろ」
「そもそもWCBTでも本選にすら残れない副隊長とかいいのか?別の役職にしたらいいんじゃね?第四部隊の質が落ちるっつうかさ」
「なんかずっとゴーグルつけてて不気味なんだよね」
「消えてくんねえかな、あの騒動で俺のダチ死んだんだけど」
「本当防衛軍の面汚しよね、本当最低、家族諸共死んだらいいのに」

「消えろ」「死ね」「邪魔」「ウザい」「キモい」「帰れ」「姿見せんな」

そんな正義の防衛軍内で悪質なイジメが行われていた。
その対象者はフィロン・ニートロフ 地球防衛軍第四部隊副隊長

ファルドラ隊長が日本 東京で大規模テロを起こし、多くの犠牲者と損害を生んだ。
そして隊長が行方不明となり、空席となった席に副隊長だったヘルナが隊長となった。

当時はヘルナの隊長就任に反対する者が多かった。

「隊長の実力じゃない」

ヘルナは強さの基準となっているWCBTでも最高成績はベスト16、
第一回ではラディウスに負け
第二回ではビリアンに負け
第三回ではジョルジュに負け
第四回では再度ビリアンに負ける

ここまで全てベスト16

そして第五回はまさかの本選1回戦敗退、その相手が本選初出場の藤吾 秀という無名選手

仕事の実績も隊長に押せるかと言われたらそこまでではなく
精神面でも弱い所がある。
そして実績が隊長候補であるシェインやジョルジュに比べ少ない。

そんな中ヘルナが隊長に選ばれた、そしてその副隊長として選ばれたのが、
実績はそこそこあれど、現場では活躍はなし、
WCBTも本選出場経験なし、情報に特化したフィロンが副隊長に選ばれた。

だがそれにはヘルナ以上のバッシングがあった。
その最大の原因は兄ファルドラの存在だった。

反逆者の家系が何故今だに防衛軍の最高の地位に立っているのか?
防衛軍は何も学ばないのか?

そのように隊員達にも不信感を抱かれていた。

・・・・・・
フィロンはそんな状況でも兄ファルドラが生きていると信じ、防衛軍の仕事と同時に兄捜索を続けていた。

だが結果で言えば防衛軍の仕事も兄捜索も上手くいっていなかった。

防衛軍

フィロンは情報分野に長けているがそれはアシスト向きのため誰かに指示を出して隊員を動かすという事がまったく出来なかった。

フィロンはただでさえ内気で人見知り、自ら話しかけるなんてもってのほか、言葉も他人にはたどたどしく態度も自信が無さげ、一般人ならそれも可愛いで消化されるだろうが、防衛軍では批判の対象となった。

そして反逆者ファルドラの妹、そんな奴の指示を鵜呑みにしたくない、信用しないという隊員が多かった。

フィロンが情報を集め、隊員達に提出するもその情報をまったく活用しない隊員が多く、結果仕事の効率が悪くなるという現象が起きていた。


現状第四部隊は最悪の状況だった。

東京異変から約2年、そんな壊滅的な状況でも第四部隊は組織として生き残っていた。

それはヘルナの存在が大きかった。

隊長となった事でヘルナは強く成長し、第四部隊の隊長に相応しい存在なろうと努力し、隊員達も
そんなヘルナを見て信頼を得ていった。

だが逆に副隊長になっても今だ変わりもしないフィロンは批判が今まで以上に集中する。

結果
ヘルナ隊長は優秀、フィロン副隊長はゴミ、第四部隊の面汚し、お荷物、汚染の発生源

と言われていた。

・・・・・・
フィロンは限界だった。

兄ファルドラの情報が何も得られず、そして隊員達からも嫌われ自分の立場が全くなかった。
人間不信になっていた。

フィロン「・・・死んじゃった方が楽なのかな・・・」

フィロンはボソっと独り言を口にする。

正義とはなんなのか?
私は何もしていないのに、兄であるファルドラが行った罪を何故私が背負わなければならない。

私がやったわけじゃないのに!!!!!!!!

フィロンの頭の中は憎悪に満ちていた。
だが一つの希望として兄ファルドラが生きていれば、あの東京異変の真相を世に広め、兄が無罪である事を証明できれば


フィロンは誤解し悪意を与え続ける人達を見返せる。

この2年でただ真相を知りたかったフィロンの動機から色々な物がくっついていた。
だがフィロンはそんな事にも気付かずにただ昔のまま兄の情報を探し続けていた。

・・・・・・
とある情報が第四部隊に入って来た。

ヘルナ「明日、エウレカ探偵事務所が第四部隊に訪問に来るらしいわ、フィロン、話を聞いてくれるかしら?」

フィロン「エウレカ探偵事務所?それだれが来るの?」

ヘルナ「四季パトさん、四季月花さん、月詠琴歌さん、この3名ね、名の通り、パト勢力が立てた事業みたいね、恐らく第四部隊の仕事を請け負いたいのかしらね、私は反対だけどフィロンはどう?」

フィロンは考える、普通に考えたら反対だ。
ネットワーク犯罪や世界各国の機密情報をも取り扱う情報特化の部隊、そこに部外者の組織を入れれば
情報漏洩のリスクに繋がる。

基本的に得る情報も含め部外者に知られたくないのだ。

フィロン「私も反対かな、月詠隊長と四季隊長の御子息達っていうのもわかる、だけどそれ以上にパトという人の周りは得体が知れない、私ですら持ちえない情報が多く存在する。そんな存在に私達の情報を一部でも取り扱わせるのは危険、私はそう思います。」

ヘルナ「じゃあそう伝えて貰えるかしら、私は中国拠点に戻らないといけないの、ここ日本拠点に来るみたいだから私は相手出来ないの」

フィロン「はい、わかりました、では私が対応します。」

フィロンはヘルナにそう言い、ヘルナはその日の仕事をフィロンに与え自室に戻って行った。

フィロン(四季雪花、彼女も所属してるのかな・・・あの人は数少ない私の目的を知ってる人だし、
ちょっと来た時に元気かどうか聞いてみよう)




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No.174 世界王が生まれる瞬間(微R18)

万園に大きな力が溢れ出す。

ネルはその現象を眺めている。

ネル「なんだ?この充満されていく感覚は?」

ネルはいつも通り万園のフロアで神籟を誘っていた、だがその途中で世界全体が強い力で満たされている感覚を得る。

神籟「珍しい・・・この万園世界の時間で一体何十年ぶりの世界王誕生でしょうか・・・」

ネル「うお?!今回は現れた?!今更戦う気になったのか?!」

神籟「違うよ、でも珍しい現象なのは間違いないからネルに教えておこうかなってね」

ネルはこの現象を前にして戦うような気分になれなかったため神籟の話を聞く。

神籟「元々この世界は世界王で溢れていたのは知ってるよね?」

ネル「ああ、神籟から聞いたからな、それで世界王同士の共食いが起こって今の人数になったと聞いたが?」


神籟「その通りですよ、あの時に生き残った世界王は6名、そこから要所要所でストレリチア様が世界王を作って22名までになった、その一番若い子が【無命(むめい)】外ではノルンと名乗っているメリアにくっついている子、後は各々世界王を作れる人が世界王を作ったりしていた、つまりここ数十年ストレリチア様が世界王を作ることがなかったの」

ネル「つまりこの莫大なエネルギーは今ストレリチア様が直々に世界王を作っている最中だと?」

神籟「そうね、ストレリチア様が作れる世界王の強さは過去最高でEXクラス、EXクラスは【最強種】と呼ばれるんだけど、それも過去に生まれたのは10体のみ、そして今残っているのは3名、私を含め残りの3名は後天的に生まれた【最強種】」

ネル「それも前に聞いた、つまりもしかするとお前に匹敵する世界王が生まれる可能性があると?」

神籟「ほぼ0に近いけどね、でも言えるのはストレリチア様が産む世界王の強さの最低はSS+クラス、確実にネルよりも強いよ、ネルはAランクだからね、手も足もでないだろうね、残念ながら」

ネル「複雑なものだな、私も別に何かしらの訓練をしたわけではないが万園の世界王として選ばれてから自身なりに訓練をしているのだがな、それでもランクに変動はなし、それが生まれて間もない世界王に負けるのか」

神籟「私は世界王戦争賛成派だから、ネルがお願いするなら第三席 誕爛(たんらん)に声かけるよ、誕爛もストレリチア様同様世界王を作れるから、最高ランクはS+だし、ネルみたいな子達にも丁度いいんじゃないかな?」

神籟は密かに思っていた。
各世界から主パトに適合した従属の世界王化、それは何も問題ないし、今後もパトの覚醒を考えれば積極的に取り組むべき事項。

だがそれと同時に覚醒しても万園の世界王どころか、各従属に与えられた世界の世界王よりも弱い事があるためそこは万園の世界王と名乗るにふさわしくないのではないかと。

神籟「万園も私達やネルのように正式に選ばれ進化した世界王は上層世界、ストレリチア様や誕爛が大量に世界王を作ってそれらを戦わせ覚醒、成長させる下層世界、こうやって二分化することで万園は成長し続ける事が可能だと、私は思うんだよね」

ネル「それは面白い事だな、もちろん上層世界の住人は下層世界に自由に出入りできるんだろうな?」

神籟「私はそれを了承したいけど・・・多分無理かな、なにせ戦うという事は殺し合うって事だからね、死んでも生き返るとかそんな生易しい世界じゃない、負けたら喰われて養分になって終わり、それは流石にパト様も許容しないんじゃない?パト様はネルの事凄く大事そうだしね、もっと自分の事よりもパト様の事も考えてあげなよ、もうネルだけの身体じゃないんだからさ」

ネル「それもそうだな、仕方ない、どの世も女が嫁げば不自由になるもの、暴れたいが主様がそれで私を失って泣いてしまうのは流石にマズいからな」

ネルはどこか嬉しそうに語る、それを横目に神籟はクスっと笑いつつも空を見上げる、すると空に充満した光が一点に集まりだした。

神籟「あ、そろそろだね、・・・今回は4名か、結構多いね、どうしたんだろう?ストレリチア様、4名も世界王を一気に作るなんて、何かあったのかな?」

ネル「あれが・・・」

ネルが空を見上げると4つの光があった。

ネル「あの光が・・・あれがどいつもこいつも私よりも強いのか・・・」

神籟「【神籬(ひもろぎ】【死樂(しらく)】【魂天(こんてん)】【幽夢(ゆうむ)】また花姫(かしん)に測定して貰わないとね」

ネル「待て、何だ?神籟はいったい何が見えた?」

神籟「名前と容姿、ランクとか性格は流石に合ってみないとわからないけど、まあいい子ではないわね、強さを持つって事は何かの個性が秀でてる、無個性は強くなれないから」

ネル「すぐに会う事になるのか?」

神籟「当分はないわね、そもそもストレリチア様がどうして4人も世界王を作ったのか、その意図をまずは円卓の王達が集まって会議しないといけないからね、ストレリチア様に直接聞くのは無礼だから」

ネル「聞いた方がよくないか?」

神籟「聞いて納得するなら私達なんて要らないんだよ、ストレリチア様は一人で全て出来てしまう、本来私達なんて居なくていい存在、何故ならストレリチア様が呼吸をする、そのレベルの事を私達は必死になってやっているんだから、つまり聞くという手間を増やすくらいなら私達なんて要らない、そうなりかねないの」

ネル「面倒な社長様だな、報連相という概念を主様から教わったが皆無過ぎるな」

神籟「ネル、貴女も新人に手を出さないでね、私は自身の世界に戻るから」

ネル「それだけのためにわざわざ私の前に現れたのか?」

神籟「そうだよ、珍しい光景だし、折角だから教えてあげようって思ってね、そうだ、どうせならネルの世界に案内してよ、もし私が納得出来るレベルまで仕上がってるなら喧嘩、してあげてもいいよ?」

ネル「本当か?!なら早速製作を急がねばな!約束守れよ!誰もこの世界でまともに戦ってくれないからな!」

神籟「でも花姫(かしん)とは戦ったんじゃないの?報告ではそう聞いてたけど?」

花姫は第十一席の円卓の王メンバーの一人である。

ネル「・・・負けたさ」

ネルは少し気まずそうな表情でボソっと答える。

神籟「もしかしてテクノブレイクで死んだ?」

ネル「黙れ!!!!あのやられ方は屈辱なんだ!!!!」

神籟「ああ・・・」

神籟はネルに対して哀れみの表情を向ける。

花姫の能力に【孕ませる】力がある、
世界全域という絶対的広範囲領域に花姫の種子をバラまく、そしてそれを花姫以外に付着すると受粉し、花が咲く、花姫はそれを【細胞を孕ませる】【原子を孕ませる】と言う。

ネルは花姫とランク付けをする時に戦った。
結果的にネルは花姫の種子を身体全体に浴び、全細胞が孕んだ。

そして孕み、花として産まれる時にとてつもない快楽を得る、それは人が行う自慰行為で絶頂を迎える時の感度の約500倍、それを一つの種子だけで得る、それを無数に浴びれば身体全体が快楽の波に襲われ、脳や呼吸が過剰になり死に至る、適量ならいいのだが、過度な快楽は【苦痛】でしかない。

神籟「花姫は優しいからちゃんと言えばその快楽を得る前に殺す事もしてくれたでしょうに・・・」

ネル「そんなわざわざ自分から負けを認めるような事するか、快楽という苦痛の中でもなんとか私の絶対で殺してやろうと思ったんだが・・・その能力すらも孕まされたらな・・・」

花姫は物質に限らず能力すらも孕ませる、孕んだ能力は効力を失う、何故なら既にその能力は術者のものではないからだ、孕み主導権を握った花姫のものである。

ネル「嫌な事思い出したな、もう帰る、世界出来たら一番に神籟、お前を呼んでやる、覚悟するんだな!」

ネルはその場を立ち去る。

神籟はその場でクスクス笑いながら「かわいい子」と微笑み、自分の世界に帰る。