No.200 出揃った円卓の王(エテルの進化)後日談│No.202 第四期の女帝達 episode1

2026年01月10日

No.201 メリアの闇Ⅱその後

メリアはシスリットとの話を切り上げ、ファナの実験場に向った。

・・・・・・
メリア「シスリットに使命を伝えたわ」

ファナ「そうか、同情するよ、女帝に言われたら断れないだろうにな」

メリア「理解してましたよ、国が人質にされてる事・・・残念です。賢過ぎるのも問題ですね」

ファナ「馬鹿言え、そこまでの知能があるから難しい使命を与えたんだろう、一体どんな話をして説得したんだ?」

メリア「簡単な誘導です、タブーの話を出しただけです、【女性の妊娠】【いじめ】という簡単なお話です。」

ファナ「それに的確な答えなんてあるのか?」

メリア「【女性は子供を産め】ですか?これに関してはシンプルですよ、リスクを考えてしまっているのと責任があまりにも大きすぎるが故に子供を産むという選択がとれない、簡単な話ではないですからね、でもこれは倫理的に考えるから駄目なんです。賢い人程リスクを想定してしまい前に進めなくなる、ただここでいう賢い人は【力を持たない賢い人】です、己に力がなく、だけど半端に知識や教育を受けたおかげである程度の知能は手に入れた、その結果、子供が産めなくなったんです。」

ファナ「まあ、私はエルフ族だから子孫繁栄にあまり興味がないからわからないが、そこまで変わるものなのか?」

メリア「簡単な例えで言えば勉学を受けられない、常に平穏とは程遠い地、先ほどの話ならば人間は繁栄出来ないと思いませんか?何故なら平穏ではなく、戦争の地なら尚更子供なんて作ってる場合じゃないでしょうね、ですが子供は生まれます、子供を作れないと言っている国の住人よりも貧しい国でも多くの子供が生まれます、何故でしょうか?私はそこの民族が知性的ではなく本能的だからだと思っています、つまり本能的な民族程生物としての生き方に近いため子孫を残す事に対して多くの事を考えないのです、私やご主人が居た日本でも同じです、数百年前の戦時中、確かに人口はそこまで多く増えていません、ですがそこまで大きく減ってもいません、今よりも確実に荒れている時代なのに何故なのでしょうか?今は平和そのものなのに、何故子供が作れないのでしょうか?」

ファナ「さあな、私には興味がないよ」

メリア「そうですね、ここまで長く話しても無意味なので簡単にしましょう、いらないんですよ、知性なんて。権利だって必要ありません。極端な話になりますよ、だって塩梅の良い話なんて存在しないのですから。それは早計だ、浅はかだと誰もが思うでしょう、ですがそれが最も簡単な方法であり、単純なのです。」

メリアは笑顔で近くの椅子に座り楽しそうに話を続ける。

メリア「例えば強制的に子供を作る、なんてどうでしょう?きっと誰もが考えた簡単な方法だと思いませんか?誰かと誰かをパートナーにして子供を作らせる事を義務にすればいいとか、でも昔はそれはお見合いという文化であったんですよ、勿論自由恋愛もありましたが、歴史を辿れば政略結婚や家柄同士の結婚なんて当たり前にあった事ですよね?そしてそれは60年前、70年前という比較的新しい時代までお見合いや親同士の許嫁という言葉があるくらいには文化的な半強制的な結婚と子孫を残す行為が行われていたんです」

メリア「ならば何故今は?自由にさせ過ぎてる、権利を与えすぎてる、役割を与えすぎてる、簡単にまとめればここですかね、自由とは便利な言葉です、ですが悪い意味で言えば自己判断にゆだね、放置する、自分でなんとかしろ、と面倒を見る事を放置しているとも言えますね、つまり昔自力でパートナーを探せなかった人でも親や周りの力でなんとか結婚出来ていたのが、その補助すらもなくなったのが今ですかね、昔に比べてではなく、文化が変わった結果とも言えます。」

メリア「次に権利を与えすぎてる、これは男性としての権利、女性としての権利の話ですかね、差別的な発言になりますが、どちらにもメリットデメリットが存在するのです、私的には男女平等は当然であると考えます、個人的には男は根絶やしにしたいですが、それではあまりにも無慈悲ですからね。ですが子供を作るとなると女性側にデメリットが多いんです、嫌でしょ、多くのリスクを抱えるなんて、余程子供が好きなら良いですが、妊娠すれば妊娠に苦しみ、子供を産めば自分ではなく子供を優先にした人生を送らなければならない、自分が主人公という世界を捨てなければならない、女性は多くの事を捨てなければならないんです、権利が多い程そのデメリットは多いと私は考えます、ですがもし権利が少なければ?【昔のように女性は男性に尽くし、子供を産み、家を支え、子供を育て、旦那を支える】これだけが女性の役割だと割り切った人生を生まれてからずっと言われ続けた時、女性はどう考えるでしょうか?」

ファナ「一種の洗脳というわけか、お前は子孫を残すために生まれた存在だ、それが出来ない欠陥品は生きる価値がない、そう思わせれば勝ちという事だな」

メリア「正解です、単純な洗脳程簡単に出来ます、今は昔と違って価値観も違います、女性一人一人が活躍出来る社会、素晴らしいです、ですが結果的にそれが子孫を残すという最も大きなリスクを追う事から遠ざけた結果・・・と言わざるを得ないのではないでしょうかね」

ファナ「憶測としか言えないがな、答えは果たしてどうか」

メリア「興味はありませんよ、勿論こんなどうでもいい事に結論を出す事もありません、他所の話です。ですが【子供を産むのは自由】と言ってる限り将来性はないでしょうね」

ファナ「私も女帝も女だ、冷たすぎるんじゃないか?」

メリア「私はずっと簡単ですからね、ご主人の従属神達はご主人の遺伝子を貰い、子孫を繁栄させなさいと、それ以外の劣等遺伝子は無駄だと、だからこそのこの帝国ですから」

ファナ「私もいずれは帝王の子種を頂けるのか、光栄だね」

メリア「ええ、光栄に思いなさい、貴女のような人でも慈悲を与えるのが私ですからね」

ファナ「嫌味をどうも、それでイジメの方はどうなんだ?」

ファナはメリアが喋り続けるため実験に集中出来ないと考え、作業の手を止め、休憩に入る。

メリア「イジメ?ああ【いじめられる側にも問題がある】ですか?それに関しては結構喋ったつもりですが、私情を挟むとなればイジメなんてあって当たり前なんですよ、何故なら生き物は常に優劣を決める生き物ですから」

メリアはファナから渡された紅茶を受け取り、「ありがとうございます」と一言言うと口に含む。

メリア「例えば-10~+10の20段階評価で、0が標準、マイナスが非友好的、プラスが友好的でいきましょうか、組織の中で無難に過ごせるのは-5~+5の人だけです、ですがその枠を超えれば異常者、異端者扱いになる、それはわかりますか?」

ファナ「ああ、私がその異端者だからね」

メリア「例えば【喋らない人】【空気を読まずにうるさい人】真逆の人間であれど関わりたくないという共通点があります。後は普通という枠から離れた存在、【圧倒的に落ちこぼれている人】と【圧倒的に優秀な人】、これらも真逆でありながらも疎まれる存在です。これらの人間はヘイトを受けやすくイジメの対象になりやすい。もちろん加害者が普通の人間に対して因縁があるからイジメるというパターンもありますが、基本的に集団的にイジメに会いやすいのはこの普通という枠から離れた人間です。」

ファナ「自信があるんだな」

メリア「実際にやらなくても想定すればいいんです、自分が加害者になるなら、絶対に誰かを虐めなければならない時、誰を選ぶか?その時に普通に人を選べば周りから反感を喰らい自分の立場を下げてしまうリスクを追います、それに良心が少しでもあれば普通の人に対して暴行を働こうとは私でも考えません。無差別に誰でも良かったって人が居ますがそれは除外です。そんな思考放棄した人まで考慮していたらなにも結果を生み出せません」

メリア「逆に私が被害者なら。加害者が居てその人から目を付けられないようにするためにはどうすればいいか、私が凡人なら加害者とは一定の関係を持ちつつ関わらずに過ごします。何故なら先ほどの20段階評価は集団評価の他に加害者の自己評価もあるからです。ここで大事なのは加害者の中で【普通】と判断される事です。ここで極端に加害者が嫌いだから関わらないとなれば加害者が私をターゲットにするリスクが高まります。だからと言って過剰に関わりを持てば被害者にならないにしても加害者側になる可能性が高いです。【お前もあいつを虐めろ、仲良いんだから出来るよな?】と一種の圧力を賭けられます、断れば一気に悪印象に陥ります、ですが一緒に虐めれば加害者です、ですが加害者からは気に居られ間違いなく虐められることはないでしょう。」

ファナ「面倒臭い話だな、つまりはバランスを見誤らない事が大事だって言いたいのか?」

メリア「そうです、どんなに【イジメはダメだ】と言っても無くならないのは多くの要因と原因が生まれるからです。学校で例えましょう、クラスでイジメがあった、先ほど話した被害者側と加害者側が居ます。イジメは関わりたくない人達、ここでは他のクラスメイトも【被害者候補】と言っていいでしょう、となれば私が想定した動きになります。一定の距離感を保つ者、関わらない者、過剰に関わり一緒に加害者側になる者、どの立場でもこの均衡が崩れる事でリスクがあります。」

ファナ「リスクね、それがさっき言っていた弱者強者か?」

メリア「そうですね、生き物は優劣を決めるものです、優位に居た人間が転落した時、今まで優位に居た者に手も足も出なかった弱者が優位に居た人を攻撃します。そこでお前は下だと、自分達よりも上に居るのが憎い、上がって来るなと・・・徹底的に潰そうとします。ですがそれが生き物なんですよ。」

メリア「私はご主人に誘われてネットというものを使いましたがあの世界は好きです。人の貪欲なものがよく見えます。」

メリアはまるで楽しい出来事があったかのように目を輝かせながら語る。

メリア「人はまず当事者じゃなければ納得しろと同調するくせに、いざ自分が当事者になれば納得できないとわめきます。この例えで言えば新聞とネット記事の文化ですね、ネット記事の文化が栄えたら新聞という文化が廃れました。勿論新聞関係者は納得できない所があるでしょう、ペーパーレスなんてと思いますが時代の流れには逆らえない、周りから紙の無駄遣いをするな、やり方が古いと無理矢理納得させようとしましたね」

メリア「ですが、AI技術が発展した時に多くの作品がAIで賄えるとなった時、その作品を作る人達が納得できない、と問題になりました、そのAIは作品を読み込ませ、学習させる事で作るというもので結果的に今まで居た作品を作る人の技術が無断で奪われたという結果になりました。ですがこれ、構図は似てませんか?勿論私も酷いと思う部分はあります、ですがAI技術の発展は今後多くの方が望む技術となるでしょう、それが正式な手順か否かは別としてAI技術で自分達の立場が危うくなれば騒ぎましたよね?ですがその人達は新聞のネット化、ペーパーレス化に異議を唱えたかという話なのです。むしろいい話であり、ネット化の方が便利だから新聞は有料だし場所を取るしで要らないと切り捨てた人も居たのではないでしょうか?」

ファナ「日本の文化は知らないが、技術が発展すれば以前の技術者に価値が無くなるというのはよくある話だ、仕方ないと言えばそれまでだがな」

メリア「そうですね、ですがそれをネットは簡単に見る事が出来ます、先ほどのイジメもそうです、【イジメはダメ、だけどイジメるに値する理由があればイジメてもいい】という謎の理論で人は他人を叩き、炎上させ、人を壊します。行き過ぎた正義感という最も悪に近い感情ですね。」

ファナ「本末転倒だな、それでよくもまあ【いじめはダメ】と言ったものだ・・・そうか、それはさっきのイジメの被害者、被害者候補、加害者に話に繋がるのか、炎上させられた被害者、炎上させた加害者、そしてそれを黙って距離感をとって様子を見る第三者(被害者候補)・・・面白いな」

メリア「ええ、しかもこの炎上、自身で起こすパターンを誰かが火をつけて炎上させるパターンがあるんです、というかほとんどは誰かが火をつけて炎上させるパターンですね、リークと言って裏の情報を無断でバラす事で本来表に出てこなかった問題を敢えて表に出して燃やし、全員でイジメの対象を作りイジメる。それが今のネット環境です。凄いですよね、ここまで来ると何を言っても無意味、一人の言葉とはどこまでも無力なのだと思い知らされますよ」

ファナ「想像出来るな、おおよそ、どんなに弁明しても聞く耳を持たない、証拠がない、もしくは出せもしない証拠を求める事で結果弁明しきれない、と言ったところか、魔女狩りみたいなものだな、【お前は魔女か?】に対してどれだけ否定しても否定を確定する証拠不十分のため疑わしきは罰すると言わんばかりに処刑を行う。たとえ無実であれど集団に言葉は通じずと・・・」

メリア「ええ、これは誘導、洗脳に近いものを感じますよね、しかもその殆どが第三者にとってどうでもいい事なんです、内輪揉め、浮気、不倫、不貞、密会、当事者の問題なのに何故か第三者が喚き散らすんです、しかもそれだけ怒ったにも関わらず一ヵ月もすれば忘れるんです、次の炎上にまた怒っているんです、面白いでしょ?この第三者はいったい何がしたいんでしょうね?自身よりも弱者であると判断した者を攻撃する事で自身が強者であると錯覚したいのでしょうかね・・・哀れなものです」

メリアは語りながらも紅茶を飲み干した。

メリア「色々楽しかったですよ。実験の邪魔をしてすみません、実験体の数は足りてますか?」

ファナ「そろそろ補充して欲しい所だな」

メリア「わかりました、では専攻部隊に私の【帝国情報暗部部隊】の隊員を混ぜて拉致しておきますね、大事に扱ってくださいよ、出来る限り従属神や配下神は使いたくないのでね」

ファナ「わかっている、では頼んだぞ」

メリア「はぁ~、本当心理って楽しい、洗脳誘導、依存、私が得意とする分野ですからね、しっかり生かして見せますよ」

メリアは暗い廊下の暗闇に姿を消した。

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