2023年10月12日
No.128 メリア直属部隊 アナリシアの事情
メリアの直属部隊には5人のメンバーが存在する、そして5人には各々役割があり、各自その役割をこなすことが使命となっている。
アナリシア「えっと、私はメリア、主様・・・ではなくご主人、雪花ちゃん、雪花ちゃん、アリシア様はアリシアと呼び捨てで・・・」
黎明の陽射しのメンバーである、アナリシアの役割はメリアと入れ替わり、メリアの代わりに仕事を進める事である、ただ重要な判断、専属神との会話、主であるパトとの会話をする際はメリア本人に代わるが、従属神と話す時、仕事の命令をする時はアナリシアが代理を務めていた
アナリシア「なんで私がこんな重要な役割を・・・もし失敗してしまったら私消されてしまうのでは・・・ああ怖い」
アナリシアは自分の役割の責任の重さに胃を痛めていた。
アナリシアは元々帝国所属の無所属従属神出身だった、覚醒したことで【最上級神】クラスのポテンシャルは持ち合わせているらしいのだが、本来は上級神だったため、実力は上級神のままだった、そして帝国部隊から選ばれなかった事で無所属で帝国内で与えられた自身の敷地内の住宅で引きこもっていた所、メリアからスカウトを受けた。
・・・・・・
アナリシア「あの・・・なんで他部隊の神すら求めてこなかった私なんかを・・・まさか捨て駒でしょうか・・・」
アナリシアはメリアとの出会いを思い出していた。そしてメリアからスカウトを受けた時、アナリシアはメリアに対して捨て駒に選ばれたから自身の前に現れたのかと聞いた。
メリア「いえいえ、貴女は確かに帝国業務には適してないでしょうね、ですが無所属とは個性を尊重した場所であり、決して蔑ろにしているわけではありません、ご主人から恩恵を受けているのですから」
メリアは笑顔だった、そしてアナリシアにとって格上の神なのに威圧を一切感じなかった。
メリア「貴女をスカウトしたのはその無個性と能力です、その無個性は魅力的、無個性で努力を諦め、自身への努力を諦めた怠惰、本来なら忌み嫌う存在です、組織を壊す存在として入れるわけにはいきません、他部隊が貴女を入れなかったのは正解ですね」
メリアからは威圧を感じない、だが言葉は違った、アナリシアを冷静に貶す、まるでお前の存在は帝国は必要としていないと言わんばかりの存在否定、だがアナリシアはそのメリアの言葉に対して
アナリシア「ええ、あの・・・」
メリア「ここまで言われても別に通常通りなのですね、メンタルが強いとは違う、自分の評価が低く、プライドが存在しない、故に私の威圧を物ともしないのでしょうね」
アナリシア(この方は何を言っているのだろう、私はこんなにもメリア様を恐れているのに・・・)
メリア「恐れてなんかいませんよ、貴女は、本当に恐れている人は私を見ると足が震えますし、多少警戒をします、ですが貴女は警戒ではなく諦め、もはや何も希望を感じてなんかいないし、死ねといわれれば甘んじて死ぬ、そんな狂気を感じるのですがどうでしょう?」
アナリシアはメリアの言葉が一つも理解できなかった、自分はメリアを恐れている、死ぬのは怖いし、今にも逃げ出したいほど居心地が悪かった。
メリア「立ち話もなんですし、私と一緒に来てもらえますか?服は・・・しっかり着替えてください、正装ですよ」
そしてメリアに連れられ、アナリシアは【黎明の陽射し】の拠点に足を運んだ。
・・・・・・
暗い部屋、だけど清潔でセンスは悪くなかった。
メリア「ごめんなさいね、辛気臭くて、他のメンバーの子が明るい部屋が気に入らないらしいの」
アナリシアは近くにあった椅子に腰かける、メリアはアナリシアの行動を見つめる。
メリア「それで、ここまで来た以上は貴女に二択の選択肢を与えなければいけません、【直属部隊に入る】【断って死ぬ】の二択です、この直属部隊は表では存在も明かしていない暗部です、もちろん貴女も本日をもって表では死んだ事になっております、なのでここで貴女が選ぶ行動は私の直属部隊として働く、どうですか?」
アナリシアはメリアの言葉に動揺したが、頭で悩むより先に口から言葉が出た。
アナリシア「私メリア様が求めるような高度な任務をこなせるほど優秀ではありません!失望します!私なんかを選んだ事をメリア様は後悔します!きっとこの部隊も表沙汰になるような失態を犯してしまうかもしれない!そんな重要な事を私なんかが出来るわけない!でも死にたくないです!嫌です!ここで住みますのでどうかお許しください!尽くします!脅さなくても尽くします!お願いします!私は無理です!怖いです!!」
アナリシアは下に俯きながら早口で話す。
メリア「他には?」
アナリシア「メリア様は勘違いしている、私はなにも取柄がない、買い被り過ぎです、ミスを犯してます、私を部隊の人が私を選らばなかった地雷をメリア様自ら選ぶなんて正気の沙汰じゃないです、ですが私は死にたくない、だからここで召使をします!侍女としてアシストをします、お願いしますお願いします」
メリア「よくもまあ、言い訳と私を落とす言葉をスラスラと、貴女、やっぱり私のこと全然怖くないでしょう?普通無理でもこの場では【やります】と言うのですよ、そして否定をするのはその発言を発して内容を説明した後です、なのに貴女は私が出した二択を選ぶのではなく、私が出した二択を三択にでもしてやろうと言わんばかりに言葉を並べる、ただの愚か者と見るのは容易い、ですがその図太い精神、私の求める役割には最適です、ますます気に入りました」
アナリシアは自分の想定していた反応とは違う愕然とした表情でメリアの顔を見た、そのメリアの顔は笑っていた、だがその笑みからは何も感じない、怒りも殺意も喜怒哀楽を一切感じられない」
アナリシア「えっと・・・あの・・・」
メリア「貴女のその鈍感な精神、そして機転の速さ、そして自分の考えを譲らない傲慢さ、そして【変幻支配】、素晴らしいです」
奥の部屋から黒髪のエルフ、ファナが勢いよく扉を開けた
ファナ「女帝!ずっと殺意を出さないでくれないか!今重要な実験なんだ!」
アナリシアはファナの汗まみれの顔を見て驚く、そしてファナの言葉を聞いて驚く。
メリア「ファナ、ちなみにですがいつから私の殺気に気付いてました?」
ファナ「馬鹿な事を聞くな!この施設に入ってきてからずっととんでもない殺気を放っていただろう!集中できないんだ!勘弁してくれ!!」
メリア「それはすみません、もう殺気を出しませんので戻ってください、後でその実験、私も確認します」
ファナはメリアの言葉を聞き、殺気が無くなった事を確認してから研究室に戻る。
メリア「・・・わかりました?私、ずっと貴女に殺気を出していたのですよ、格下なら震えあがり汗が止まらないほどです、ですがおかしいですね、貴女、私の目の前に居たのに一切私の殺気を感じてませんでしたよね?」
アナリシア「え?・・・え?」
メリア「知ってますよ、貴女はコミュニケーション能力が皆無、人の気持ちを理解出来ないし、周りの状況を一切理解できない、常に自分のことが第一で自分の事で精いっぱい、私の言葉なんて耳に入っているようでまったく耳に入っていない、二択を出しているのにまったく駆け引きどころか自分の話しかせずに三択目を出そうとしている、そして私を貶す、それも悪気はないのでしょう、集団行動を求める部隊では致命傷でしょう、貴女のような場を乱す神は」
アナリシアはメリアの言葉に動揺する
アナリシア「えっと、研究がありますよね?私の時間を掛けるなんて勿体ないですよ!私も考える時間が欲しいですし一度あの方の所に行かれてはどうでしょう?」
アナリシアは必死だった、今この場から逃げたい、メリアの言葉なんて一切気にせず自分の事でいっぱいいっぱいだった。
メリア「貴女のその無個性で自分の事しか考えない自己中心的な思考、欠陥ではなく才能です、私の身代わりをして生きなさい」
アナリシアはメリアの顔を見て止まる
アナリシア「私がメリア様の・・・身代わり?やっぱり死ねってことですか?」
メリア「違います、私になりすましなさいと言っている、もちろん命を狙われたらその限りではありませんね」
アナリシア「いやだー-!!死にたくない!私がメリア様になるなんて無理ー-!」
アナリシアは頭を抱え込んだ、そしてぶつぶつと自分の殻に閉じこもってしまった。
メリア「では死にますか?」
アナリシア「えあ、それは、嫌で」
メリア「では引き受けてくれますか?」
アナリシア「いや、それも嫌で」
メリア「ではどうしたいのですか?」
アナリシア「帰りたい、」
メリア「帰る場所はもうないですよ?帰るというなら私は貴女を殺さなければなりません、使えない子の面倒を見ている暇はありませんので」
アナリシア「うあ、だって勝手に」
メリア「ええ、勝手です、ですがこの帝国では上の立場に居る者がルールです、それを知ってこの帝国に入ったのでしょう?」
アナリシア「ううー--」
アナリシアは頭を埋めたまま唸り続けた
メリア「ちなみに危険な仕事ではありません、死ぬかもとは言いましたが、貴女なんかに重要な任務は任せません、精々私が他所に出かけたり、ここに来る理由を作るきっかけを作りたいだけ、神が入ってきたらすぐに私に代わればいい、貴女はハリボテで構わない、どうですか?役割があって、基本的には貴女専用の部屋で自由に過ごせばいい、そして私が行動する数時間、私を代わりをする、誰とも話さなくていいし、私のやっている事を少しも理解しなくていい、貴女に求める事は最低限の私のしぐさと言葉の癖を理解してくれたらいい、貴女にとって難しい話ではない、どう?」
メリアはアナリシアの耳元で呟く。
メリアは知っている、こういうタイプは自分の都合が良い言葉にはすぐに食らいつく。
メリア知っている、最後に美味しい話を出すことで先ほどまで話した小出しのデメリットを感じなくなる事、わかりにくいリスクはこの女は理解できないと。
メリアは知っている、こういうタイプは徐々に役割を増やす事で本人が気付かないうちに自ら沼に入っていくと。
これはメリアの得意とする話術だ。
アナリシア「え、本当に私はそれだけでいいの?難しいことはしないでいい?」
メリア「ええ、私の姿になるくらい貴女にとって簡単な事でしょう、それだけでいい」
アナリシア「じゃあ・・・やってみます・・・」
メリア「良かったです!ではこのままそこで休んでてください、貴女が言った通り実験の確認をしてきますので!」
メリアは笑顔で奥の部屋に入っていった。
アナリシア「楽な仕事なら・・・別にいいか、よく考えたらお城よね!なら命を狙われるなんてありえない!そう!私は役割を与えられたんだ!もう無所属だからって負い目を感じなくていい!あのメリア様の直属部隊所属!大出世!私凄い!」
・・・・・・
ファナ「女帝、あんな鬱陶しい女、本当に入れるのか、貴女の判断を疑っているわけではないが、どう考えても使えないぞ」
ファナはフラスコを揺らしながらメリアに話しかける。
メリア「だからいいんでしょう?あそこまで鈍感で馬鹿で自己中で、怠惰で傲慢、強欲、あれほど自分のことしか考えない子は帝国では逆に稀です、優秀な子しか居ませんからね、逆にあそこまで出来損ないを見つけるのが苦労しましたよ」
ファナ「捨て駒ということか?」
メリア「捨て駒ですが見捨てるなんてことはしません、ご主人の従属神ですからね、あくまで私はご主人の従属神を借りている身、ですから【私からは見捨てることはしません】」
ファナ「ああ、そういうことか、下衆だな」
メリアが言いたいことは
アナリシアがもしミスをして正体がバレた時、メリアに化けて居たことから帝国の重要な情報を盗む、主であるパトを騙して近づき、関わりを持とうとした狂神にしか見えない、そしてアナリシアはコミュ障であり、人の話を聞かない、その上空気を読まない、メリアは見ていたのはそこだった。
【どこまで愚かであるか】【どこまで話が通じないか】【どこまで虚言に聞こえるか】
話が通じないなら誰もアナリシアが真実を言っても信じないだろう、メリアを貶めようとした重罪で処刑になる、メリアから見捨てることはない、だが帝国から見捨てられる、殺される、そんな存在がメリアにとって必要だった。ただメリアに化ける神材を探すなら帝国なら腐るほど良い神材は存在する。
メリアの周りにはメリアの動向を常に注意深く監視している神も居る、故に優秀な神でもメリアの思考や行動理念を理解し完全に模倣するのは不可能、故にバレてもすぐにトカゲの尻尾切りが出来る存在がメリアにとって大事だった。
メリア「ファナが何を考えているか知りませんが、私は自らの手を汚していませんし、仲間を見捨てるつもりはありませんよ、ただ国、ご主人が判断したなら私はその決断に従う、議論の余地はありませんね」
ファナ「その時点で見捨てているじゃないか、まったく恐ろしい事を考える、狂神と呼ばれた私でもドン引きだ」
メリア「貴女は講義しちゃいますね、私にとって必要不可欠ですから、サウルとエラトマも同様です」
ファナ「嬉しいね、精々私を守ってくれ」
ファナは真顔でフラスコに血液を混ぜ、反応を確認する
メリア「さて、戻りましょうか、あの子本当に話にならないので、会話が疲れます、どれだけ都合良く話すか・・・」
メリアは少しため息を吐きながらアナリシアが居る部屋に戻った。
・・・・・・
そして時は戻る。
アナリシア(はぁ、そろそろメリア様が来る時間、私もメリア様に化けて準備をしよう)
アナリシアはメリアに化ける、そして今日も特に意味もなくメリアと入れ替わる。
アナリシア「えっと、私はメリア、主様・・・ではなくご主人、雪花ちゃん、雪花ちゃん、アリシア様はアリシアと呼び捨てで・・・」
黎明の陽射しのメンバーである、アナリシアの役割はメリアと入れ替わり、メリアの代わりに仕事を進める事である、ただ重要な判断、専属神との会話、主であるパトとの会話をする際はメリア本人に代わるが、従属神と話す時、仕事の命令をする時はアナリシアが代理を務めていた
アナリシア「なんで私がこんな重要な役割を・・・もし失敗してしまったら私消されてしまうのでは・・・ああ怖い」
アナリシアは自分の役割の責任の重さに胃を痛めていた。
アナリシアは元々帝国所属の無所属従属神出身だった、覚醒したことで【最上級神】クラスのポテンシャルは持ち合わせているらしいのだが、本来は上級神だったため、実力は上級神のままだった、そして帝国部隊から選ばれなかった事で無所属で帝国内で与えられた自身の敷地内の住宅で引きこもっていた所、メリアからスカウトを受けた。
・・・・・・
アナリシア「あの・・・なんで他部隊の神すら求めてこなかった私なんかを・・・まさか捨て駒でしょうか・・・」
アナリシアはメリアとの出会いを思い出していた。そしてメリアからスカウトを受けた時、アナリシアはメリアに対して捨て駒に選ばれたから自身の前に現れたのかと聞いた。
メリア「いえいえ、貴女は確かに帝国業務には適してないでしょうね、ですが無所属とは個性を尊重した場所であり、決して蔑ろにしているわけではありません、ご主人から恩恵を受けているのですから」
メリアは笑顔だった、そしてアナリシアにとって格上の神なのに威圧を一切感じなかった。
メリア「貴女をスカウトしたのはその無個性と能力です、その無個性は魅力的、無個性で努力を諦め、自身への努力を諦めた怠惰、本来なら忌み嫌う存在です、組織を壊す存在として入れるわけにはいきません、他部隊が貴女を入れなかったのは正解ですね」
メリアからは威圧を感じない、だが言葉は違った、アナリシアを冷静に貶す、まるでお前の存在は帝国は必要としていないと言わんばかりの存在否定、だがアナリシアはそのメリアの言葉に対して
アナリシア「ええ、あの・・・」
メリア「ここまで言われても別に通常通りなのですね、メンタルが強いとは違う、自分の評価が低く、プライドが存在しない、故に私の威圧を物ともしないのでしょうね」
アナリシア(この方は何を言っているのだろう、私はこんなにもメリア様を恐れているのに・・・)
メリア「恐れてなんかいませんよ、貴女は、本当に恐れている人は私を見ると足が震えますし、多少警戒をします、ですが貴女は警戒ではなく諦め、もはや何も希望を感じてなんかいないし、死ねといわれれば甘んじて死ぬ、そんな狂気を感じるのですがどうでしょう?」
アナリシアはメリアの言葉が一つも理解できなかった、自分はメリアを恐れている、死ぬのは怖いし、今にも逃げ出したいほど居心地が悪かった。
メリア「立ち話もなんですし、私と一緒に来てもらえますか?服は・・・しっかり着替えてください、正装ですよ」
そしてメリアに連れられ、アナリシアは【黎明の陽射し】の拠点に足を運んだ。
・・・・・・
暗い部屋、だけど清潔でセンスは悪くなかった。
メリア「ごめんなさいね、辛気臭くて、他のメンバーの子が明るい部屋が気に入らないらしいの」
アナリシアは近くにあった椅子に腰かける、メリアはアナリシアの行動を見つめる。
メリア「それで、ここまで来た以上は貴女に二択の選択肢を与えなければいけません、【直属部隊に入る】【断って死ぬ】の二択です、この直属部隊は表では存在も明かしていない暗部です、もちろん貴女も本日をもって表では死んだ事になっております、なのでここで貴女が選ぶ行動は私の直属部隊として働く、どうですか?」
アナリシアはメリアの言葉に動揺したが、頭で悩むより先に口から言葉が出た。
アナリシア「私メリア様が求めるような高度な任務をこなせるほど優秀ではありません!失望します!私なんかを選んだ事をメリア様は後悔します!きっとこの部隊も表沙汰になるような失態を犯してしまうかもしれない!そんな重要な事を私なんかが出来るわけない!でも死にたくないです!嫌です!ここで住みますのでどうかお許しください!尽くします!脅さなくても尽くします!お願いします!私は無理です!怖いです!!」
アナリシアは下に俯きながら早口で話す。
メリア「他には?」
アナリシア「メリア様は勘違いしている、私はなにも取柄がない、買い被り過ぎです、ミスを犯してます、私を部隊の人が私を選らばなかった地雷をメリア様自ら選ぶなんて正気の沙汰じゃないです、ですが私は死にたくない、だからここで召使をします!侍女としてアシストをします、お願いしますお願いします」
メリア「よくもまあ、言い訳と私を落とす言葉をスラスラと、貴女、やっぱり私のこと全然怖くないでしょう?普通無理でもこの場では【やります】と言うのですよ、そして否定をするのはその発言を発して内容を説明した後です、なのに貴女は私が出した二択を選ぶのではなく、私が出した二択を三択にでもしてやろうと言わんばかりに言葉を並べる、ただの愚か者と見るのは容易い、ですがその図太い精神、私の求める役割には最適です、ますます気に入りました」
アナリシアは自分の想定していた反応とは違う愕然とした表情でメリアの顔を見た、そのメリアの顔は笑っていた、だがその笑みからは何も感じない、怒りも殺意も喜怒哀楽を一切感じられない」
アナリシア「えっと・・・あの・・・」
メリア「貴女のその鈍感な精神、そして機転の速さ、そして自分の考えを譲らない傲慢さ、そして【変幻支配】、素晴らしいです」
奥の部屋から黒髪のエルフ、ファナが勢いよく扉を開けた
ファナ「女帝!ずっと殺意を出さないでくれないか!今重要な実験なんだ!」
アナリシアはファナの汗まみれの顔を見て驚く、そしてファナの言葉を聞いて驚く。
メリア「ファナ、ちなみにですがいつから私の殺気に気付いてました?」
ファナ「馬鹿な事を聞くな!この施設に入ってきてからずっととんでもない殺気を放っていただろう!集中できないんだ!勘弁してくれ!!」
メリア「それはすみません、もう殺気を出しませんので戻ってください、後でその実験、私も確認します」
ファナはメリアの言葉を聞き、殺気が無くなった事を確認してから研究室に戻る。
メリア「・・・わかりました?私、ずっと貴女に殺気を出していたのですよ、格下なら震えあがり汗が止まらないほどです、ですがおかしいですね、貴女、私の目の前に居たのに一切私の殺気を感じてませんでしたよね?」
アナリシア「え?・・・え?」
メリア「知ってますよ、貴女はコミュニケーション能力が皆無、人の気持ちを理解出来ないし、周りの状況を一切理解できない、常に自分のことが第一で自分の事で精いっぱい、私の言葉なんて耳に入っているようでまったく耳に入っていない、二択を出しているのにまったく駆け引きどころか自分の話しかせずに三択目を出そうとしている、そして私を貶す、それも悪気はないのでしょう、集団行動を求める部隊では致命傷でしょう、貴女のような場を乱す神は」
アナリシアはメリアの言葉に動揺する
アナリシア「えっと、研究がありますよね?私の時間を掛けるなんて勿体ないですよ!私も考える時間が欲しいですし一度あの方の所に行かれてはどうでしょう?」
アナリシアは必死だった、今この場から逃げたい、メリアの言葉なんて一切気にせず自分の事でいっぱいいっぱいだった。
メリア「貴女のその無個性で自分の事しか考えない自己中心的な思考、欠陥ではなく才能です、私の身代わりをして生きなさい」
アナリシアはメリアの顔を見て止まる
アナリシア「私がメリア様の・・・身代わり?やっぱり死ねってことですか?」
メリア「違います、私になりすましなさいと言っている、もちろん命を狙われたらその限りではありませんね」
アナリシア「いやだー-!!死にたくない!私がメリア様になるなんて無理ー-!」
アナリシアは頭を抱え込んだ、そしてぶつぶつと自分の殻に閉じこもってしまった。
メリア「では死にますか?」
アナリシア「えあ、それは、嫌で」
メリア「では引き受けてくれますか?」
アナリシア「いや、それも嫌で」
メリア「ではどうしたいのですか?」
アナリシア「帰りたい、」
メリア「帰る場所はもうないですよ?帰るというなら私は貴女を殺さなければなりません、使えない子の面倒を見ている暇はありませんので」
アナリシア「うあ、だって勝手に」
メリア「ええ、勝手です、ですがこの帝国では上の立場に居る者がルールです、それを知ってこの帝国に入ったのでしょう?」
アナリシア「ううー--」
アナリシアは頭を埋めたまま唸り続けた
メリア「ちなみに危険な仕事ではありません、死ぬかもとは言いましたが、貴女なんかに重要な任務は任せません、精々私が他所に出かけたり、ここに来る理由を作るきっかけを作りたいだけ、神が入ってきたらすぐに私に代わればいい、貴女はハリボテで構わない、どうですか?役割があって、基本的には貴女専用の部屋で自由に過ごせばいい、そして私が行動する数時間、私を代わりをする、誰とも話さなくていいし、私のやっている事を少しも理解しなくていい、貴女に求める事は最低限の私のしぐさと言葉の癖を理解してくれたらいい、貴女にとって難しい話ではない、どう?」
メリアはアナリシアの耳元で呟く。
メリアは知っている、こういうタイプは自分の都合が良い言葉にはすぐに食らいつく。
メリア知っている、最後に美味しい話を出すことで先ほどまで話した小出しのデメリットを感じなくなる事、わかりにくいリスクはこの女は理解できないと。
メリアは知っている、こういうタイプは徐々に役割を増やす事で本人が気付かないうちに自ら沼に入っていくと。
これはメリアの得意とする話術だ。
アナリシア「え、本当に私はそれだけでいいの?難しいことはしないでいい?」
メリア「ええ、私の姿になるくらい貴女にとって簡単な事でしょう、それだけでいい」
アナリシア「じゃあ・・・やってみます・・・」
メリア「良かったです!ではこのままそこで休んでてください、貴女が言った通り実験の確認をしてきますので!」
メリアは笑顔で奥の部屋に入っていった。
アナリシア「楽な仕事なら・・・別にいいか、よく考えたらお城よね!なら命を狙われるなんてありえない!そう!私は役割を与えられたんだ!もう無所属だからって負い目を感じなくていい!あのメリア様の直属部隊所属!大出世!私凄い!」
・・・・・・
ファナ「女帝、あんな鬱陶しい女、本当に入れるのか、貴女の判断を疑っているわけではないが、どう考えても使えないぞ」
ファナはフラスコを揺らしながらメリアに話しかける。
メリア「だからいいんでしょう?あそこまで鈍感で馬鹿で自己中で、怠惰で傲慢、強欲、あれほど自分のことしか考えない子は帝国では逆に稀です、優秀な子しか居ませんからね、逆にあそこまで出来損ないを見つけるのが苦労しましたよ」
ファナ「捨て駒ということか?」
メリア「捨て駒ですが見捨てるなんてことはしません、ご主人の従属神ですからね、あくまで私はご主人の従属神を借りている身、ですから【私からは見捨てることはしません】」
ファナ「ああ、そういうことか、下衆だな」
メリアが言いたいことは
アナリシアがもしミスをして正体がバレた時、メリアに化けて居たことから帝国の重要な情報を盗む、主であるパトを騙して近づき、関わりを持とうとした狂神にしか見えない、そしてアナリシアはコミュ障であり、人の話を聞かない、その上空気を読まない、メリアは見ていたのはそこだった。
【どこまで愚かであるか】【どこまで話が通じないか】【どこまで虚言に聞こえるか】
話が通じないなら誰もアナリシアが真実を言っても信じないだろう、メリアを貶めようとした重罪で処刑になる、メリアから見捨てることはない、だが帝国から見捨てられる、殺される、そんな存在がメリアにとって必要だった。ただメリアに化ける神材を探すなら帝国なら腐るほど良い神材は存在する。
メリアの周りにはメリアの動向を常に注意深く監視している神も居る、故に優秀な神でもメリアの思考や行動理念を理解し完全に模倣するのは不可能、故にバレてもすぐにトカゲの尻尾切りが出来る存在がメリアにとって大事だった。
メリア「ファナが何を考えているか知りませんが、私は自らの手を汚していませんし、仲間を見捨てるつもりはありませんよ、ただ国、ご主人が判断したなら私はその決断に従う、議論の余地はありませんね」
ファナ「その時点で見捨てているじゃないか、まったく恐ろしい事を考える、狂神と呼ばれた私でもドン引きだ」
メリア「貴女は講義しちゃいますね、私にとって必要不可欠ですから、サウルとエラトマも同様です」
ファナ「嬉しいね、精々私を守ってくれ」
ファナは真顔でフラスコに血液を混ぜ、反応を確認する
メリア「さて、戻りましょうか、あの子本当に話にならないので、会話が疲れます、どれだけ都合良く話すか・・・」
メリアは少しため息を吐きながらアナリシアが居る部屋に戻った。
・・・・・・
そして時は戻る。
アナリシア(はぁ、そろそろメリア様が来る時間、私もメリア様に化けて準備をしよう)
アナリシアはメリアに化ける、そして今日も特に意味もなくメリアと入れ替わる。
