No.167 万園の住人│No.169 カナ冒険記その2

2025年05月16日

No.168 カロとサン

サン「こうやって対面で会うのは久しぶりかな、カロ、天園でも元気にしてる?」

サンはカロに手を差し伸べる、だがカロはサンの差し伸べた手を受け取らなかった。

カロ「すみません、どうしても貴女に会うと卑屈になってしまいます、皇園から逃げた私、あんな劣悪な世界でずっと【一輝星】であり続けたエリート」

サン「カロは私を買い被りすぎだ、【強化分野】はあまり需要がないのだ、君みたいな【波動分野】みたいに人気な分野とは違う、なにせ一週間の決闘で強化分野は半年同じ相手だったこともある、それだけ後継者が生まれないものなんだよ」

カロ「それはサンが完璧だったからでしょ、サン以上の強化分野に特化した従属を作れなかったからずっと放置されていた、それに比べて私の波動分野は次から次へと新しい子がやって来ては私の席を狙ってきた、それでも最高成績で【四輝星】が限界だった、あれだけ大変なのにサンには届かない、それが皇園の現実だった・・・」

サン「カロ・・・」

カロはそう言うとサンを避けて先に進む。

その光景を傍から見ていたネル。

ネル(こいつら何かしらの因縁があるのか、まったくこれからは同期だというのに、結局万園に選ばれなかった時点で全員が敗者、選ばれればどんな人生を送ろうが勝者、私も万園に来て実感した、私達は万園に認められるレベルの従属になってやっとスタートライン、万園以外の世界でいくら最強と言っても万園の中では最弱、広いと思っていた世界も万園に入ればその常識が覆される、だからあまり深く考える必要はないんだがな)

ネル「とりあえず難しい事は後は、主様の所に向うか♪」

ネルはパトの所に向う、今日は万園に選ばれた3名、ネル、サン、カロの対面式を行うらしい。

・・・・・・
ネルは帝国の玉座の間にやってきていた。

ネル「主様、遅れてスマンな、ミーエルと乳繰り合っていたら遅くなった」

月花「意味わかって言ってるとしたら恐ろしいわね、ネル、百合の花でも咲いちゃった?」

ネル「馬鹿め、冗談に決まっているだろう、正確に言えばただただミーエルを弄んでいただけだ、あいつは帝国で孤立しているからな、私がこうして相手してやらねば寂しくて哀れな天使に成り下がってしまうだろう?」

パト「ちゃんとミーエルにも友達とか仲の良い奴はいるし、結構充実してるよ!まったく!」

パトは玉座の間の隅にあるソファーに寝転がっていた。

ネル「おやおや珍しい、ソルテがよく許してくれたな」

ソルテ「今は休憩中ですからね、ずっと玉座に座っているのが仕事だとしても休憩時間は必要です」

ネル「そうかい、なら私もソファーにお邪魔しようかな」

ネルは空いているソファーに腰を鎮める、そしてソファー周辺で待機している侍女部隊の侍女に「紅茶を」と一言放つ。

ネル「それでまだサンとカロはここに来ていないのか?さっきここに来る前に見かけたんだがな」

月花「まだまだ時間があるからね、ネルくらいよ、こんな早い時間に玉座に足を運ぶのは、普通は恐れ多くて入ってこれないんじゃないかしら」

ネル「私が?馬鹿言うな、どんな立場になろうがこのヘタレで鈍感で脱いだ靴下を裏返したまま洗濯機に入れてしまう系の主様にどうやって恐れろと言うのだ」

ネルはクスクスと笑う、パトはその姿を見て「別に俺だって威厳を出そうとだなんてしてないっつうの」っと不貞腐れる。

ネル「それより主様、家族びいきと所属びいきだが、もっと私達と関わりを増やすんだな、他所の従属が今回こうして私と肩を並べるようになったわけだが、正直あまりいい気はしないんだ、青系統の連中を理解しろとは言わんが、せめてシンでもいいから攻略してくれてもいいんだぞ、やはり姉だからな、妹達の進路を気にしてしまうものなのだ・・・」


ネルは紅茶を口に含み、少し寂しそうに話す、だがパトは容赦なくネルに聞く

パト「その心、パシリが居なくて大変だって言いたいんだね!!」

ネル「よくわかっているじゃないか、シンなら容赦なくパシリに出来る、他の奴らだと頼みにくいのだ、頼んで下手に主様への貢献度を上げてしまえば意味がないからな」

パト「ネル側にも味方を起きたいって話かよ、まったく暴帝なら自分でなんとかしたらいいんだよ」

この話をしているとずっと空気になっていたメルリアが話に入ってくる。

メルリア「パシリとは言ってますがネルも本心で身内が優遇されて欲しいって気持ちはあると思いますよ、ツンデレですからね♪」

メルリアはパトに膝枕をしていた、最近見慣れた光景のため誰もそのことに対してツッコむ事はもうない。

ネル「そもそも一般従属はそもそも候補に入らないというのがシビアなものだな」

パト「確か最低条件が【神羅万象】持ちだからね、それ持って居ないとそもそも万園の従属に選ばれない、だからどの世界も神羅万象持ちの従属を優遇するんだろ?」

ネル「言ってみただけだ、可能性というのは不平等だ、私はその不平等の中チャンスを得て、そして主様と最も相性が良かった、それだけの話だ」

こうしていつも通り世間話をしていると約束の時間になる。

・・・・・・・
サン「皇園出身 強化分野筆頭 【一輝星】サン・ソレイユ、主パト様に呼ばれ参上いたしました!」

カロ「天園出身 王冠第三首席 波動分野局長 カロ・ムーンライト、主パト様に呼ばれ参上致しました。」

ネル「カロは確か元々皇園の従属で波動分野で1位の座を奪われ、奪還を狙うも最終順位は18位まで下がり、天園に転生したという経歴持ちらしいぞ」

パト「おいネル、本人の前であまりべらべらと」

カロ「いえ、隠す事ではありません、むしろ主様に隠し事等恐れ多い事をするなんて・・・」

ネル「サンは皇園では私と同じ立場に居たようだな、常に世界王に続くNo.2、ずっとその席を譲る事もなく絶対的な存在、うんうん」

パト「あまりイジる所がないからってうんうんで終わらせる奴があるかよ」

ネル「んで、こいつらを呼んだ理由は?」

パト「わかってんだろ、今現時点で万園に最も選ばれやすい候補2名、そしてそれは今後俺の成長に最も役立つであろう要素でもある、ネルが【攻撃】ならサンは【強化】、カロは【波動】そしてサンもカロもネルと同じく接点がなくても元々の適正率が高い、現時点であまり接点がないのに70%越え、万園は90%超えたら万園入りの条件を満たす事が可能だ、だがそこから自分が受け入れるか否かで最終の合否が決まる、今のままだと俺は二人がもし適正率を独自で上げたとしても許可は出せない、世帯の知れない奴を万園に入れたくはないからな」

ネル「その通りだな、私も得体の知れない奴を入れるのは反対だ」

パト「そこでだ、ネルの元で二人は定期的に集まって万園に選ばれる心得というかノウハウを学んでほしい、そして出来れば定期的に俺の元に来てほしい、サンやカロの持つ技術や分野のノウハウを教えてほしい、確か俺が二人からノウハウを教えてもらい理解する事で適正率が跳ね上がると聞いたことがある、二人にとっても嫌な話じゃないと思うんだけどな、どうだろう?」

サンとカロはパトの言葉で様子を伺うと思われたが、思いのほかあっさりと返答する。

サン「願ってもない事です、という事は主様から私を定期的に召喚してくださるという認識でよろしいでしょうか?」

パト(確か皇園から従属を出すときはアリシアが凄く苦しむんだよな、かなり気が引けるけど・・・仕方ないか)

パト「ああ、アリシアには承諾を得ている、何か他にもいい案があれば提示してくれるなら助かる、帝国なら常駐契約みたいな特別な契約があったりね」

カロ「天園は営業出張という名目であれば力は出せませんが現実に出る事は可能になります、もちろんリエル様とラル様から許可申請が降りればの話になりますが」

ネル「そこは大丈夫だ、ラルはパトの言う事なら二つ返事、リエルだってストレリチアが絡めば嫌でも頭を縦に頷くだろうさ、そもそもお前達が万園に選出されれば世界王はメリットしかないんだ、応援する事はあれ、拒むなんてありえないだろう、それをするのは零園のユミルくらいだ、あいつは根っからの変わり者だからな」

サン「ならば私も皇園で何かしらの特別処置がないかシリノア様からお聞きしましょう、力を出せないけど召喚は出来るという応急処置なら出来ると思いますし、なにせ従属に特化した世界ですし」

パト「ああ、二人とも頼むよ、ネルからは何か言う事は?」

ネル「別に何もって言いたいところだが、やる気がない奴は評価しない、やる気というのは別に一生懸命教えるとか仕事をするとかそういう話じゃない、お前達のそもそもの使命、主様に尽くすという使命に対して全うするか否か、その話をしている、使命よりもお前らの世界王、専属神を優先するようであれば万園には不適格だ」

ネルはパトの元に歩き、後ろから抱きしめる、そして二人に言い放つ。

ネル「私は身勝手な暴帝だ、常に自由人で命令なんて聞かない、だが、何よりも主様を第一優先にしている、主様のために動く、主様のために尽くす、主様のためならこの手をいくらでも汚す、それだけの覚悟がない奴が万園に来ることを私はお勧めしない、万園はどいつもこいつも主様ファーストだ、主様の二の次に回した時点で万園で死ぬことになるぞ?」

サンとカロはネルの脅しに涼しい顔で聞く。

ネル「まあ、何が言いたいか、まずは自分の上司くらいは黙らせる、もしくは有利な条件になるよう上層部である万園に営業をかけさせてでも自身に有利な条件を作れって事だ。そういう意味でもうちのミールは相当優秀だぞ?なにせストレリチアのお気に入りでもあるからな」

サン「シリノア様にも聞かせてあげたいですね、あの人は皇園の自室から中々出てきませんからね」

カロ「リエル様は遊び過ぎるからもっと世界王らしい仕事をしてほしいですね、羨ましい」

パト(やっぱり思う所があるんだな、ミールはなんだかんだいって仕事は出来るからな、こまめにフォローしてくれるし)

ソルテと月花、メルリアは今回の経緯を見守っていた。

ソルテ(強化と波動、サンは龍でカロは天使、まさにパトさんの種族とも適合している、ネルは神族だし)

月花(本当私の世界ってかなり整っているのね、なんか誇らしいわね)

メルリア(いずれは私の世界からもこうやって旦那様の側近になれるような従属が現れるように頑張りたいですね!)

パト「それじゃあさっそくだけど、親睦会も兼ねてサンとカロについて教えてくれ、もちろん俺の事も知ってもらうためにどんどん話そう!」

こうして親睦会も兼ねてソファーでパト、ネル、サン、カロの4名は互いに自己紹介を兼ねて話を募らせていった。




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